秘密の部屋

秘密の部屋は開かれた

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 やたらと絡んでくるロックハートに、ハリーは嫌気が差すどころではない。うんざりしているし、気が滅入るし、廊下の向こう側に少しでも彼の輝く歯の笑顔が見えたら、一瞬にして身を隠せる場所を探して、そこへ隠れるほどである。

 そんなハリーの今回の罰則は、ロックハートと一緒に彼のファンレターの返事を書くことである。

 ロックハートでなければ、このような罰則はセッティングされなかっただろう。つまり、マクゴナガルや校長のダンブルドアですら、ロックハートをそれほどの人物だと思っているということである。

 ダンブルドアがロックハートをホグワーツへ招いたのだと思うが、それでも彼の異様な性格を分かっているのだろう。

 そう考えると、確かに彼のファンレターの返事書きは、罰則になり得る。

 ロンの方は、管理人のフィルチと共にトロフィーを磨く罰則である。

 魔法を使わないマグル式の磨き方をするらしく、しかしロンはそのやり方を苦手だと言う。その上、生徒の皆から嫌われているフィルチと磨くのである。

 ハリーとロンにとって最悪の罰則だった。しかし、ふたりは空飛ぶ車でやってきて「暴れ柳」をひどく傷つけたのである。だから、ふたりは与えられた罰則を甘んじて受けなくてはならない。



 ハグリッドの小屋へ行った日の夕食後。ハリーとロンは、重い心と足取りでそれぞれの罰則へ赴いていった。

 時間の空いたサクラは、再びあることに挑戦しようと考えていた。

 家から持ってきた、手頃なパックと土と花の種をトランクから取り出す。また魔法で花を育てようと思っているのである。


「今回は何の花なの?」


 サクラと一緒にベッドへ腰掛けるハーマイオニーが尋ねてくる。


「前と同じ、ヒメナデシコだよ。前は失敗しちゃったから、また育てたいなって思って」


 前回は、植え替えのときにパンジー・パーキンソンにぶつけられて落としてしまい、その上彼女に踏まれてしまったのである。

 パンジーは花を踏める女なのかと思ったが、そのときのヒメナデシコはまだ花をつけていなかったから、ただの雑草だという認識だったのかもしれない。だから平気で踏めたのだろう。

 そのときのことを思い出して少し嫌な気持ちになったが、サクラは『魔法と草花』の何回も開いたページにもう一度よく目を通す。

 これから水をやって成長促進の魔法や色、潤い保持の魔法をかけ、よく日光に当てて育てていくのである。


「今回は、上手くいくといいわね」

「そうだね」


――もし成功して、植え替えもして花が咲いたら……あの人はどう思って……。


 そこで最近の彼のことを思い出し、サクラはやるせない気持ちになったのだった。



 10月に入り、ホグワーツでは風邪が流行した。

 ロンの妹のジニーも、最近ずっと調子が悪そうだった。心配したパーシーが、マダム・ポンフリー特製の「元気爆発薬」をジニーに与えた。

 無理やり飲まされたジニーは、しばらく耳から煙を出し続けていたのだった。彼女も赤毛なので、まるで頭が火事になっているようになった。

 そんな惨めな姿のジニーがかわいそうだった。

 サクラも、「元気爆発薬」なんて恐ろしいものを飲みたくないし、風邪にもなりたくないので予防に努めた。



 ある土曜日の午後、悪天候の中ハリーがクィディッチの練習に行った。このような嵐のような天気の中で練習をしていたら、風邪を引きかねない。戻ってきたハリーに、温かくするように言おうとサクラは考える。

 夕食前に戻ってきたハリーは、着替えたあと談話室である話を切り出してきた。

 グリフィンドール専属のゴーストである、ほとんど首なしニックの絶命パーティが開かれるようだった。それにハリーが招待され、サクラとロンとハーマイオニーも一緒にどうか、ということだった。その話に興味を持ったハーマイオニーは、面白そうと述べる。

