東方永遠録ー退屈を嫌った男ー

素人ドッター
@siroutokunn

第一話「転生したら犬に噛まれました」

前書き

時代はとーっも昔、まだ月に人が生物がいない時代です。

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 平和な日々だ、人々は仕事や勉学に励み、一日を暮らす、そんな日々が俺にとっては退屈だった。


 俺は今日も朝起き、学校に行き、友達と遊び、授業を聞き流し、部活をする、変わらない毎日。


「お前剣道だけは強いよな~」

「だけってなんだよ、俺は勉強だって普通にできる」

「だってお前、前回のテスト真っ赤だったじゃねーか」

「……次は頑張るさ」


 竹刀を振りながら話す、内容は違えどもやっていることは毎日変わらない、退屈だ

 自宅に帰り、兄と夕食を食べ、眠る、今日も変わらない退屈な日々だった、明日も今日と変わらない退屈な日常になると思っていた。

 









 目覚めたら見知らぬ白い部屋にいた、間違ってもこんな目に悪い部屋で寝ることは無い、


「起きたか、混乱するのはわかるがまず俺の話を聞け」


 目の前に居たのは狐の仮面を付けた男、混乱するなとか言っているが、怪しい狐男が目覚めたら目の前に居るなんて人生でもあるか無いかそんな事だ、そんな状況で冷静で居られる方がおかしいと思う。


「お前はこの世界に満足しているか?」


こいつはいきなりなに行ってるんだ?


「は? していていも、していなくてもこの世界に生まれた以上変えることなんかできない、変わるとしたら自分自身ぐらいだな」

「俺の質問に答えろ、満足しているのか?」


 狐の男の仮面の奥の目が俺をにらむ、この怒りに近いがひどく冷たい物は殺気と言うのだろうか、冷や汗が背中を濡らし、首筋が痛む、これはまじめに答えないとやばそうだ。


「満足していない、俺はこの退屈な世界にはうんざりしている」

「……その言葉に間違いはないな」

「……ああ」


 狐男の雰囲気が少し緩くなる、顔は見えないがそんな感じがする。


「そんなお前に、いい話がある」

「なんだ、麻薬の密売か?」

「そんなちんけなものでは無い、大体お前は変なところが真面目だからいくら刺激が欲しくてもそういう事はしなかっただろ」


 なんでこいつこんなに俺のこと知ってるいるんだ?さっきの殺気?もそうだがただの男ではないな。


「お前を新たな世界に連れていく、いわゆる転生というやつだ」

「……お前ラノベの読み過ぎじゃないのか」


 転生?新たな世界?そんなものは本の中の話だ、こんな現実にはあり得ない。


「信じないのも分かる、普通はありえないからな、だがお前は俺の話を蹴り、退屈な世界で一生を過ごすつもりか?」

「……」


 どうにもならないと理解してきた、だがもしこいつの話が本当ならば、俺は退屈せずに済むのではないか?


「分かった、俺を転生してくれ、何もしないで退屈するよりはお前の空想話を信じたほうがましだ」

「分かった、お前の魂を違う世界に転生させる。」


 しかしこいつは転生させるというがこいつに何の得があるというんだ?、それにこいつは一体何者だ?


