秘密の部屋

ふたつの黄色い玉

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 サラザール・スリザリンはパーセルマウスだった。なので、スリザリンの継承者もパーセルマウスという可能性が高い。

 それならば、スリザリンの継承者はパーセルタングを用いて「秘密の部屋」を開け、そして中にいるヘビを操ってマグルを襲わせている。「部屋」はスリザリンの継承者にしか開けられないというのなら、きっとそうなのだろう。

 これが、今現在のサクラとハーマイオニーの考えである。

 しかし、継承者が誰なのか、ヘビは一体どうやって移動しているのか。それに、リドルの日記を捨てた人物と今回の事件には、どのような関係があるのか。捨てた人物が継承者なのだろうか。そうだとすると、女子トイレに捨てたとなると、継承者は女性なのか。

 分からないことが多いが宿題も多いので、調べる時間がなかったのだった。


――そういえば、あたし達と一緒にいるときに声が聞こえたとき、ハリーは壁に耳を当てていた? まさか……壁の中に?



 ある金曜日の夕方。明日にクィディッチの試合を控えたグリフィンドール選手達。

 談話室に戻ってきたハリーに一言声を掛けてやり、ハリーは寝室へ箒を置きに行ったのだった。

 ロンも、今やっている宿題を切りのいいところまでやり、ディーンとシェーマスと共にハリーに激励の言葉を掛けてやろうと寝室へ赴いた。

 それからサクラはハーマイオニーと共に、図書館から借りてきた『古代ルーン語のやさしい学び方』を読んでいた。

 慌てて談話室へ下りてきたハリーとロンに、サクラとハーマイオニーが顔を上げる。

 ハリー、ロン、ネビル、ディーン、シェーマスの寝室が何者かに荒らされていた、と言ってきたのだった。


「それで、リドルの日記がなくなっていたんだ」

「誰かに盗まれたみたい」


 サクラもハーマイオニーもひどく驚いた。


「……誰がそんなことを」

「グリフィンドール生にしか盗めないはずよ……他の人は誰もここの合言葉を知らないもの」


 ハーマイオニーの言う通りである。

 グリフィンドールの談話室に入るには正しい合言葉を述べないといけない。そうでないと、太った婦人レディが入らせてくれないのだから。


――リドルの日記が盗まれた……何か、嫌な予感がする。


 考えてみれば、ハリーがその日記を手にしてからは事件が起こらなくなったように思う。それが、ハリーの手から離れたとなると、再び事件が起こるのではないか。

 何はともあれ、明日のクィディッチの試合は問題なく開始され、グリフィンドールが勝利してほしかった。



 翌日、カーテンから眩しい太陽の光が漏れていた。クィディッチをするには、とてもよい天気である。

 大広間では、キャプテンのウッドがテンションを上げながら選手達にスクランブルエッグを盛っていた。


「ハリー。日記が盗まれたのなら、盗難届を出すべきよ」


 ハーマイオニーがハリーへ勧めるが、ハリーは首を縦には振らない。

 サクラも、重大な秘密が隠されているであろう日記をそうやって公に出すには、少し危険に思えたのだった。

 朝食を食べ終えたサクラ達は、箒を取りに行くハリーと共にグリフィンドール塔へ戻ろうとした。

 大理石の階段に足を掛けると、突然ハリーが叫んだのだった。

 3人は驚き、サクラは足を踏み外しそうになった。


「あの声だ!」


 ハリーが振り返ってそう言った。


――やっぱり犯人が日記を取り戻したから? もしかして、日記には事件を起こさせる仕掛けとか魔法とか……。


「また聞こえた……君達は?」


 サクラとロンが首を振るうが、ハーマイオニーが何か閃いたように額に手を当てた。


「ハリー……私、たった今、思いついたことがあるの!」

「え?」

「図書館に行かなくちゃ! サクラ、行きましょう!」


 ハリーとロンの反応も見ずに、ハーマイオニーはサクラの手を引いて階段を駆け上がったのだった。


「ハーマイオニー、どうしたの? 何を思いついたの?」

「ヘビはヘビでも、大蛇だったのよ!」


 後ろを振り返らずに、ハーマイオニーがそう述べた。

 サクラには理解出来ず、彼女に聞き返す。


「バジリスクよ! 怪物の中でも最も珍しく……そう、破壊的であるって」


 本の内容を思い出すように述べるハーマイオニー。


「そのバジリスクに、マグルを襲う力があるってこと? でも、どうやって? どうやって、壁の中とかに……」 


 図書館に入り、ハーマイオニーは一直線にある本棚へ向かった。

 クィディッチの試合が始まるので、図書館にはほとんど人の姿はない。

 ハーマイオニーがある古い本を取り出し、勢いよくページを捲っていく。埃臭さが漂い、サクラはハーマイオニーが目当てのページに行く着くまで静かに待った。


「あった! これよ!」


 興奮したハーマイオニーは、思わず大きな声を上げる。

 


 我らが世界を徘徊する多くの怪獣、怪物の中でも、最も珍しく、最も破壊的であるという点で、バジリスクの右に出るものはない。



 確かに、ハーマイオニーが先ほど述べた内容が記してあったのだった。


「バジリスクの一睨みは致命的である。その眼からの光線に捕らわれたものは即死する。これって……」


 一連の事件を思い出してみた。襲われたマグルは皆死んでおらず、石にされている。


「ミセス・ノリスは床の水に映った姿を見て、コリンはカメラを通して見て、ジャスティンはゴーストのニックを通して見たのよ」

「でも、ニックは直接見たってことだよね……あ、ゴーストだから2回は死ねないのか」

「そうよ。それに、見て。蜘蛛が逃げ出すのはバジリスクが来る前触れ。何故なら、バジリスクは蜘蛛の宿命の天敵だから」」

「確かにあのとき、蜘蛛が窓から出ていっていた!」

「やっぱりそうなのよ。スリザリンの継承者は、パーセルタングで『秘密の部屋』を開け、中に棲むバジリスクを操ってマグルを襲わせているんだわ」

「でも、どうやって? 大蛇なんでしょ? そんなに大きい怪物が、ホグワーツ内を見つからずに移動するなんて……」


 少し考え込んで、ハーマイオニーの優秀な頭が働く。


「パイプよ!」


 バジリスクはきっと、パイプの中に入り込んでホグワーツ内を移動していたのだろう。

 ハーマイオニーは下の方に「パイプ」と書き込み、そのページを破り取る。そして、「レパロ」と呪文を掛けてそのページを元通りにする。


「とりあえず、クィディッチの試合を観よう。無事に終わればいいけど」

「そうね」


 図書館から出て、ふたりは廊下を進んだ。

 少し行くと、前方に女子生徒が見えた。巻き毛のレイブンクロー生で、ポリジュース薬を飲んだ後、ロンがスリザリンの談話室を尋ねたあの女子生徒である。

 そのとき、不意に奇妙な音が辺りに響いた。

 何か質量のあるものが、床を引きずっているような音である。


「何の音?」


 サクラとハーマイオニー、女子生徒も立ち止まる。


「……念のため、その角の向こうを鏡か何かで確認した方がいいわ」


 ハーマイオニーが神妙な面持ちで述べる。

 女子生徒は少し怪訝そうな表情を見せたが、やはり不安なのだろうか手鏡を取り出して廊下の角の先を映した。

 その鏡に映った、大きく黄色い玉がふたつ。それを見て、サクラの意識が遠退いたのだった。

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