 サクラは、そのような日は祝って良いのか分からず、複雑な気持ちになったのだった。

 ロンは、自分が死んだ日を祝うなど、死ぬほど落ち込みそうだと述べる。半分も終わっていない宿題を目の前にしているので、機嫌が悪そうである。

 サクラも少なからず興味が出たので、ハロウィーンの夜、学校のパーティではなく、ほとんど首なしニックのパーティに出席することにしたのだった。

 だんだんと、やはり学校のハロウィーンパーティの方がよかったかもと思ってきたが、当日は4人で会場の地下牢へと赴いた。

 そのパーティは、決して楽しいものではなかった。

 会場の飾りつけは陰気だし、とても寒いし、それに何百というゴーストがふわふわと漂っている様を見ると、陽気な気分にはなりえない。

 食べ物はみんな真っ黒に焦げていて腐っていて、カビが生えていて蛆が湧いている。到底サクラ達が食べられるようなものではなかった。

 ゴーストは、食べ物を通り抜けると味が分かるらしく、より強い風味を出すために腐らせていたりしているようだった。

 途中、ピーブズが三階女子トイレに住み着くゴースト、嘆きのマートルをけしかけてサクラ達も巻き込み、惨めな思いをさせられたマートルは泣きながら出て行ったのだった。

 寒くてお腹が空いた4人は、遂にこっそりとパーティを抜け出してきたのだった。

 大広間のパーティではまだデザートが残っているかもしれない。4人は急いで玄関ホールに出る階段を上っていった。

 そのときだった。

 突然ハリーが立ち止まった。それからよろよろと壁に体を寄せた。


「ハリー?」


 まさか、本当に体調を崩してしまったのだろうか。

 それからハリーは、壁にすがりながら薄暗い階段や通路の方を見回した。


「どうしたの?」

「またあの声なんだ……ちょっと黙ってて」


――またあの声って何?


 不気味さを感じながら、サクラはロンとハーマイオニーと一緒にハリーの様子を伺う。


「ほら、聞こえる!」


 ハリーが何をして何を言っているのか分からず、サクラ達はその場で立ち尽くした。

 ハリーが何かを追うようにして天井へ目を向ける。


「こっちだ!」


 急にハリーが階段を駆けがっていったのだった。サクラ達は訳も分からずにその後を追う。

 玄関ホールに着くと、大広間の賑やかさが響いていて、そのまま2階まで上っていった。


「ハリー、一体何を……」


 ロンが不安そうに訊くが、ハリーはシーッ! と遮る。そして唐突に叫んだ。


「誰かを殺すつもりなんだ!」


 困惑するが、ハリーが3階まで駆け上がっていってしまった。

 そこの階を、まるで何かを探すように駆けずり回るハリー。サクラ達はそれを追いかけることしか出来ない。

 ハリーが、一体何をしているのか分からず戸惑う。

 3階をくまなく探し回るようにして走り、ハリーがやっと立ち止まったのは最後の、誰もいない廊下に出たときだった。サクラ達は息を切らし、ロンは汗を拭いながら口を開いた。


「ハリー、一体これはどういうことだい?」


 何故か前方の床に水溜りが出来ている。そこに写る壁がサクラの目に入ったと同時に、ハーマイオニーが声を上げた。


「見て!」


 4人はそっと近づいた。壁に塗られた赤い字が、松明の灯で照らされている。


――秘密の……部屋? が開かれた?


 血文字のようなそれは、恐らく2つの文章が書かれている。しかし、2つ目の文章にサクラには訳せない単語があった。


――何に気をつけろって……。


「そこでぶら下がっているのはなんだろう?」


 薄暗い廊下で、目を凝らしながら近づく。

 松明の腕木に尻尾を絡ませてぶら下がっているのは、猫だった。それに気づいた4人は身体を竦ませる。

 それはフィルチの猫、ミセス・ノリスだった。

 ミセス・ノリスは、まるで生きたまま時間が止まっているように見えた。


「……ここから離れよう」


 ロンが静かに口を開く。


「でも、このままにしておくの?」


 サクラはミセス・ノリスのことが心配だったが、ロンに「僕の言う通りにして」と言われる。


「ここにいるところを見られない方がいい」


 ロンがそう言ったが、既に廊下がざわめき始めた。

 パーティを終えた生徒達が、階段を上ってこちらにやってくる。楽しげなおしゃべりをしているようだったが、最初にこの状況を目の当たりにした生徒達が、ぴたりと立ち止まった。

 水浸しの廊下、壁の血文字、吊るされているミセス・ノリス。

 この場にサクラ達がいるという状況は、非常にまずい。


――とっても……とってもまずいよね?


 この状況は、どう見てもサクラ達がやらかしたと思われるだろう。


「……秘密の部屋は開かれた……」


 壁の血文字を読み上げる声。

 青白い頬に赤みを差して、ドラコが興奮気味で述べた。


「――次はお前達の番だぞ、『穢れた血』め!」

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