秘密の部屋

森の怪物

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 あれから、やはり砂糖羽ペンの送り主が気になったので、サクラは色んな人に訊いてみた。

 ハリーにロンにジニー。シェーマス、ディーン、パーバティ、ラベンダー。ネビルにフレッジョにパーシー。主に関わりのある生徒達に確認したが、皆に否定された。フレッジョが言う限り、リーでもないようである。

 フレッジョも、一度見舞いに来てくれたようだったが、マダム・ポンフリーに追い出されたと言っていた。

 ふたりはきっとうるさくするだろうし、それに物言わぬ患者に会ったって意味などない、と言われたらしい。

 ネビルに尋ねたときに言われた言葉がある。


「僕達じゃなければ、きっと他の寮の生徒だよ。だって、ほら。サクラってモテるから」


 サクラ自身にそのような自覚など微塵もないので、強く否定した。

 しかし、他の寮の生徒だとしても、サクラにはあまりそのような生徒の知り合いがいないので、確認のしようがない。

 それにしても、何故その謎の送り主は、サクラの好きな物を的確に当てて贈ることが出来たのだろうか。

 それはやはり、サクラのあの言葉を聞いたからだと思えてしまう。いくら好きだからとはいえ、サクラはそれほどお菓子を食べる頻度が高い訳ではないから。だから、サクラがよく砂糖羽ペンを食べているところを目撃されたということはないと思う。

 あのクィディッチの試合のとき、そばにいたのはハーマイオニーとロンとネビル、それにドラコとクラッブとゴイルである。

 クラッブとゴイルは、誰かの為にお菓子を買ってプレゼントするより、自分の為に買って自分で食べるしか出来なさそうに思う。

 そうだとしたらやはり、という考えになる。しかし、それはただの願望に過ぎず、可能性の低い考えである。

 まさか、あの会話を聞いていた周りの生徒とかなのだろうか。

 それも考えにくく、結局分からず仕舞いだった。



 サクラとハーマイオニーはハリーとロンに、スリザリンの継承者に立ち向かった話を興味深く聞いた。

 まず、サクラとハーマイオニーが石にされたことにより、その日に行われる筈だったグリフィンドール対ハッフルパフのクィディッチの試合が中止になってしまった。

 そして、マクゴナガルに連れられて医務室へやってきたハリーとロン。そこで、石にされたサクラとハーマイオニー、そしてレイブンクローの巻き毛の女子生徒を目の当たりにする。

 一度に3人も襲われ、マクゴナガルもかなりショックを受けているようだった。

 それから、全校生徒は夕方6時までに各寮の談話室に戻る決まりになった。授業に行くときもトイレに行くときも教師が引率しなければならない。

 クィディッチの練習も試合も、全て延期。クラブ活動も中止。

 グリフィンドールの談話室で巻紙を読み上げるマクゴナガル。事件の犯人が捕まらない限り、学校の閉鎖の可能性もあると述べる。

 リーが、何故スリザリンの生徒を追い出さないのか、スリザリンの生徒は皆無事だし、全部スリザリンに関係しているのに、と演説を始め、パーシーは落ち込んでおり、ジョージが、あの巻き毛の女子生徒がパーシーと同じ監督生だからショックを受けているんだと教えてくれたが、ハリーは混乱してあまり聞いていなかった。

