秘密の部屋

日記の記憶

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 ハリーが訪れた50年前の校長室には、ダンブルドアとは違う老人がいた。

 そこへ、ひとりの少年が入ってくる。16歳くらいで背が高く、ハリーのように黒い髪の少年だった。胸に銀色のバッジをつけているので、監督生らしい。

 彼らの会話を聞くと、少年がリドルで老人が当時の校長のディペットだった。


「夏休みの間、学校に置いてあげることは出来ないんじゃよ。休暇には、家に帰りたいじゃろうけど」

「いいえ。僕はむしろ、ホグワーツに残りたいんです。その……あそこに帰るより……」


 リドルは、父親がマグルで母親が魔女のハーフだった。両親は、リドルが生まれてすぐ、彼に名前をつけて亡くなったとマグルの孤児院で聞かされたようだった

 父の名前をとってトム、祖父の名前をとってマールヴォロ。ということは、「T・M・リドル」は「トム・マールヴォロ・リドル」ということになる。

 ディペットは、ホグワーツに残りたいというリドルに対して特別処置を取ろうと思ったが、現在の学校の状況では難しいようだった。今まさに、「秘密の部屋」の事件が起こっているのだろう。


「先生――もしその何者かが捕まったら……もし事件が起こらなくなったら……」

「どういう意味かね? リドル、何かこの襲撃事件について知っているとでも言うのかね?」

「いいえ、先生」


リドルは慌てて答えたのだった。

 しかしそのときのリドルは、何も知らないようにも見なかったという。

 それからリドルは校長室から出て、少し立ち止まった。唇を噛み、額に皺を寄せて何か深刻な考えをしているようだった。

 そして突然何かを決心したように歩きだし、玄関ホールまでやってきた。

 すると、誰かがリドルを呼び止める。

 鳶色の長い髪と髭の人物が、大理石の階段の上で佇んでいた。50年前のダンブルドアに違いない。


「トム、こんな遅くに歩き回って、何をしているのかね?」

「はい、先生。校長先生に呼ばれましたので」

「それでは、早くベッドに戻りなさい。この頃は、廊下を歩き回らない方がよい。例の事件以来……」


 ダンブルドアは大きくため息をつき、そして「おやすみ」と言ってその場を去っていった。

 その姿を見送ったリドルは、急いで石段を下りて地下室へ向かった。彼が入ったのは、スネイプが授業で使う教室だった。

 松明がついていない室内で、リドルはほとんどのドアを閉め、それからひとつのドアの影に立って、じっと外の通路を窺っていたのだった。

 1時間くらいそうしていると、外の通路に何かの気配がした。誰かが足音を忍ばせて、リドルとハリーが隠れている教室の前を通り過ぎたのだった。

 リドルは音を立てずに、静かに後を追う。

 5分ほどその足音についていったが、リドルは急に立ち止まって別の物音がする方へ向かった。

 どこかの部屋のドアが開き、囁き声が聞こえてきた。


「――おいで……お前さんをこっから出さなきゃなんねえ……さあ、こっちへ……この箱に……」


 その声は、ハリーにとって聞き覚えのある声だったという。

 リドルは物陰から飛び出し、そこへ向かう。

 開け放たれたドアの前にとても大きい少年の影が見え、そして大きな箱が置いてあった。


「こんばんは、ルビウス」


 リドルが鋭く声を掛けると、少年は慌ててドアを閉めて立ち上がった。


「トム! こんなところでお前、何してる?」

「観念するんだ」


 リドルが一歩踏み出すと、少年が僅かに怯む。


「ルビウス、僕は君を突き出すつもりだ。襲撃事件がやまなければ、ホグワーツが閉鎖される話まで出ているんだ」

「何が言いてえのか……」

「君が誰かを殺そうとしたとは思わない。だけど、怪物はペットとして相応しくない。多分君は、運動させようとしてちょっと放したんだろうが、それが――」

「こいつは誰も殺してねえ!」


 少年は、ドアの中にある何かを護ろうとするように後ずさる。ドアの中から、ガサゴソ、カチカチという音が聞こえた。


「さあ、ルビウス……死んだ女子学生のご両親が、明日学校に来る。娘を殺したやつを、確実に始末すること。学校として、少なくともそれだけは出来る」

「こいつがやったんじゃねえ! こいつに出来るはずねえ! 絶対やっちゃいねえ!」


 少年の声が、通路に響く。


「どいてくれ」


 リドルが杖を取り出して呪文を唱えると、辺り一帯が明るく光る。少年の背後のドアが勢いよく開き、少年は壁まで吹き飛んだ。

 中からは恐ろしいものが姿を現した。毛だらけの巨大な胴体と何本もの脚。ギラギラ光る、たくさんの眼。

 その生き物はリドルを倒れさせ、通路へ逃げていって姿を消したのだった。


「やめろおおおおお!」


 少年は大きい図体でリドルに飛びかかり、杖を引ったくって投げ飛ばした。

 そこでハリーは、自分の寝室のベッドの上へと戻ってきたのだった。



 50年前「秘密の部屋」を開けて怪物を解き放った犯人は、ハグリッドだった。それは、とても信じられるようなことではない。サクラが知っている彼は、そのようなことをする人物には思えない。

 しかし、彼がホグワーツを退学させられたことを知っているし、怪物のような生き物が好きだということも知っている。

 もしハグリッドが在学しているとき学校に怪物がいたとしたら、きっと一目見てみたいと思うだろうし、ずっと狭いところにいるのだったら少しでも外に出してあげようと思うかもしれない。

