秘密の部屋

吼えメール

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 大広間で新入生の歓迎会が始まり、食事が終わり、生徒達が監督生と共に寮へ戻る頃になっても、ハリーとロンが姿を表さなかった。

 誰かが言い出した噂によると、ふたりは空飛ぶ車に乗って学校に来て、そのときに墜落してしまい、退学処分になってしまったらしい。

 何故空飛ぶ車で来たのか謎であるし、墜落したのならとても心配であるが、退学処分という結果が出たのなら、少なくともふたりはちゃんと生きているということだろう。

 サクラとハーマイオニーは、ひとまず監督生と他の生徒達と一緒に談話室まで来たが、やはり不安になって校内を探すことにした。

 しかし、探し回っても見つからず、ふたりは寮まで戻ろうとした。すると、談話室の入口で、太った婦人レディを目の前にするふたりを見つけたのだった。

 サクラとハーマイオニーは顔を見合わせ、そして急いでふたりの元へ向かう。


「ハリー! ロン!」

「やっと見つけた! 一体どこに行ってたの?」

「学校に空飛ぶ車で来て墜落して、退学処分になったって噂を聞いたけど」

「うん、退学処分にはならなかった」


 そのハリーの言葉に、サクラはほっと胸を撫でおろした。

 しかし、ハーマイオニーの方は顔を顰める。


「まさか、本当に空を飛んでここに来たの?」

「お説教はやめろよ。新しい合言葉は?」


 ロンが不機嫌そうに言った。


「『ミミダレミツスイワトルバード』だよ」

「話をそらさないで――」


 ハーマイオニーが文句を言おうとしたが、続かなかった。

 太った婦人レディが肖像画を開き、中から歓声と拍手が溢れてきたのだった。

 生徒達の何本もの腕がハリーとロンを捉え、ふたりを談話室へ引っ張り入れる。

 サクラとハーマイオニーも穴をよじ登ってふたりを追いかけた。

 談話室内で、テーブルの上や椅子の上にまで乗っている生徒がいて、ハリーとロンをヒーローのように讃えた。


「やるなぁ! 感動的だぜ!」


 リーが興奮して叫ぶ。


「なんてご登場だ! 車を飛ばして『暴れ柳』に突っ込むなんて、何年も語り草になるぜ!」


 あまり話したこともないような先輩達も皆、ふたりの背中を叩いて声をかける。

 人波を掻き分け、フレッジョがふたりの前までやってくる。彼らも楽しそうに、しかし少し不満そうに述べた。


「オイ、何で俺達を呼び戻さなかったんだよ」


 ロンが、バツの悪そうに笑う。

 ひとりだけ不機嫌そうな顔の生徒がいた。パーシーである。

 近づいてくるパーシーをハリーがロンに知らせると、ロンからは笑みが消えて気まずい表情になった。


「僕達、ベッドに行かなくちゃ……ちょっと疲れた」


 パーシーから逃げるようにロンが人波をかき分けて、部屋の向こう側のドアへ向かった。

 ハリーもそのあとに続き、サクラとハーマイオニーに「おやすみ」と言った。

 ふたりは背中を皆に叩かれながらドアまでたどり着き、その向こうの螺旋階段を登っていったのだった。

 ハーマイオニーは、パーシーと同じくらいしかめっ面をしている。


「ふたりが無事だったから、よかったじゃない」

「よかったわ。よかったけど、でも、どうして空飛ぶ車でなんて学校に来たのよ。ふたりは、ウィーズリーおじさまやおばさま、学校とかに連絡をよこせなかったのかしら」

「きっと、それで来なきゃいけなかったんだよ。明日聞いてみよう?」



 翌日、大広間で朝食を取っているとハリーとロンもやってきた。

 ハーマイオニーの「おはよう」には少しとげのある言い方だった。


「ハリー、ロン。昨日はどうして空飛ぶ車で来たの?」


 サクラが、ずっと気になっていたことをふたりに訊いた。


「9と3/4番線の柵を通り抜けられなかったんだ」


 すると、ハリーが妙なことを言い出した。


「え?」

「僕達も、先に行ったフレッドとジョージ達を追って、9と3/4番線のホームに行こうとしたんだ。でも、柵を通り抜けられなかったんだ」

「どういうこと?」


 ハーマイオニーが聞き返すが、ハリーもロンも首を振るって肩を竦める。


「じゃあ、ふたりは柵にぶつかっちゃったってこと?」

