秘密の部屋

ポリジュース薬

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 皆で揃って食べるクリスマスディナーは、とても楽しかった。

 大広間の天井から雪が舞い降りているが、これは暖かくて乾いた雪でとても不思議だった。クリスマスツリーが何本も飾られ、どれもがきらきらと飾り付けられている。

 ダンブルドアは、クリスマス・キャロルを2、3曲指揮していたのでお気に入りの曲なのだろう。ハグリッドは、エッグノッグという甘いミルクをアルコールで割った飲み物をがぶ飲みしていて、普段大きな声が更に大きな声になっている。

 フレッドに「監督生」バッジをいたずらされたパーシー。「劣等生」バッジになっていることに気づかず、何がおかしいんだ、とクスクス笑う周囲に尋ねていた。

 スリザリンのテーブルから、ドラコの声が聞こえてくる。どうやら、ハリーの新しいセーターの悪口を言っているようだった。しかし、ハリーは特に気にしているように見えない。


「さ、もう行きましょう」


 ハリーとロンが、まだクリスマスプディングの3皿目を食べているとき。ハーマイオニーが立ち上がったのだった。

 無理やりハリーとロンを連れ出し、大広間から出た。


「これから変身する相手の一部分が必要なの」


 ハーマイオニーが、こともなげに述べる。


「当然、クラッブとゴイルから取るのが一番だわ。マルフォイの腰巾着だから、あのふたりにだったら何でも話すでしょうし。それと、マルフォイの取り調べをしている最中に、本物のクラッブとゴイルが乱入するなんてことが絶対ないようにしておかなきゃ」

「それで、ふたりにはこれを使ってほしいの」


 サクラは、小さなカップケーキをふたつ差し出した。厨房を借りて、お菓子作りの練習として作ってみたのである。


「簡単な眠り薬を仕込んであるの。これを、何とかしてふたりに食べさせて。まあ、見えるところに置いておけば、あのふたりなら食べそうだけど。眠ったら髪の毛を2、3本抜いて、ふたりを箒用の物置にでも隠しておいて」


 ハリーとロンが、不安そうに顔を見合わせた。


「僕、ダメなような……」

「それって、ものすごく失敗するんじゃ……」

「ポリジュース薬には、クラッブとゴイルの毛がないと役に立ちません」


 しかし、ハーマイオニーは弱気なふたりにきっぱりと言い渡す。


「あなた達、マルフォイを尋問したいの? したくないの?」

「ああ、分かった。分かったよ」


 ハリーが、諦めたように頷く。


「でも、君達のは? 誰の髪の毛を引っこ抜くの?」

「私達のはもうあるの!」


 サクラとハーマイオニーは、ポケットから小瓶を出して見せた。


「覚えてる? 決闘クラブで私と取っ組み合ったミリセント・ブルストロード。私の首を絞めたから、ローブにこれが残ってたの!」

「わたしのは、パンジー・パーキンソンの髪の毛。わたしも決闘クラブのとき、彼女と組んだから、ちょっともらったの」

「ふたりとも家に帰っちゃっていないし。だから、スリザリン生には、学校に戻ってきちゃったって言えばいいわ」


 それからサクラとハーマイオニーは、尚も不安そうなふたりと別れた。

 ふたりは、洗濯物置き場から着替え用のローブとネクタイ4人分を拝借した。ローブの裏地やネクタイは寮によってカラーが違うので、スリザリン用のものを身につけなくてはならない。

 それからポリジュース薬を入れるタンブラーグラスを用意して、「嘆きのマートル」のトイレへ向かった。

 暫くすると、ハリーとロンがやってきた。袖で鼻を覆いながら、個室に入ってくる。


「どうだった? 上手くいった?」


 サクラが訊くと、ふたりはそれぞれの髪の毛を見せた。


「私達は、洗濯物置き場から着替え用のローブを4着、こっそり調達しといたわ」


 ハーマイオニーは、ローブの入った袋を掲げて見せた。

 煎じ薬の方は、今ではどろりとした黒い泥のようで、ボコッボコッと大きな泡を作って煮立っている。


「全て、間違いなくやったと思うわ」


 「最も強力な魔法薬」のポリジュース薬のページを注意深く読み返すハーマイオニー。確かに書いてある通りの煎じ薬の状態になっている。


「うん。見た目もこの本の通りだし、それに何回も確認したから、きっと大丈夫だと思う」


 そしてハーマイオニーは、煎じ薬を4つのグラスにたっぷり注いだ。

 ハーマイオニーが自分のグラスにミリセントの髪の毛を入れると、お湯が沸騰したやかんのシューシューというような音を立てて泡立った。薬は、くすんだ黄色へと変わる。


「おぇー……ミリセント・ブルストロードのエキスだ。きっとイヤーな味がするよ」

「さあ、あなた達も髪の毛を入れて」


 ハーマイオニーに倣い、サクラとハリーとロンも自分のグラスにそれぞれの髪の毛を入れた。

 パンジーの髪の毛を入れた煎じ薬は、腐ったような紫色になった。ハリーの薬は鼻くそのようなカーキ色、ロンの薬は暗い褐色に変化した。


「ちょっと待って」


 ハリーがふいに口を開く。


「4人一緒にここで飲むのはやめた方がいい。クラッブやゴイルに変身したら、この個室に収まりきらないよ。それに、ミリセント・ブルストロードだって、とても小柄とは言えないんだから」

