秘密の部屋

懇願

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 ほとんど首なしニックとジャスティンの事件で、クリスマス休暇に帰ろうとホグワーツ特急の予約を入れた生徒が一気に増えた。


「この調子じゃ、居残るのは僕達だけになりそうだな。僕達と、マルフォイ、クラッブ、ゴイルだ。こりゃ楽しい休暇になるぞ」


 ロンが、皮肉も含めて言った。

 今では、学校を歩いていると皆ハリーを避けて通り、ひそひそと話していたりしている。それを見る度にサクラは心を痛めるが、ハリーが一番うんざりして心を病んでいた。

 いつも人を楽しませているフレッジョは、このことをむしろ面白がっていたのだった。

 ふたりはハリーの前に立ち、「まこと邪悪な魔法使い、スリザリンの継承者様のお通りだ」と高らかに述べながら廊下を歩いた。

 このことはパーシーがよく思っておらず、ジニーもふたりには嫌気が差していた。

 フレッドがハリーに大声で次のターゲットは誰かと訊いたり、ジョージがハリーを大きなにんにくの束で追い払うような仕草をしたりする度に、ジニーは「お願い、やめて」と涙声で懇願していた。

 これには、サクラも流石に見逃せなくなった。

 今回も談話室で、フレッジョがハリーへと声を掛ける。


「やあ、ハリー」

「よかったら、次の計画を俺らにも教えてくれないか?」


 ハリーは肩を竦ませただけだったが、ジニーがふたりに「そういうこと言わないで」と言った。

 このやりとりを、一体いつまで見なければならないのか。

 サクラは、フレッジョのところへ歩み寄った。


「フレッド、ジョージ。わたしからもお願い。もうそういうことは言わないで」

「おいおい、サクラ。冗談に決まってるだろ」


 フレッドがそう言い、ふたりがサクラへ笑いかけた。


「分かってるよ。わたしだって、ふたりが本当にそう思ってる訳じゃないって分かってる。でも、もうそんな冗談はやめて。ふたりはいつもわたし達を楽しませてくれた。でもね、ふたりがからかったりして、人を悲しませてほしくないの」