 ハリーとロンは相談して、ハグリッドに会う決断をした。

 皆が寝静まる頃を待ち、ふたりは透明マントを被ってハグリッドの元へ赴いた。

 戸を叩くと、ハグリッドは何故か石弓を構えていたのだった。

 ハグリッドは少し驚いて、石弓を下す。


「ふたりとも、こんなところで何しとる?」

「それ、何のためなの?」


 石弓のことを尋ねるが、ハグリッドはもごもご言って誤魔化したのだった。


「何でもねえ……何でも……ただ、もしかすると……いいや、座れや。茶、淹れるわい」


 ハグリッドの様子がおかしい。何やら上の空のような様子である。


「ハグリッド、大丈夫? サクラとハーマイオニーのこと聞いた?」

「ああ、聞いた」


 ハグリッドは、窓の方をチラチラと不安そうに見ているようだった。

 すると、戸を叩く音がした。

 ハリーとロンは、慌てて透明マントを被って部屋の隅に引っ込む。ハグリッドは、石弓を掴んで戸を開けた。

 入ってきたのは、ダンブルドアだった。そして、後ろにもうひとりいた。背の低い太った男性だった。

 彼は魔法省大臣のコーネリウス・ファッジだとロンが言う。


「状況はよくない、ハグリッド」


 青ざめるハグリッドに対し、ファッジがそう述べた。

 ファッジは、ハグリッドをアズカバンへ送るつもりだった。

 ハグリッドは無実を訴え、ダンブルドアも彼へ全幅の信頼を寄せている。しかしファッジにしてみれば、ハグリッドには不利な前科があるし、魔法省として何かをしなければならないのである。

 次にハグリッドの小屋に訪れたのは、ルシウス・マルフォイだった。

 彼が述べたのは、ダンブルドアの停職命令。これに関しては、12人の理事が全員署名したようだった。ダンブルドアが、このマグルが連続に襲われる事件を食い止められないのなら、ということだった。

 それに驚愕したファッジは、ダンブルドアでさえ食い止めることが出来ないのなら他の誰が出来るのか、と言う。彼もダンブルドアを信頼しているのだろう。

 そしてハグリッドも、そんなことをしたらマグル生まれの者はお終いだ、と怒った。

 しかし、当のダンブルドアは、理事達が求めるのなら退こう、と冷静に了承した。

 そして、ダンブルドアが述べたのだった。ゆっくりと明確に。


「覚えておくがよい。私が本当にこの学校を離れるのは、私に忠実な者が、ここに一人もいなくなったときだけじゃ。覚えておくがよい。ホグワーツでは助けを求める者には、必ずそれが与えられる」


 その瞬間、ダンブルドアの目がハリーを捉えた。透明マントを被っているにも関わらず、どういう訳かダンブルドアはハリーがそこにいると分かっていたのだろう。

 そうして、ハグリッドも言葉を選びながら述べ始める。


「誰かが何かを見つけたかったら、蜘蛛の跡を追っかけて行けばええ。そうすりゃ、ちゃんと糸口が分かる……俺が言いてえのはそれだけだ」


 ダンブルドアの言葉もハグリッドのこの言葉も、きっとハリーやロンに向けて言ったものだろう。

 そしてハグリッドはルシウス、ダンブルドア、ファッジのあとに続いて小屋から出ていったのだった。

 ハリーとロンがサクラとハーマイオニーの見舞いに行こうとしても、マダム・ポンフリーに面会謝絶だと言われた。患者の息の根を止める為に、また犯人が襲ってくるかもしれないからだという。

 ハリーは、ダンブルドアの言葉を何度も思い出した。しかし、自分達は一体誰に助けを求めればいいのか分からない。

 ハグリッドの言葉の方が分かりやすかったが、探してもホグワーツにはもう蜘蛛は残っていないようだった。最も、蜘蛛が苦手なロンと一緒であるし、他のグリフィンドールの生徒達と行動しなければならないので、効率がいいとは言えない。