「よく気づいたな。4人別々にしよう」


 ロンが個室の扉を開けた。


「個室は3つしかないから、わたしはハーマイオニーと一緒でいいよね」

「そうね」

「いいかい?」


 隣の個室、つまり真ん中に入ったハリーが呼びかけてきた。


「オーケー」


 サクラとハーマイオニーとロンが返事をする。


「1、2、3……」


 息を止め、一気に喉へ流し込んだ。薬はどろりしていて、少し喉に張り付く。

 変化はすぐに訪れた。胃が捩れたような感覚がして吐き気を催す。それはハーマイオニーも同じようで、ふたりで蹲ったのだった。

 焼けるような感覚が胃から広がり、全身に届く。みるみる指の形が変わり、視界の端に垂れる髪の毛が短くなっていった。

 気持ちの悪さが引いて目の前のハーマイオニーを見ると、サクラはぎょっとした。

 そこには、全身毛むくじゃらのハーマイオニーがいたのだった。

 視界が見辛いのは、眼鏡を掛けているからだろう。


「ハーマイオニー!?」


 喉からは、パンジーの底意地の悪そうな声が発せられた。


「うそ、何てこと……」


 ハーマイオニーが、自分の両手を見てそして顔を触って確かめる。

 ふさふさの毛、三角の耳、長いひげ。どうやらハーマイオニーは、猫に変身してしまったようだった。

 ポリジュース薬のページには、動物に変身してはいけないという記述があったはずである。


「どうしたの? 大丈夫かい?」


 隣から低い声が聞こえてくる。ハリーは無事にゴイルに変身出来たようである。


「僕は大丈夫だけど、ハーマイオニーに何かあったの?」


 ロンも無事にクラッブに変身出来たらしい。


「ハーマイオニーが……ちょっと待ってて!」


 ハリーとロンが個室から出て、鏡で己を確認しあう。


「サクラ、ハリーとロンと3人で行って」

「でも、ハーマイオニー」

「急いで。時間がないわ」

「わ、分かった。早めに戻って来るね!」


 サクラは、急いで眼鏡を外してスリザリンのローブに着替えて個室から出た。鏡の前には、本物のようなクラッブとゴイルがいる。


「ハーマイオニーは?」

「ハーマイオニーは行けない。詳しくは戻ってから話すね。とにかく急ごう」

「どうしたんだい? ミリセント・ブルストロードがブスなのは分かってるよ。誰もハーマイオニーだってこと、分かりゃしない」

「とにかく行きましょう」


 急ぎ足でトイレから出ようとすると、ハリーが怪訝そうにこちらを見た。


「その目つきの方がゴイルらしいや。先生が奴に質問すると、必ずそんな目をする」

「ハーマイオニー、大丈夫なの?」


 サクラはトイレから少し出て、廊下に誰もいないことを確認する。


「大丈夫……私は大丈夫だから行って……」


――全然大丈夫じゃないのに……やっぱりあたしも残って……いや、でもマルフォイくんのこと知りたいし。


「あとでここで会おう。いいね?」


 3人はトイレから出て大理石の階段へ向かった。


「腕をそんな風に降っちゃダメだよ」

「えっ?」


 ハリーがロンの歩き方を指摘する。


「クラッブって、こんな風に腕を突っ張る」

「こうかい?」

「うん、その方がいい」


 サクラは、今自分がパンジーなのだと思うといい気分ではない。しかし、ドラコとパンジーは仲が良さそうなので、この姿だと彼は色んなことを話してくれるのだろうか。

 3人は大理石の階段を下りた。ここでスリザリン生が通れば、談話室までついて行こうと考える。しかし、このときに限って誰も来なかった。


「何かいい考えはない?」

「確かスリザリン生は朝食のとき、いつもあの辺りから来てない?」


 サクラがそちらを指差す。


「ああ、確かそうだったような」


 そのとき、巻き毛の女子生徒がそこから出てきたのだった。


「すみません」


 ロンが彼女に声を掛けてしまった。


「あ、ロ――」


――ロンって呼んじゃだめだ。それに、その人スリザリンじゃない!


 彼女のローブは、緑ではなく青だった。


「僕達、談話室への道を忘れちゃって」

「何ですって? 私、レイブンクローよ」


 スリザリンの談話室はホグワーツの地下のどこかにあるようなので、まずは石段を降りて地下に行けばいいだろう。

 女子生徒が去ったあと、サクラ達は急いで石段を下りた。

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