秘密の部屋

『生まれ損ないの穢れた血』

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 何とか眼鏡を探し出したサクラ。

 スペアを持っていないので、これがないと生きていけないのである。

 それからサクラとハーマイオニーは、1年生時以上に図書館へ通い詰めるようになった。もちろんそこで宿題を行うこともあるのだが、その他にも様々な呪文や知識を得ようとするために訪れるのであった。

 1年生のとき、三頭犬のフラッフィーを出し抜いて仕掛け扉の向こうへ冒険をしたとき、1年生で習った呪文や知識だけではとても太刀打ち出来るものではなかった。そのときは、人並み以上の能力を持つ3人のおかげで無事に難関をクリアすることが出来たが、この先どんな危険なことに出くわすか全く予想出来ない。

 授業以外で自分達で多くの呪文や知識を蓄えておけば、自分の身を自分で護れるのである。

 そのためにサクラは、1年生のとき以上にハーマイオニーと一緒に学ぶことを決めたのだった。



 ハリーがロックハートに加えコリンにうんざりしながら、やっと週末を迎えた。

 コリンは筋金入りのハリーのファンなようで、1日に何度も声をかけていたのだった。ハリーがどんなに迷惑そうな声を出そうが、コリンは本当にうれしそうな顔をしていた。

 サクラ達は、土曜日の午前中にハグリッドを訪ねる予定だったが、ハリーが朝早くにクィディッチの練習へ向かったらしい。

 サクラとロンとハーマイオニーはその練習を見学しようと、競技所へ向かった。

 しかし、スタンドに座って待っていても、一向に選手達が現れない。


「本当に、グリフィンドールの選手達が練習するの?」

「だって本当に、ウッドが朝早くにハリーを起こしにきてたよ」

「もしかしてもう終わっていて、選手達は着替えてるのかしら」


 話しながらもう少し待ってみると、ようやく選手達が姿を現した。ハリーがスタンドにいるサクラ達の方へやってくる。


「まだ終わってないのかい?」

「まだ始まってもいないんだよ。ウッドが新しい動きを教えてくれたんだ」


 今までずっと、キャプテンであるウッドによる作戦会議が行われていたのだろうか。ウッドはずいぶん熱心なキャプテンである。

 ハリーが、サクラ達の食べているマーマレード・トーストを見つめていた。もしかして、朝食がまだなのだろうか。それとも、作戦会議をしただけでお腹が減ったのか。

 いよいよ選手達が箒で空へ舞い上がった。ハリーが気持ちよさそうに飛行している。

 そんなハリーを、スタンドの最後部座席でコリンが激写していた。

 すると、グリフィンドールチームが練習をしているというのに、緑のユニフォームを来た選手達が入ってきたのだった。


「スリザリンのチーム?」


 ウッドが勢いよく地面に降り立ち、少しつんのめったようだった。

 グリフィンドール選手が次々と地面に降りてきて、スリザリン選手と向き合う。しかし、それは決して穏やかな雰囲気ではなかった。

 最も、グリフィンドールとスリザリンが向き合って穏やかになることなど、ありえないのだが。

 スリザリン選手を見ると、6人の男子生徒の後ろから小さな人物が現れたのだった。

 

「なんであいつが?」


 ロンが呆気にとられるように呟く。

 サクラもびっくりして、その人物を見つめた。

 選手達は、練習を始めることはせずに言い合っているようだった。サクラ達は気になって、ついに競技場へ降りて向かった。


「どうしたんだい? どうして練習しないんだよ。それに、あいつ、こんなところで何してるんだい?」


 スリザリンのユニフォームを着ている、プラチナブロンドの少年。ドラコだった。


「ウィーズリー、僕はスリザリンの新しいシーカーだ」


――シーカー? ハリーと同じの?