 ダンブルドアとハグリッドがホグワーツから去っていってから2週間程経ったある日。薬草学の授業中に、蜘蛛が数匹禁じられた森へ向かっているところを見つけた。

 ハリーとロンは話し合い、その日の夜に決行することにした。

 グリフィンドールの生徒達が皆寝静まるまで待ち、真夜中の12時過ぎになった。

 ふたりは透明マントを羽織って談話室を抜け出し、学校の外へ出た。

 まずハグリッドの小屋へ行き、ファングを連れ出した。それから禁じられた森へと赴く。

 蜘蛛の群れを追っていくと、途中で何とハリーとロンがダイナミックに登場したときに乗っていた車を見つけたのだった。

 すっかり森の中で野生化してしまった車。そのヘッドライトから蜘蛛が逃げて行ってしまったので、探しに行こうとしたとき。

 ロンがハリーの背後に何かを見つけて、恐怖に慄いていた。

 長くて毛むくじゃらなものがハリーを掴んで、逆さまに宙づりになり、そのままどこかへ運び込まれた。ロンも同じ状況のようである。

 暫くして広い窪地の縁に辿り着いた。地面には、数え切れない程の蜘蛛が蠢いている。

 そして、ハリーとロンは恐ろしい光景を目にする。地面を蠢くものの他に、巨大な蜘蛛が数匹いたのだった。

 黒くて毛むくじゃらで、8つの目と8本の脚。これ程大きな蜘蛛など見たことがない。

 巨大な蜘蛛は、獲物を見て興奮しているように鋏を掻き鳴らしている。

 地面へ落とされたハリーとロンは失神寸前で、ファングでさえも吠えることが出来ずにすくみ上っていた。

 すると、巨大蜘蛛が靄のような巣に向かって呼びかけた。


「アラゴグ!」


 そこから現れたのは、小型の象程の蜘蛛。黒い身体には白いものが混じり、8つの目は白濁としていて、恐らく盲ているのだろう。

 そのアラゴグは、ハグリッドと勘違いをして、巨大蜘蛛が、知らない人間だと答えると、殺せと命令した。


「僕達、ハグリッドの友達です!」


 ハリーが叫んだ。


「ハグリッドは一度もこの窪地に人を寄こしたことはない」

「ハグリッドが大変なんです。それで、僕達が来たんです」

「大変? しかし、何故お前を寄こした?」

「学校のみんなは、ハグリッドがけしかけて……か、怪――何物かに生徒を襲わせたと思っているんです。ハグリッドを逮捕して、アズカバンに送りました」


 それを聞いたアラゴグは怒り狂って、鋏で大きな音を鳴らした。

 アラゴグは、それは昔の話だと答える。


「何年も何年も前のことだ。よく覚えている。それでハグリッドは退学させられた。みんなが儂のことを、いわゆる『秘密の部屋』に住む怪物だと信じ込んだ。ハグリッドが『部屋』を開け、儂を自由にしたと考えたのだ」

「それじゃ、あなたは『秘密の部屋』から出てきたのではないのですか?」


 ハリーの質問に、アラゴグは再び怒って鋏を打ち鳴らす。


「儂はこの城で生まれた訳ではない」


 アラゴグは、遠いところからやってきたようだった。まだ卵の頃に、旅人がハグリッドへ与えた。

 まだ少年のハグリッドだったが、城の物置に隠して面倒を見てくれた。

 自分が見つかってしまい、女子生徒を殺した罪を着せられたとき、ハグリッドが護ってくれた。そのときからずっと森に住み続けた。妻も探してきてくれた。家族はこんなに大きくなった。みんなハグリッドのおかげだと述べた。


「一度も誰も襲ったことはないのですか?」

「一度もない。襲うのは儂の本能だ。しかし、ハグリッドの名誉の為に、儂は決して人間を傷つけはしなかった。殺された女の子の死体は、トイレで発見された。儂は自分の育った物置の中以外、城の他の場所はどこも見たことがない」


 ハリーは、何が女の子を殺したのか尋ねる。

 すると、蜘蛛は再び怒りで鋏を鳴らした。


「城に住むそのものは、儂ら蜘蛛の仲間が何よりも恐れる、太古の生き物」

「一体、その生き物は?」

「儂らはその話をしない!」


 アラゴグが、突然声を荒げた。

 巨大蜘蛛が、何故だかじりじりと詰め寄ってきているのである。

 ハリーはそこで暇を告げる。しかし、アラゴグ達はそれを許さなかった。自分達の真っ只中に進んでのこのこ迷い込んできた新鮮な肉をお預けにはできないと。

 ハリーは自信がないながらも覚悟を決めて杖を取り出したときだった。あの、すっかり野生化してしまった車がやってきたのだった。ハリーとロンは、ファングと共にその車へ急いで乗り込む。

 森の入り口に着き、ファングは一目散にハグリッドの小屋へ走って戻り、ふたりも透明マントを取りにそこへ向かった。

 蜘蛛の跡を追わせたハグリッドを怒るロン。しかし、大きな収穫が得られた。

 ハグリッドは無実だったのである。

 それから寝室に戻り、ふたりは眠った。

 暫く考えに耽っていたハリーだったが、そのとき閃いたのだった。トイレで殺された女子生徒とは、嘆きのマートルのことではないかと。

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