秘密の部屋

自由のドビーとの約束

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 ルシウスは、怒りをあらわにしていた。

 ダンブルドアがホグワーツに戻ってきたことが気に食わなかったのである。ダンブルドアの停職を提案し、実行したのが他でもなくルシウスなのだから、憤るのも無理はない。

 ドビーはというと、後ろから恐怖で縮こまっているようにして部屋へ入ってきた。

 ダンブルドアは、飄々としてルシウスへ応える。

 今日、ダンブルドアへルシウス以外の理事達からふくろう便が届いたという。

 アーサー・ウィーズリーの娘が殺されたと聞き、ダンブルドアにホグワーツへ戻ってきてほしいという内容だった。

 その理事達は、元々ダンブルドアの停職に賛成ではなかったが、同意しなければ家族を呪ってやるとルシウスに脅されたらしかった。

 これを聞き、ルシウスは顔色をいつもよりも一層蒼白にさせたが、この事件についての犯人も計画も何も分かっていない素振りである。

 ダンブルドアがルシウスへ、含みを持たせながらも説明をしていると、ハリーはドビーが何やら自分へ訴えているのに気付いた。ドビーは日記を指差して、次にルシウスを指差すと今度は自分の頭を殴りつけている。

 その行動を暫く見て、ハリーは閃いたのだった。

 ドビーへ頷いて見せると、ドビーは部屋の隅に向かい自分を罰する為に自らの耳を捻り始めた。

 そしてハリーは、ダンブルドアとルシウスへ口を挟む。


「マルフォイさん。ジニーがどうやって日記を手に入れたか、知りたいと思いませんか?」

「バカな小娘がどうやって手に入れたか、何故私が知らなければならんのだ?」

「あなたが日記をジニーに与えたからです」


 フローリシュ・アンド・ブロッツ書店のあのアーサーとの騒動のときに、ルシウスがジニーのお下がりの教科書を抜き取り、そしてその教科書と一緒に日記も滑り込ませたのだった。