 ふたりから笑が消え、こちらを見つめてくる。

 談話室が静かになり、皆がこちらに注目した。


「ふたりが冗談でからかってるとしても、実際にジニーもわたしも、悲しくなってる。お願い。ふたりの冗談で、人を悲しませないで」


 サクラはハリーを本気で信じたい。それなのにフレッジョは、ハリーがスリザリンの継承者だということをネタにして、ジニーやサクラに悲しい思いをさせている。


――あたしは、ハリーがスリザリンの継承者だって、絶対に思わないし、フレッジョが人をからかって悲しませるようなことをしてほしくない。


「悪かった、サクラ」

「ごめんな」


 フレッジョは謝ってくれて、ジョージが頭を撫でてくれた。


「ジニーとハリーにも謝って」

「ごめん、ジニー」

「悪かった、ハリー」

「ううん。僕も、ふたりが本気でそう思ってる訳じゃないって分かってるから」

「わたしもごめんね。えらそうに言って。でも、ジニーがいつも悲しんでるから」


 ジニーの方を見ると、彼女が駆け寄ってきた。


「サクラ、ありがとう。私の代わりに言ってくれて」

「ううん。ごめんね、勝手なことしちゃって。わたし、ちょっと部屋に戻るね」


 サクラは談話室を離れ、寝室へ入った。ベッドに腰掛け、自分の考えを今一度整理した。

 自分は、ハリーを信じようと決めた。しかし、それは同時にドラコが犯人だと言っていることになるのだろうか。

 そして、もしドラコが犯人だとしたら。もしドラコがマグルの自分やハーマイオニーを襲いに来たら。

 考えていると、ハーマイオニーがやってきた。


「サクラ、大丈夫?」

「うん。ちょっと色々と考えてて」


 ハーマイオニーが隣に腰掛け、気遣わしげに見てくる。


「わたし、ハリーが犯人じゃないって信じてる」

「ええ、そうね。私もそうよ」

「でも……ハーマイオニー達は、ハリーじゃなくてマルフォイくんだって思ってるんでしょ?」

「ええ……だって、一番怪しいもの」

「でもわたしは、ハリーでもなければマルフォイくんでもないって思ってる」


 そう告げると、ハーマイオニーは怪訝そうに見つめてくる。


「わたしは、ハリーのことを信じてるけど、でもマルフォイくんが犯人だとは思ってない。でも、もし、本当にマルフォイくんがスリザリンの継承者で、わたしを襲ってきたら」

「……わたしの勘違いかしら。サクラは、自分が襲われるのを気にしてるというより、スリザリンの継承者がマルフォイなのかどうなのかってことを気にしてるように思うわ」


 サクラが何も言えずにいると、ハーマイオニーが言葉を続ける。


「サクラ、あなた本当にマルフォイが――」

「言わないで」


 そこでサクラは頭を振るった。


「ねえ、サクラ。聞いて。マルフォイは私達マグルを嫌う純血主義なのよ」


 ハーマイオニーが言い聞かせるようにして言ってくるが、サクラはそれを聞きたくなかった。


「そうだとしても、マルフォイくんは去年からいろいろとわたしにしてくれた。彼にどういう考えがあるのか分からないけど……」

「だけど……」

「わたしも、マルフォイくんがハーマイオニーにすごくひどいことを言ったのは赦せないよ。でも、わたし本当に、分からないの」


 ハーマイオニーが押し黙るが、やがて口を開いた。


「ポリジュース薬がもうすぐで完成するわ。それで、全てが分かる」



 クリスマス休暇にグリフィンドール生で残ったのはサクラ達4人の他に、ウィーズリー兄妹だけだった。

 ウィーズリー家の両親は、長男のビルがいるエジプトへ行ったようだったが、ウィーズリー兄妹は学校に残る方を選んだようである。

 去年のクリスマス休暇は男子ばかりで、楽しかったが今年はハーマイオニーとジニーも一緒にいるので嬉しかった。

 みんなで騒いだり「爆発ゲーム」をしたり、決闘の練習をしたりしていたが、ハーマイオニーとジニーの3人でヘアアレンジをしたり魔女のおしゃれを研究したりもしていた。

 少し残念だったのは、パーシーがあまり談話室に顔を出さなかったこと。彼は「お前達の子供っぽい行動はけしからん」と述べたのだった。

 それに、「僕がクリスマスに残るのは、この困難な時期に先生方の手助けをするのが、監督生としての義務だから」と言った。

 去年は一緒に過ごしてとても楽しかったが、今年はより遠い存在になってしまったようだった。

 クリスマスの朝。起きると、既にプレゼントの山が出来ていた。


「ハーマイオニー、メリークリスマス!」

「メリークリスマス、サクラ!」


 ふたりで挨拶を交わし、早速プレゼントを開けてみた。

 祖父母からはクリスマスプディングとクリスマスカードが贈られてきた。ハーマイオニーからは、「一年中咲く花」という本を貰った。


「これって」

「サクラがいつも読んでる本よりもっと詳しく書かれたのを見つけたから」


 その本には、いくつかの花と共にそれに合った成長促進の呪文や潤い保持などの呪文の掛け方が紹介されていた。

 サクラはハーマイオニーに、バラの模様のポーチを送った。そのポーチに、練習がてらに「検知不可能拡大呪文」を掛けたのである。

 この呪文により中身の容量が増えて重くもならなくなるのだが、サクラにはまだ上手くいかず、2倍くらいの容量にしかならなかった。


「すごいじゃない、サクラ!」


 しかし、ハーマイオニーはとても喜んでくれたのだった。


「検知不可能拡大呪文って、とっても難しいのよ」

「うん、すっごく難しかった! 何回も失敗しちゃって、やっとできたんだけどちょっと容量が増えただけで」

「それでもすごいわ。それに、ポーチ自体も可愛いし」

「喜んでもらえてよかった」


 それからサクラとハーマイオニーは、「嘆きのマートル」のトイレに向かってポリジュース薬の様子を見に行った。


「これで完成だね」


 サクラがクサカゲロウを鍋に入れ、ハーマイオニーが薬の具合を見る。

 薬から黒い煙が立ち上り、個室はとても煙たくなった。


「ばっちりね。あとは、相手の体の一部を入れるだけよ」

「わたしはパーキンソンさんで、ハーマイオニーはブルストロードさんね。ハリーとロンには、これから調達してもらうんだよね」


 パンジーに変身するのはいい気がしないが、そうも言っていられないのである。

 ハーマイオニーは、決闘クラブのときに組んだミリセントの髪の毛がローブについていたので、彼女に変身するつもりだった。

 その後、ふたりはそれぞれプレゼントを持参してハリーとロンの寝室へ訪れた。


「起きなさい」


 ハーマイオニーがカーテンを開けてふたりへ呼びかける。


「ハリー、ロン、メリークリスマス!」

「……君達、男子寮に来ちゃいけないはずだよ」


 原則として異性の寮へ行ってはいけない決まりになっている。しかし、今は自分達の他に誰もいないので、咎められることはない。


「あなたにもメリークリスマスよ」


 ハーマイオニーもロンへプレゼントを投げて渡した。


「私達、もう1時間も前から起きて、煎じ薬にクサカゲロウを加えてたの。完成よ」


 ハーマイオニーのその言葉を聞き、ハリーがベッドから起き上がった。


「ほんと?」

「うん。完璧だよ」

「やるんなら、今夜ね」


 そのとき、ヘドウィグが飛んできた。その嘴には、小さな小包を咥えている。


「やあ。また僕と口をきいてくれるのかい?」


 ベッドに降り立つヘドウィグに、ハリーが嬉しそうに話しかける。

 ヘドウィグも、ハリーとロンと一緒に空飛ぶ車でやってきて散々な目に遭ったようだった。そのため、ずっとハリーへ機嫌が悪かったのである。

 その小包はダーズリー一家からで、中には爪楊枝1本とメモだけ入っていた。

 最後にハリーが開けたプレゼントは、ロンの母であるモリーからの手編みのセーターと大きなプラムケーキだった。ハリーは、暗い表情でモリーからのクリスマスカードを飾っていた。

 ハリーは、ロンの父であるアーサーの空飛ぶ車を勝手に使って暴れ柳に衝突させ、そしてその車は行方を眩ませている。更に、これからロンと校則をかなり破ることになる。

 彼らに申し訳なさを感じているのだろう。

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