秘密の部屋

スリザリンの談話室

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 地下は薄暗く、ハリーとロンの大きな足音が響く。廊下に人影はなく、迷路のように続いていた。3人は時間を気にしながら、奥へと進む。

 15分ほど歩いたとき、前方で何かが動く音がした。


「お、今度こそ連中のひとりだ!」


 脇の部屋から誰かが出てきた。急ぎ足で近づくと、その人物はスリザリン生ではなくパーシーだった。


「こんなところで何してるんだい?」


 驚いたロンが、自分の兄へ問いかけた。


「そんなこと、君の知ったことじゃない」


 自分の弟だとは知らず、パーシーは愛想悪く答えた。


「そこにいるのは、クラップだな?」

「え……あ、うん」

「それと……」

「パ、パンジー・パーキンソンよ」

「そうか。それじゃ、自分の寮に戻れ。この頃暗い廊下をうろうろしていると危ない」

「自分はどうなんだ?」


 ロンが訊くと、パーシーは胸を張った。


「僕は監督生だ。僕を襲うものは何もない」


 最も今回の事件はマグルを標的にしているようなので、純血であるパーシーに被害は起こらないだろう。


「――お前達、こんなところにいたのか」


 背後からドラコの声が響いた。

 サクラは、心臓が飛び出すほど驚いて振り返る。


「パンジー? 家に帰ったんじゃないのか?」

「えっ、えっと……!」


 こう訊かれた場合何と答えるのだったか。サクラはど忘れしてしまった。

 するとハリーが小声で助け舟を出してくれた。


「あ、そう! ちょっと用事を思い出して、戻ってきちゃったの」

「用事……?」


 訝しげに見てくるドラコに、サクラはしまったと後悔する。


――パーキンソンさんってどんな感じの人だったっけ!


「まあいい。クラッブ、ゴイル。今まで大広間でバカ食いしていたのか? ずっと探していたんだ。すごく面白いものを見せてやろうと思って」


 そしてドラコは、奥にいるパーシーを睨みつけた。


「ところでウィーズリー。こんなところで何の用だい?」


 明らかに上級生への言い方ではないドラコ。そんなドラコに、パーシーがカンカンに怒った。


「監督生に少しは敬意を示したらどうだ! 君の態度は気に食わない!」


 ドラコは気にせずにフンと鼻を鳴らし、「ついてこい」と言った。

 3人はドラコについていったが、サクラを見て「何でお前も?」というような顔を向けられる。


「そのすごく面白いもの、私も見ていいかしら」

「いいけど……何か用事があるんじゃないのか?」

「そ、それはもう終わったわ」

「そうか……それにしても、あのピーター・ウィーズリーの奴――」

「パーシー」


 ロンが思わず強めに訂正する。


「何でもいい。あいつ、どうも最近嗅ぎ回っているようだ。何が目的なのか、僕には分かってる。スリザリンの継承者を、ひとりで捕まえようと思ってるんだ」


 ドラコが嘲笑する。3人は思わず目を見交わした。

 歩いていくと、湿った石壁に出くわした。それを前に、ドラコが振り向く。


「新しい合言葉は何だったかな」

「えーと」


 サクラ達は焦るが、ドラコは思い出して再び石壁に視線を戻した。


「あ、そうだ――純血!」


――嫌な合言葉だけど、スリザリンらしい。


 壁に隠れていた石の扉がひとりでに開く。

 スリザリンの談話室は細長く、天井が低かった。丸い緑がかったランプが鎖で天井から吊るされて室内を照らしている。前方にある壮大な彫刻を施した暖炉に火が燃え盛っているが、冷たい印象を感じる談話室だった。


「ここで待っていろ」


 ドラコが、暖炉から離れたところの椅子を示した。


「今持って来るよ。父上が僕に送ってくれたばかりなんだ――」


 サクラ達は緊張しながら椅子に腰掛けるが、しかし寛いでいるように装う。

 すぐに戻ってきたドラコが手にしているのは、新聞の切り抜きのようだった。


「これは笑えるぞ」


 鼻先に突き出されたロンが目を見開き、急いで読んだ。そして無理やり笑みを零して、隣のハリーに渡す。

 それを読んだハリーからもらい、サクラも急いで目を通す。


「どうだ? おかしいだろう?」


 ハリーも無理やり笑い声を発する。

 その新聞記事には、ロンの父親が罰金を取られた内容が記載されていた。

 マグル製品不正使用取締局局長のアーサー・ウィーズリーは、マグルの自動車に魔法を掛けた廉で、金貨50ガリオンの罰金を言い渡された。

 ホグワーツの理事の一人、ルシウス・マルフォイがウィーズリー氏に辞任を要求。

 「ウィーズリー氏は魔法省の評判を貶めた」とルシウス氏が語る。

 「我々の法律を制定するに相応しくないことは明らかで、彼の手になるバカバカしい『マグル保護法』は直ちに廃棄すべきである」。

 ウィーズリー氏のコメントは取ることが出来なかったが、妻が「とっとと消えないと、うちの屋根裏お化けをけしかけるわよ」と発言。

 サクラは言葉が見つからず、無言で記事をドラコに返した。


――こんな記事がおもしろいなんて……。


「アーサー・ウィーズリーはあれほどマグル贔屓なんだから、杖を真っ二つにへし折ってマグルの仲間に入ればいい。ウィーズリーの連中の行動を見てみろ。ほんとに純血かどうか怪しいもんだ」


