秘密の部屋

狙われたハリー

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 次の日の土曜日。

 グリフィンドールのクィディッチ選手はもう競技場へ向かったようである。サクラとロンとハーマイオニーは、試合が始まる前にハリーを一目見ようと外へ出た。

 更衣室へ入ろうとするハリーを見つけ、3人は彼へ駆け寄る。


「グッドラック」

「がんばってね」

「気をつけてね」


 サクラ達が声を掛けると、ハリーは硬い表情で頷いた。

 それからハリーが更衣室へと入っていき、3人は競技場のスタンドへと向かった。ハグリッドもやってきたので、いつものように席を詰める。

 暫くして選手達が入場し、真紅のユニフォームのグリフィンドール選手と、緑のユニフォームのスリザリン選手が向き合って立ち並ぶ。

 無意識にドラコへと視線がいってしまう。

 グリフィンドールのキャプテンのウッドとスリザリンのキャプテンが握手を交わしてから試合が開始した。

 ハリーが一際高く飛んで辺りを見回すと、ドラコがスピードを出してハリーに近づく。ハリーへ何か皮肉を言っていることが容易に想像出来る。

 そのとき、黒い玉が勢いよくハリーへ向かってきたのだった。それを、ハリーが紙一重で躱す。

 そのブラッジャーを、ジョージだろうか、スリザリン選手目掛けて力いっぱい打った。しかしどういう訳か、ブラッジャーがすぐに方向転換してハリーへと飛んでいった。

 それを再びハリーが避け、ジョージは今度はドラコへ打つ。ブラッジャーはドラコの方へ飛んでいくが、また向きを変えてハリーへ飛んでいった。


「何だか……おかしくない?」

「マルフォイが、ブラッジャーが嫌うほど最低最悪な奴だということはとっくに知ってたよ」

「あのブラッジャー、どう見てもハリーを狙ってるように見えるわね」


 ハリーは、競技場の反対側へ向かう。それを追うようにして飛んでいくブラッジャー。

 ハリーの向かう先には、フレッドが待ち構えている。ハリーが頭を引っ込めるのと同時に、フレッドがブラッジャーを打った。

 勢いよく飛んでいくブラッジャーだったが、再び弧を描いてハリーの方へ戻っていく。


「絶対おかしい!」


 不安になってサクラが叫ぶ。


「また誰かが操っとるっちゅうんか?」

「スネイプが?」

「だからあれはスネイプじゃなかったじゃない」

「操ってるとしたら、誰だろう。クィレルはもういないし……」


 今の時点で、今年度で怪しい教師はいない。

 スネイプは疑わしかったが、去年ハリーを助けたのだから考えにくい。ロックハートもある意味怪しいが、犯人だとは考えにくいだろう。

 そうだとすると、生徒に犯人がいるのだろうか。


「きっとマルフォイだ。あいつがブラッジャーに細工をしたんだ」


 漸くロンも真面目に考えるようになった。


「そんな……だってブラッジャーってずっとマダム・ピンズのところで保管してあったんじゃなかったっけ」

「じゃあ、一体誰が?」

「そうだ、ハグリッド。望遠鏡貸して」


 ハグリッドから望遠鏡をもらい、去年のように教師達のスタンドを見てみた。


「まさかまた、クィレルみたいな奴がいるんか?」

「……ううん。先生達の中でそれらしい人はいない」

「何とかしないと、ハリーが怪我しちゃうわ」


 雨が降り出し、視界が悪くなってくる。


『――スリザリン、リードです。60対0』


 実況のリーの声が響く。

 明らかにスリザリン選手達の箒の性能がいいし、その上ハリーがブラッジャーに狙われているので、状況は芳しくない。

 今では、フレッジョがハリーの近くを護るように飛び回っている。

 グリフィンドール選手も流石に試合を続行出来ないと判断したようで、タイムがなされた。

 スリザリンが野次る中、ハリー達が地上に降りてきて話し合いを始める。言い合いをしているようにも見えた。

 試合が再開すると、再びブラッジャーがハリーを追ってくる。

 ハリーが高く上って激しく飛び回るが、それでもブラッジャーはハリーだけを狙っていた。

 ブラッジャーはふたつあるのだが、その内のひとつに魔法が掛けられているということだろう。

 襲いかかるブラッジャーを避けようと、ハリーは箒から逆さにぶら下がる。観衆は面白そうに笑うが、サクラ達は不安で笑えなかった。

 ドラコがまた、ブラッジャーを避けようと奇妙な動きをするハリーに近づく。ハリーとドラコが空中で睨み合っているように見えたが、その隙をついたようにブラッジャーがハリーの肘にぶつかった。


「ハリー!」


 ハリーは、何とか片膝だけ箒に引っ掛けて落下を免れる。

 すると、ハリーはドラコに向かって急降下を始める。そのまま落ちてしまうのかと不安がよぎるが、ハリーは折れてない方の腕を真っ直ぐに伸ばしているのが見えた。


――まさか、スニッチを見つけたの?