「そう」

「フレッドとジョージとかみんなが通れたのに?」

「うん」

「それで、空飛ぶ車に乗って学校へ来ようとしたの?」

「ああ、何とかして学校に着かなくちゃいけないって思って」

「でも、だんだんと車が壊れていって、最終的に『暴れ柳』に突っ込んじゃったんだ」

「そういうことなら無理して学校へ来ようとはせず、学校へふくろうを送るべきだったのよ。ハリーのヘドウィグは、ただのペットのふくろうなの?」


 ハリーが黙りこくった。


「君はほんと、マクゴナガルみたいだよな。僕達は焦ってて思いつかなかったんだよ」


 ハーマイオニーの言葉は最もである。

 そのような緊急事態なら、無理をして学校へ行く必要はないだろう。


「でも、ふたりが無事だったし退学にもならなかったからよかったよ」


 ハリーとロンは、力なく頷く。


「もうふくろう便が届く時間だ」


 ネビルがそう口を開いた。


「ばあちゃんが、僕の忘れた物をいくつか送ってくれると思うよ」


 ちょうどそのとき、頭上で羽音が聞こえてきた。

 100羽は超えるであろうふくろうの大群が大広間の頭上を飛び交って、生徒達に荷物や手紙を落としていく。

 でこぼこした包みがネビルの頭にぶつかって落ちてきたかと思うと、何か大きな塊がハーマイオニーのそばにある水差しの中に落ちてきて、ミルクと羽の飛沫が周りに飛び散った。


「エロール!」


 ロンが叫び、ミルクまみれになったふくろうを引っ張り上げた。気絶しているようだが、嘴でしっかりと赤い封筒をくわえている。


「大変だ……」

「大丈夫よ。まだ生きてるわ」


 ハーマイオニーが、エロールをつついて無事を確かめる。しかし、ロンが気にするのはエロールの安否ではなかった。

 ロンもネビルも、その封筒を恐ろしいもののように見つめている。


「ママが……ママったら『吼えメール』を僕によこした」

「ロン、開けた方がいいよ」


 かすれ声で呟くロンに、ネビルが言う。


「開けないと、もっとひどいことになるよ。僕のばあちゃんも一回僕によこしたことがあるんだ。でも、それをほっておいたら……ひどかったんだ」


 ネビルが、怯えながら述べる。


――何がどうひどかったんだろう。


「『吼えメール』って何?」


 ハリーが聞くが、ロンは答えずに震えながら封筒を見つめている。

 封筒の四隅から、何やら煙が出てきたのだった。


「開けて。ほんの数分で終わるから……」


 ネビルのためにならないアドバイスを聞き、ロンが封筒を手にしてゆっくりと開封した。

 ネビルが急いで耳に指を突っ込んだ。その瞬間、モリーの声が大広間に轟く。


「――車を盗み出すなんて!」


 サクラは驚き、肩をびくっとさせた。


「退学処分になっても当たり前です。首を洗って待ってらっしゃい。承知しませんからね! 車がなくなっているのを見て、私とお父さんがどんな思いだったか、お前はちょっとでも考えたんですか!?」


 モリーの怒声により天井の埃が落ち、テーブルの上の食器が揺れる。


「昨夜ダンブルドアから手紙が来て、お父さんは恥ずかしさのあまり死んでしまうのでは、と心配しました。こんなことをする子に育てた覚えはありません。お前もハリーも、まかり間違えば死ぬところだった……全く愛想が尽きました。お父さんは役所で尋問を受けたのですよ。みんなおまえのせいです! 今度ちょっとでも規則を破ってごらん。私達がお前をすぐ家に引っ張って帰りますからね!」


 モリーの怒りのメッセージが終わると、封筒が炎となって灰がテーブルの上に落ちていった。

 あまりの声量に、鼓膜が痛くなる。

 ハリーもロンも、呆然として動かない。

 静かになった大広間が、少しづつ賑やかになっていった。


「ま、あなたが何を想像していたかは知りませんけど、ロン、あなたは……」

「当然の報いを受けたって言いたいんだろう」


 ロンがハーマイオニーを睨みつける。

 ハリーが、食べていたオートミールを押しやった。夏休み中お世話になったウィーズリー夫妻に申し訳なさを感じ、とても食べられる気分ではないのだろう。

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