 ロンの顔がみるみる歪んでいく。怒りが増し、けれども堪えているのだろう。


「クラッブ、どうかしたか?」

「腹が痛い」

「ああ、それなら医務室に行け。あそこにいる穢れた血の連中を、僕からだと言って蹴っ飛ばしてやれ」


 笑いながら言うドラコにサクラはどんどん悲しくなり、彼の顔が見られなくなる。


「それにしても、『日刊予言者新聞』がこれまでの事件をまだ報道していないのは驚くな」


ドラコが考えを巡らすようにして述べる。


「多分、ダンブルドアが口止めをしてるんだろう。こんなことがすぐにでも終わらなければ、彼はクビだな。父上は、ダンブルドアがいることでこの学校にとって最悪の事態だと、いつも仰っている。彼はマグル贔屓だ。きちんとした校長なら、あんなクリービーみたいなくずのご機嫌取りを絶対に入学させたりしない」


 ドラコはカメラを構えるようにしてコリンの真似をして見せる。


「ポッター、写真を撮ってもいいかい? ポッター、サインをもらえるかい? 君の靴舐めてもいいかい?」


 その馬鹿にしたようなドラコの行動に、サクラはついに視線を逸らした。


――本当にひどい人なんだ、マルフォイくんは。


「3人共、一体どうしたんだ?」


 そう声を掛けられ、サクラは慌てて顔を上げる。


「確かにクリービーはそんな感じね。でも、もっと媚を売るようにバカっぽく言ってるんじゃない?」


 サクラがそう言い、ハリーとロンも笑い声を出す。それでドラコは満足したようだった。

 パンジーはいつもグリフィンドール生に対して否定的で、クラッブとゴイルもこのくらい鈍いのだろう。


――コリン、ごめんね。


「それもそうだな――聖ポッター。穢れた血の友。あいつもやっぱりまともな魔法使いの感覚を持っていない。そうでなければ、あの身の程知らずのハーマイオニー・グレンジャーなんかと付き合ったりしないはずだ……」


 ここで同じマグルであるサクラの名前は出てこなかった。それが妙に引っ掛かる。


「それなのに、みんなあいつがスリザリンの継承者だなんて考えている!」


 遂に核心に触れた。

 サクラ達は息を押し殺してドラコの言葉を聞く。


「一体誰が継承者なのか僕が知っていたらな。手伝ってやれるのに」


――マルフォイくんじゃない?


 思わず肩の力が抜けてしまった。

 ハリーが、すかさずドラコに訊く。


「誰が陰で糸を引いてるのか、君にも考えがあるんだろう?」

「いや、ない」


 ドラコが首を振るう。


「ゴイル、何度も同じことを言わせるな。それに、父上は前回『部屋』が開かれたときのことも、全く話してくださらない。最も、50年前だから、父上の前の時代だ」


 しかし、ドラコの父ルシウスは全てを知っているし、全てが沈黙させられているからそれをドラコが知り過ぎると怪しまれると言う。


「――でも、ひとつだけ知っている。前回『秘密の部屋』が開かれたとき、穢れた血が一人死んだ。だから、今回も時間の問題だ。あいつらの内誰かが殺される。グレンジャーだといいのに」


 ドラコの言葉に、心を突き刺される。

 ロンは巨大な拳を作っていて、それでも必死に抑えていた。


「前に『部屋』を開けた者が捕まったかどうか、知ってる?」


 ハリーが訊くと、ドラコは頷いた。


「ああ……誰だったにせよ、追放された。多分、まだアズカバンにいるのだろう」

「アズカバン?」


 ハリーがオウム返しをする。アズカバンが何なのか知らないのだろう。

 アズカバンは、魔法使いの刑務所のようなところで吸魂鬼ディメンターというものが看守をしている所である。


「アズカバン――魔法使いの牢獄だ」


 ハリーがアズカバンを知らないことに気づいて、ドラコが目を見開く。


「全く、ゴイル。お前がこれ以上うすのろだったら、後ろに歩き始めるだろうよ……」


 そしてドラコはまた父から聞いたことを話し出す。


「父上は、僕が目立たないようにして、スリザリンの継承者にやるだけやらせておけって仰る。この学校には穢れた血の粛清が必要だって。でも関わり合いになるなと。もちろん、父上は今、自分の方で手一杯なんだ。ほら、魔法省が先週、僕達の館を立ち入り検査しただろう?」


 ドラコが落ち着かない様子で体を揺らす。マルフォイ一家にとって、立ち入り検査はよくないことだったのだろう。

 サクラとハリーは、心配そうな表情をした。


「ご両親も大変だったでしょう? どうだったの?」


 サクラが言うと、マルフォイが沈鬱な表情で頷く。


「ああ……幸い、たいした物は見つからなかったけど。父上は非常に貴重な闇の魔術の道具を持っているんだ。応接間の床下に我が家の『秘密の部屋』があって――」


 そこで、ドラコがサクラを見た。まるで、信じられないものを見ているようだった。


「え?」


 サクラは不安になってハリーとロンの方を見る。

 ロンの髪の毛がみるみる赤くなっていき、ハリーの顔も縮んでいった。

 ふたりもこちらを恐怖の表情で見てきたし、自分の肩に髪の毛が伸びて滑っていくのが分かった。

 皆自分に戻り始めたのだった。

 3人は慌てて立ち上がる。


「胃薬だ」


 ロンが呻くように言い、サクラ達は急いで談話室の出入り口に向かおうとしたのだった。

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