秘密の部屋

知りたいことはまた、いつか

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
キャラベルに登録してログインすると、登場人物の名前をお好きな名前に変更できます。


 まさか、ここでドラコと会うなんて思いもしなかった。


「……あ、えっと」


 ドラコの突然の登場にあまりにも驚いてしまったのと、彼のその綺麗な姿を目の当たりにして、言葉が上手く出てこない。


「ど、どうしてここに?」


 戸惑いながらもそう訊ねると、ドラコは「別に。たまたまだ」と言いながらこちらへ下りてきた。


「都合よくマンドレイクの薬ができてよかったじゃないか」

「う、うん。そうだね」

「スリザリンの継承者が上手くやらなかったせいでマグルは戻ってくるし、父上の計画が台無しになるし」

「わたし、スリザリンの継承者がふたりじゃないって思ってたから、よかった」


 そう告げると、ドラコが口を噤む。


「今回の事件はジニーがやったことだって知ったときは、信じられなくてびっくりしたけど……でも、ハリーでもマルフォイくんでもないって分かって、すごくほっとしたの」


 ドラコがフンと鼻を鳴らして視線を逸らしたが、サクラは構わず言葉を続ける。


「だって、マルフォイくんがそんなひどいことするって思えなかったし」


 少し笑いながら述べると、ドラコが眉を潜めてくる。


「どういう意味だ?」

「深い意味はないよ。わたし、マルフォイくんのこと信じてたから」

「――この花は、どうするつもりなんだ?」


 ドラコは、ヒメナデシコへ視線を落として話題を変えたのだった。


「これはね、近い内に枯らせて種を作ろうと考えてたの。もちろん、ずっと綺麗に咲き続けているようにもしてみたいけど。でも、わたしが最初に育てたこの花で子孫を残して繰り返し育ててもみたいなって。でもね、誰か優しい人が、わたしの代わりにお世話をしてくれていたみたい」

「…………」

「誰なのか分からないけど、でもわたしの代わりに育ててくれていたのがうれしくて。枯らせてしまうのはもったいないなって。だから、このまま丁寧に持ち帰って、夏休みの間も暫く育ててみようかなって」


 サクラはしゃがみ込み、ヒメナデシコをそっと土から掬う。

 何故だかドラコは黙りこくっていた。


「誰なのかな……きっと花が好きな優しい人だよね」

「その人物を探さないのか?」

「知りたいけど、どうやって探そうかな。向こうから言ってくれればいいんだけど」


 サクラは苦笑を漏らす。


「お礼を言いたいんだけど、分かんないから仕方ないかな――あ、もうそろそろ寮に戻らないといけないかな」


 就寝時間が迫っていることを思い出したサクラ。ドラコへ別れを告げようと向き合った。


「今学期も、色々とありがとね」

「フン。この僕が、穢れた血とこんなに関わってしまったことを知ったら、父上が何と仰るか」

「きっと、素晴らしい経験だと仰るよ。例え気に入らない存在であっても……相手のことを知ることはいいことだと思うから」

「…………」

「わたしは――」


――待って。あたし、何を言おうとしてるの?


「わたしは、もっと……マルフォイくんのことが知りたい」


――マルフォイくんにとって気に入らない存在だとしても。実際本当にそう思われていたら、かなり悲しいけど。


 ドラコは言葉を失ったように、その場に突っ立っている。

 言わなければ良かったと、サクラは激しく後悔したのだった。


「あ、あの、今のは忘れて! おやすみ!」


 後悔と羞恥心に苛まれたサクラは、居た堪れなくなって逃げるように城の中へと戻ったのだった。



 後から聞いた話によると、ジニーはある日、学校の空き教室でパーシーとペネロピー・クリアウォーターがキスをしているところを見てしまったようだった。

 ペネロピーとはレイブンクローの監督生で、ロンが間違えてスリザリンの談話室の場所を訊いてしまった相手であり、そしてサクラとハーマイオニーと共にバジリスクに出くわした巻き毛の女子生徒である。

 ジニーは皆に、「パーシーをからかったりしないわよね?」と心配そうに訊いた。

 当然そのようなことをするつもりはないが、フレッジョの方はどう見てもする気のようで、ニヤニヤと笑っていた。

 ホグワーツ特急が速度を落とし、キングス・クロス駅に着いた。

 ハリーが、羊皮紙に電話番号を書いてサクラとロンとハーマイオニーに手渡す。


「あと2ヵ月もダドリーしか話す相手がいないなんて、僕、耐えられない……」

「でも、あなたのおじさんもおばさんも、あなたのことを誇りに思うんじゃない?」

「そうだよ。ホグワーツの危機を救ったんだから」

「今学期に君が何をしたのか聞いたら、流石に認めるだろ?」

「本気で言ってるの? 僕がせっかく死ぬ機会が何度もあったのに、死に損なったっていうのに? あの連中はカンカンだよ」


 魔法がかかった柵を通り抜け、マグルの世界に戻ってきた。

 サクラは、笑顔でハリー、ロン、ハーマイオニーに手を振った。


秘密の部屋 fin.

著作者の他の作品

言いたいことが色々あって我慢出来ず、このような場を作ってしまった。作品の...