 しかし、サクラはハグリッドを信じたいし、その日記のリドルがハリーに見せた記憶が正しいとも言い切れない。


「リドルは、犯人を間違えていたかもしれないわ」


 ハーマイオニーも、日記の記憶が信じきれずにそう述べた。


「そうだよ。それに、生徒を襲った怪物は、別のものかもしれないし……」


 サクラとハーマイオニーの中では、怪物はヘビだと半ば結論付けている。


「ハグリッドが追放されたことは、僕達もう知ってた」


 ハリーも、犯人がハグリッドだったと分かって悲しいのだろう。弱々しく言葉を紡ぐ。


「それに、ハグリッドが追い出されてからは、誰も襲われなかったに違いない。そうじゃなきゃ、リドルは表彰されなかったはずだもの」

「リドルって、パーシーにそっくりだ。そもそも、ハグリッドを密告しろなんて、誰が頼んだんだ?」


 しかし、ロンはリドルが気になるようだった。


「でも、ロン。誰かが怪物に殺されたのよ」

「それに、ホグワーツが閉鎖されたら、リドルはマグルの孤児院に戻らなきゃならなかった。僕、リドルがここに残りたかった気持ち、分かるな……」

「リドルは監督生だったんでしょ? だったら、学校の安全のためにも、自分が捕まえなきゃって思ったんじゃない?」


 そこでロンが、思いついたように口を開いた。


「ねえ、ハリー。君、ハグリッドに『夜の闇ノクターン横丁』で出会ったって言ったよね」

「『肉食ナメクジの駆除剤』を買いにきてた」


 急いで答えるハリー。

 どうやらハグリッドは、「夜の闇ノクターン横丁」で怪しいことをしていた訳ではなさそうである。

 4人で考えても何も真相は分からない。暫く沈黙が続いたあと、ハーマイオニーが口を開いた。


「ハグリッドのところに行って、全部訊いてみたらどうかしら」


 恐らく4人共思ったことで、一番言いにくいことだった。


「そりゃあ、楽しいお客様だろうね」


 ロンが、おどけるようにして言う。


「こんにちは、ハグリッド。教えてくれる? 最近城の中で毛むくじゃらの狂ったやつをけしかけなかった? ってね」

「言える訳ないね」


 ロンの言い方は直球すぎるが、一体どうハグリッドに切り出せばよいのか。下手に言って彼を傷つけたくもない。

 結局、また事件が起こらない限り、ハグリッドに訊かないことにした。それから何も起こらないまま数日が過ぎたので、このまま彼に何も聞かないで済むかもしれなかった。



 ジャスティンとほとんど首なしニックが襲われた事件を最後に、約4ヵ月が過ぎた。

 ハリーも、謎の声が聞こえないようなので、事件はもう起こらないと学校中が思っていた。

 3月になり、何本かのマンドレイクが第三温室で乱痴気パーティをしたようだった。魔法界の植物の成長の仕方は不可思議である。

 マンドレイクは、互いの植木鉢に入り込もうとしたら、完全に成熟したということらしい

そうすれば、石にされた人達を治せる薬が作れるのだった。

 復活祭イースターの休暇に入り、2年生は3年生で選択する科目を決めるという課題を出された。


「私達の将来に全面的に影響するかもしれないのよ」


 ハーマイオニーが真剣な面持ちで、リストの上から順にチェックを入れていった。


――あれ、ハーマイオニー、全部にチェックする勢いじゃない?


 自分のリストを見つつ、ハーマイオニーの手元を横見してサクラは密かに驚いたのだった。

 選択科目なのだからいくつかを選択するということで、全てを選択する必要はないと思っていた。しかし、ハーマイオニーは全てを選択する気なのだろうか。

 これだけ科目があるのだから、同じ時間帯にある授業もあるだろう。ハーマイオニーはどういうつもりなのだろうか。


「僕、魔法薬をやめたいな」

「そりゃムリ」


 ハリーとロンが憂鬱そうに述べる。

 今までの科目はこれからも続く。それに加えて3年生からの科目を選択するのである。

 そうでなければ、『闇の魔術に対する防衛術』を捨てる、とロンが暗い様子で言う。


「だってとっても重要な科目じゃないの!」


 信じられない、というようにハーマイオニーが声を上げる。ロックハートの授業だから、尚更なのだろう。


「ロックハートの教え方じゃ、そうは言えないな。彼からは何にも学んでないよ。ピクシー小妖精を暴れされること以外はね」


 ロンがそう皮肉を言って言い返す。

 サクラは、今一度自分の手元のリストに目を落とした。

 選択出来る科目は5つ。数占い、占い学、マグル学、古代ルーン文字学、魔法生物飼育学。この中で強く惹かれるのは、マグル学と魔法生物飼育学のふたつだった。


――魔法界でのマグルの勉強って、どんな感じかな。それに、動物好きだし。


 しかし、他の科目も聞きなれないものでどのような内容なのか気になる。

 ネビルは、親戚中から手紙が届き、どの科目を選択しろなどと意見されているようだった。困り果てたネビルは、数占いと古代ルーン文字学のどちらが難しいかと、周囲に聞いて回っている。

 ハーマイオニーは、やはり全ての科目を選択したようだった。彼女は優秀であるし、何とかなるのだろう。

 サクラはそのような真似出来ないので、悩みに悩んでマグル学と魔法生物飼育学、そして古代ルーン文字学を選択したのだった。

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