「僕の父上がチーム全員に買ってあげた箒を、みんなで賞賛していたところなんだ」


 ロンが、スリザリン選手達の持つ箒を見て言葉を失くしている。

 サクラにはよく分からないが、その箒はとてもいいものだということだろう。


「どうだい?」


 ドラコが嫌味ったらしく笑う。


「グリフィンドールも資金集めして新しい箒を買えばいい。クリーン・スイープ5号を慈善事業に競売にかければ、博物館が買いを入れるだろうね」


 スリザリン選手が爆笑する。

 グリフィンドール選手は、皆表情を歪めていた。


「少なくとも、グリフィンドールの選手は誰ひとりとして、お金で選ばれたりしてないわ」


 そんな中、ハーマイオニーが口を開く。


「こっちは純粋に才能で選手になったのよ」


 スリザリンの方には才能がない、と言っているようなものである。

 それを聞いて少しすっきりしたのも束の間。

 ドラコがハーマイオニーを厳しく睨んだのだった。


「誰もお前の意見なんか求めてない。生まれ損ないの『穢れた血』め」


 グリフィンドール選手が、怒りの声を上げる。フレッジョがドラコに飛びかかろうとし、それを止めようしたスリザリン選手と揉み合いになる。

 サクラは、ドラコのその言葉に心を突き刺されたようになった。


「――マルフォイ、思い知れ!」


 ロンが杖を取り出し、そこから出た緑の閃光が逆噴射して、ロンが後ろへ吹っ飛んだところで我に返る。


「ロン!」

「ロン、大丈夫!」


 サクラ、ハリー、ハーマイオニーがロンへ駆け寄る。

 スリザリン選手は、笑い転げた。

 ロンは、気分が悪そうに地面へ突っ伏す。そして、大きなげっぷをして、口からナメクジを吐き出したのだった。


「ハグリッドのところに連れて行こう。一番近いし」


 大きなナメクジを次々と吐き出し続けるロン。3人は、ロンを助け起こした。


「――ハリー、どうしたの?」


 コリンが、スタンドから駆け下りてきた。


「病気なの? でも君なら治せるよね?」


 コリンがロンをカメラで撮ろうとする。しかし、ハリーは強い口調で述べた。


「コリン、そこどいて!」


 サクラはドラコの顔が見られずに、ハリーとハーマイオニーと一緒にロンへ連れ添った。

 ハグリッドの小屋が見えてきて、扉が開く。そこから出てきたのはハグリッドではなく、ロックハートだった。

 急いで脇の茂みに隠れるが、ハーマイオニーだけは不満げである。


「――やり方さえ分かっていれば簡単なことですよ。助けてほしいことがあれば、いつでも私のところにいらっしゃい!」


 もしかしてロックハートは、自分が何でも出来る魔法使いとして周囲へ触れ回っているのだろうか。

 ロックハートが去ってから、急いで小屋の戸を叩く。

 ハグリッドはすぐに出てきたが、不機嫌そうな表情だった。しかし、来たのがサクラ達だと分かると笑顔を見せてくれた。


「いつ来るんか、いつ来るんかと待っとったぞ。さあ入った入った……実は、ロックハート先生がまーた来たかと思ったんでな。ロンはどうしたんだ?」

「ロンが呪いをかけるのを失敗しちゃって!」


 ハグリッドに事情を説明すると、大きな銅のバケツをロンの前へ置いた。


「ロン、みんな吐いちまえ」

「止まるのを待つしか手がないと思うわ。あの呪いって、ただでさえ難しいと思うのよ。まして杖が折れていたら……」


 ハーマイオニーが気丈に振舞おうとしているのが分かる。サクラでさえ、まだ心が癒えないでいた。

 ハリーが、ロックハートは何の用だったのかとハグリッドに訊いた。

 ロックハートは、井戸の中の水魔を追っ払う方法をハグリッドに教えようとしていたらしい。まるで自分が知らないとでも言うように、とハグリッドが腹を立てていた。

 それでもハーマイオニーは、ロックハートを悪く言うことは許さなかった。


「それで、ロンは誰に呪いをかけるつもりだったんだ?」

「マルフォイがハーマイオニーのことを、なんとかって呼んだんだ。ものすごくひどい悪口なんだと思う。だって、みんなカンカンだったもん」

「ほんとにひどい悪口さ」


 ロンが真っ青な顔で、ナメクジの合間に喋る。


「マルフォイのやつ、ハーマイオニーのこと『穢れた血』って言ったんだよ……」


 それを聞き、ハグリッドが目を見開いて怒った。


「そんなこと、本当に言ったのか!」

「言ったわよ……」


 ハーマイオニーが涙を滲ませる。


「あいつの思いつく限り最悪の侮辱の言葉さ」


 ロンがまたナメクジの合間に答える。

 それを聞き、サクラの心がますます傷ついた。


――マルフォイくんが思いつく限りの、最悪の……。


「どういう意味なの?」


 ハリーが訊くと、ロンがナメクジを堪えながら答える。


「マグルから生まれたっていう意味の、つまり両親とも魔法使いじゃない者を指す最低の汚らわしい呼び方なんだ」

「マルフォイ達みたいに、『純血』って呼ばれるから自分達が誰よりも偉いって勘違いしている連中がいるのよ……教養のある魔法使いなら、絶対に言わないわ」

「それに……」


 そこでサクラが口を開く。

 思いの外声が震えていて、内心驚いた。


「それに、マルフォイくん……ハーマイオニーに――『生まれ損ない』とも言ったんだよ」

「マルフォイめ、何てことを! 俺達のハーマイオニーが使えねえ呪文は、今までにひとっつもなかったぞ。何が生まれ損ないだ!」

「そうだよ……ハーマイオニーのどこが……どこが生まれ損ないなの……!」

「サクラ……ありがとう」


 涙が滲んでくると、ハーマイオニーが抱きしめてくれたのだった。

 ハーマイオニーを慰めることが出来なくて、とても歯痒い。


――なんでそこまで言われなきゃならないの……あたしも、マルフォイくんにそう思われてるってことなのかな。 


「あなたも、ずっとマルフォイに『穢れた血』って呼ばれてたのよね。辛かったわよね」

「わたしなんて……ハーマイオニーの方がずっと傷ついたでしょう?」

「他人のことをそんな風に罵るなんて、むかつくよ」


 ロンが、額の汗を拭いながら言う。


「『穢れた血』だなんて、全く。卑しい血だなんて。狂ってるよ。どうせ今どき、魔法使いはほとんど混血なんだぜ。もしマグルと結婚していなかったら、僕達とっくに絶滅しちゃってたよ」


 そう言い終えると、ロンはまたナメクジを吐き出し始めた。

 淹れてもらったお茶を飲み終わったあと、サクラ達は小屋の裏にある小さな野菜畑でハグリッドが育てているかぼちゃを見せてもらった。

 そこには、サクラが両腕を伸ばしても抱えられない程の大きなかぼちゃが、十数個あった。これはハロウィーン用のかぼちゃで、ハグリッドが『肥らせ魔法』で育てたようだった。

 ちなみに、ハグリッドはホグワーツを3年生で退学になり、魔法を使ってはいけないことになっている。

 その後、ハグリッドと別れて城へ帰った。そのときロンはしゃっくりをしたが、もう小さなナメクジを吐くだけになった。

 玄関ホールに足を踏み入れたとき、マクゴナガルが姿を現す。ハリーとロンに、罰則の内容を言い渡した。

 ハリーが、ロックハートと一緒に彼のファンレターの返事を書くのを手伝い、ロンはフィルチと一緒にトロフィーを磨くことだった。

 ハリーもロンも絶望したのだった。

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