「何を証拠に」


 ルシウスは、顔面蒼白のまま歯を食いしばる。


「ああ、誰にも証拠は出来んじゃろう。リドルの日記が消え去ってしまった今となっては」


 ダンブルドアは、半月眼鏡の奥の瞳を優しげに細めたのだった。

 そしてダンブルドアは、ルシウスへ忠告をする。ヴォルデモートの昔の学用品をばら撒くのはもうやめることを。

 ルシウスは、杖に手を伸ばしたいのを堪え、ドビーへ帰ることを強い口調で命令した。

 ドアを開けるルシウスの方へ、ドビーが慌てて駆け寄る。ルシウスは、ドビーを蹴り飛ばしながら部屋を出て行ったのだった。

 ハリーは必死に考えた。

 日記をルシウスに返してもいいか訊くと、ダンブルドアは快諾したのだった。

 日記を持ってハリーはふたりを追いかけた。この計画が上手くいくか不安だが、ハリーは急いで自分の汚れた靴下を脱いでその中に日記を押し込んだ。

 階段を下りている途中のふたりを見つけ、ハリーは上から呼び止めた。


「マルフォイさん。僕、あなたに差し上げるものがあります」


 階段を下りていき、ルシウスへその日記を押し付ける。

 ルシウスは怪訝そうに、日記を取り出して靴下を投げ捨てた。


「君もその内両親と同じ不幸な目に遭うぞ――連中も、お節介な愚か者だった」


 ルシウスは立ち去ろうとした。しかし、ドビーがその場を動かなかった。


「ご主人様が、ドビーめに靴下を片方くださった」


 ドビーは、ハリーの靴下を大事そうに掴んでいる。


「何だと?」

「ご主人様が投げてよこした。ドビーが受け取った。だからドビーは――ドビーは自由だ!」


 屋敷しもべ妖精は、衣類を身につけずに枕カバーなどの布を身に纏っている。もし主人に衣類を与えられたら、それは解雇を意味するのである。

 ドビーにとって、ルシウスから解雇されたのは信じられないことでありながらも、嬉しさもあるようだった。


「小僧め、よくも私の召使を!」


 ルシウスが激昂してハリーへ飛びかかる。しかし、ドビーがさっとハリーの前に出てルシウスへ立ち塞がった。


「ハリー・ポッターに手を出すな!」


 爆発音が鳴り、ルシウスは吹っ飛んで階段を転がり落ちていった。

 そして、ルシウスは無様な格好で着地したにも関わらず、すぐに立ち上がって杖を構えた。


「すぐに立ち去れ」


 ドビーが、先程まで自分の主人だった者に厳しい口調で告げる。


「ハリー・ポッターに指一本でも触れてみろ。早く立ち去れ」


 ルシウスは忌々しそうにこちらを睨みつけ、そしてマントを翻して去っていったのだった。

 ドビーは、自由にしてくれたハリーへ礼を述べる。それに応えるようにハリーがにっこり笑った。


「せめてこれぐらいしかしてあげられないけど――だた、もう僕の命を救おうなんて、二度としないでね」


 ドビーの大きな口がぱっくり開く。ドビーも笑ってハリーと約束したのだった。

 それから、ハリーはドビーへひとつ訊ねた。

 以前ドビーはハリーに、今回のことは「名前を呼んではいけないあの人」とは関係ないと言ったようだった。これはどういう意味だったのか。


「あれはヒントだったのでございます」


 ハリーの靴下を履き終わったドビーが、大きな目をハリーに向ける。


「闇の帝王は、名前を変える前でしたら、その名前を自由に呼んで構わなかった訳ですから」

「そんなことなの……」


 ハリーは、思わず脱力したのだった。

 ドビーは別れ際にハリーに抱きつき、「ハリー・ポッターは考えていたよりもずーっと偉大でした」と遂げ、そして指をパチンと鳴らして消えていった。



 残りの夏学期はというと、まず「闇の魔術に対する防衛術」の授業はキャンセルとなった。ハーマイオニーは、ロックハートが去ったことに対してもそうだったが、とても悲しんでいた。

 ロンは、そんなハーマイオニーを慰めるように、自分達はこれに対して随分実技をやったじゃないか、と述べた。

 そして、ルシウスが理事を辞めさせられ、それによりドラコが学校を闊歩することをやめた。

 身体の調子を取り戻したジニーは、しかし元気がない。学校中に自分のことを知れ渡ってしまったのなら、無理はないだろう。

 そんなある日、ひとりで談話室に戻ってきたジニーに、ハリーは「爆発スナップをやろう?」と声をかけた。

 一瞬きょとんとしたジニーだったが、やがて可愛らしく微笑んだのだった。



 祖父母への手紙を認めていたサクラは夕食後、就寝時間に間に合うようにふくろう小屋へ急いだのだった。

 明日にホグワーツ特急で家に帰るので、早く今学期のことを含めた内容と明日帰ることを楽しみにしている旨を伝えたかった。

 しかし、今学期の主な出来事と言えば祖父母を心配させるものしかなく、書く内容に困っていた。

 今からクルミに頼み、祖父母のところへ届くおおよその時間を考えれば、遅すぎるだろうとは思うけれど。

 結局大分時間をかけて、大変なことも多かったがとても充実した学期だったということを綴って封を閉じた。

 ふくろう小屋へ赴き、クルミに手紙を託したサクラ。階段を下りて西塔を後にする。

 それからあの場所へと向かおうとしたが、背後で何か物音がしたのだった。

 誰かがいたようだったが、この時間に城に生徒が残っているのは珍しかった。

 それでもサクラは気にせずに、花が植わっている中庭へと向かった。

 月の僅かな光を受けているヒメナデシコが、そこで花を咲かせ続けている。

 サクラがバジリスクの襲撃を受けて石になっていたのだから、てっきりこの花は枯れていたり荒らされていたりしているかもしれないと思っていた。しかし、様子を見に行ってみると、変わらずに咲いていたのだった。

 水をやったり維持魔法をかけ続けたりしない限り、このような姿を保てていることは難しい。

 誰かがやったのだろうか。


――誰かなんて、見当もつかないけど。でも、これってそういうことだよね。


 代わりに好意でやってくれたのだとしたら、サクラが目覚めた後にでも伝えてくれればいいのだが、未だにその声がかからずにいる。

 砂糖羽ペンの件といい、一体誰がやってくれたのだろうか。サクラには、見当がつかない。


「――気分はどうだい?」


 不意に声がして、心臓が飛び跳ねる。


「スリザリンの継承者から洗礼を受けたんだろう?」


 渡り廊下に目を向けると、そこに佇むドラコがいた。

 廊下にまで差し込む月の光により、彼の髪の輝きが増す。まるで、蜜蝋色に煌く繊細な宝石のように見えた。

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