 ドラコがハリーを避け、そしてハリーが何かを掴む。ハリーは地面へ足をつけたが、そのまま箒から転がり落ちるようにして泥の中へ倒れ込んだ。


『ハリーがスニッチを獲った! グリフィンドールの優勝です!』

「ハリーは大丈夫なの?」


 グリフィンドール選手達が次々と降りてきて、倒れるハリーを取り囲む。


「わたし達も行こう!」


 サクラ、ロン、ハーマイオニー、ハグリッドもスタンドから降りてきて、ハリーの元へ向かう。ロックハートがハリーを助け起こしているところだった。


――悪い予感しかしない!


「ハリー、大丈夫!?」


 サクラが駆け寄って叫ぶ。


「……あっ、丁度よかった」


 ロックハートが、引き攣った笑みをこちらに向けた。


「付き添って行ってくれないかね? マダム・ポンフリーが、その……少しハリーを……アー……きちんとしてくれるでしょう」


 ハリーが立ち上がると、彼の身体に違和感を覚える。

 ハリーの右腕が妙に脱力しているように見えたのだった。



 ロックハートは、ハリーの折れた腕を治そうとして失敗し、骨を無くしてしまったのだった。

 サクラは、恐怖と不安と怒りで呆然と立ち尽くしてしまったが、ハグリッドが憤慨しながらハリーを横抱きにして持ち上げた。

 ハリーは自分の足で歩けるようではあったが、あまりのショックで何も言わずにハグリッドに医務室へと連れていかれた。

 ハグリッドはこのことをダンブルドアに報告しようと、医務室から出ていったのだった。

 マダム・ポンフリーはひどく腹を立ててハリーの右腕を持ち上げる。


「真っ直ぐに私のところに来るべきでした!」


 ハリーの腕は、まるで袖から出る肌色のゴムのようだった。

 骨折ならすぐに治せるが、無くなった骨を戻すのは難しいようである。勿論治すことが出来るのだが、とても痛いらしい。

 ハリーは、今夜ここに泊まる必要があるのでパジャマに着替える。カーテンを引いて、ロンがハリーの着替えを助けた。


「ハーマイオニー。これでもロックハートの肩を持つっていうの?」


 カーテンの中からロンが訊いてくる。


「頼みもしないのに骨抜きにしてくれるなんて」


 ハーマイオニーを窺うと、彼女は動揺する訳でもなく答えた。


「誰にだって間違いはあるわ。それに、もう痛みはないんでしょう、ハリー?」

「ああ……痛みはないけど、おまけに何にも感じないよ」


 マダム・ポンフリーが薬を持って戻ってきた。その薬は、「骨生え薬のスケレ・グロ」とラベルが貼ってある大きな瓶である。


「今夜は辛いですよ」


 コップにその薬を注ぐマダム・ポンフリー。その薬は湯気が立っている。


「骨を再生するのは荒療治です」


 渡された薬を、ハリーが一口飲む。その瞬間、ハリーは薬を吐き出して咳き込んだのだった。

 マダム・ポンフリーが、クィディッチやロックハートに対して文句を言いながら出て行き、サクラ達は、ハリーが水を飲むのを手伝った。


「とにかく、僕達は勝った」


 ロンが破顔して言う。


「ものすごいキャッチだったなあ。マルフォイのあの顔……殺してやる! って顔だったな」

「怪我をしたのにスニッチを獲るなんて、さすがハリーだよ」

「あのブラッジャーに仕掛けをしたのは、マルフォイじゃないのかしら」

「質問リストに加えておけばいいよ。ポリジュース薬を飲んでからあいつに訊く質問にね……さっきの薬よりましな味だといいんだけど」


 ハリーがベッドに横になる。右腕がひとりでにパタパタと動いているようだった。


「スリザリンの連中の欠片が入ってるのに? 冗談言うなよ」


 医務室に、グリフィンドール選手達が入ってきた。全員泥まみれである。


「ハリー、超すごい飛び方だったぜ」


 ジョージが明るく話しかける。


「たった今、マーカス・フリントがマルフォイを怒鳴りつけてるのを見たんだ――スニッチが頭の上にあるのに何で気がつかなかったのか、とか。マルフォイの奴、しゅんとしてたぜ」


 選手達がケーキやお菓子を持ってきたので、ハリーのベッドの周りが埋め尽くされた。

 誰もがハリーを称えて勝利を喜び、医務室が賑やかになる。

 そのとき、マダム・ポンフリーが勢いよく入ってきたのだった。


「この子は休息が必要なんですよ! 骨を33本も再生させるんですから。出て行きなさい!」


 サクラ達も、マダム・ポンフリーによって追い出されてしまったのだった。

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