「その前にお前は何者だ?、俺に転生させて何の得がある」

「俺は神だ、途方もない時間を生きた末に神になった男だよ」

「はぁ?神そんなものいないに決まっているだろう」


 やっぱり信用ならない、なんたって俺は神を信じていないからな。


「まあ、信じなくてもいい、あと俺に得だってある」

「この話のどこにお前の得することがあるんだよ」

「そうだな、運命と言った方がいいな、お前が転生しないとつじつまが合わなくなってしまうからな」


 神とか運命とか俺の信じていないものばかり言いやがって、こいつとこんなに話しているが新手の宗教勧誘かなんかじゃないかと思えてくる。

 まあそれども本当に転生させてくれるならどうだっていい。


「さて、そろそろ転生させるとしよう、何か質問あるか?」

「さっき言っていた魂だけとはどういうことだ?違う性別とかになったりするのか?」


 俺は男が気にいっているし、女になるなんてごめんだ。


「いや、ならない、顔も性別も記憶も全て同じだ、ただ転生出来るのは魂だけだ、体は俺が作ってやるからそこに魂を入れる」


 理解もあまり出来ていないがまあいい、元の世界になんて身内は兄しか居なかったし、未練なんて物は無い、退屈な日々に変化があるならそれだけで話を信じる価値がある。


「最後に質問だ、転生先はどんなところだ?」

「お前の世界にとても似てるが全然違うそんな世界だ」


「そうか……よくわからんが楽しそうだ」


 俺の体が透け始める、おお本当に転生ってあるのか今信じた。


「ああ、忘れていたが転生の特典として「創り出す程度の能力」をあたえる」

「なんだそれ?」

「向こうの世界で教えるさ」


 そう聞こえたあと、俺の視界は真っ暗になった。





「またな※※※、生きていたらいつか会えるさ」


「お前は俺の親友だ、これはお前が、持っておいてくれ」


「※さんは化物なんかではありませんよ、昔からあなたを見てきた私が言うことです、信じてください」


「それはお前の罪だ、ようこそ※※、妖怪、化物の世界へ」


「いいのです※、私は、自分が間違っていないと信じていますから」


「そこをどけ※※!!あいつを死なせるわけにはいかない」


「いくら人間に味方し、人間らしくしててもなぁ...、お前は化物なんだよ、※!!」





「※、私の事を※※ちまっても、また※※※さ」









 目覚めて初めに思ったことは月がとても綺麗だって事だ、右手、左手、右足、左足、五体満足な事は確認できた、頭の中に流れ込んできたあの記憶はなんだったのだろうか?


「それは記憶の残滓だ、お前の記憶ではなく別の誰かの記憶、たまにあるんだ転生するとな」


 俺の横に狐男が立っていた、あれ、俺口に出してたっけ?


「久しぶりだな、さて能力の説明をする、お前に与えられたのは創り出す程度の能力だ、名のとおりほぼ全ての存在を創り出すことができる」

「久しぶりって事は無いな、一瞬だったと思うぞ」

「……俺とお前の時間の感じ方が違うだけだ」


 まあそういう事もあるか、なぜか納得してしまった、話を戻すか、 


「俺は能力なんて必要ない、俺はただ退屈な日々が変わればそれで良い」


 能力なんてもの無くても生きていけるし、前の世界みたいに退屈せず、刺激があるならそれだけで良いんだけどな。


「能力の返還はできない、もう体に備えられているからな、使いたくなければ使わなくて良いが……この世界では使わないと生きていけないと思うがな」


 そんなに危険な世界なのかここは。


「なら仕方ないか」


 それなら大いに活用させて貰おうとしよう。


「それで、ほぼっていう事は創れない物があるのか?」 

「ああ、創れないものは魂だ、その能力では魂を創り出す事はできない、魂を創り出せるのは神かそれに近い力を持つ者だけだからな、あとその力は存在を創る物だ、壊すものでは無い」

「わかった、それでその能力という奴はどうやって使うんだ?」

「ただ思い描くだけでいい、自分がどんな物を創りだすのかを」


 とてもシンプルだった事に驚いたが能力なんてものはこんなものなんだろう。


「それと、その首飾りはなんだ?」


 首飾り?自分の首を見てみると鳥を模している首飾りが掛かっていた。


「俺こんなの知らないんだが、何なんだこれは?」


「……知らないな、俺が預かってやろうか?」


 狐男もわからないらしい、知らない間に首にあるなんて不気味すぎるし預かってもらうか。


「ああ、預かってくれ」

「わかった」


 狐男に首飾りを渡し、狐男は何故か大切そうに懐に仕舞っていた。


「説明は以上だ、俺はたびたび見ているからな、その体での二回目の人生大いに楽しんでくれ」


 そう言い残し、ここは何処かとか結構重要な事を教えずに消えてしまった、

 まあいいか、とにかく人を探してからこの世界の事を知るとしよう。








 

 周りは緑の木々が広がり、夜だが月光よって移動に支障が無いくらい明るい、いや太陽が照らしている昼のように明るく感じる。

 これも例の能力に関係があるのかそれとも本当に明るいのか分からないがそんなことはどうでも良い、この世界がどんな世界か把握するためにまずは人を探すとしよう。


 木々の隙間を歩いていく、

 普通の人ならこんな状況にパニックを起こすかもしれないが、俺にとって此処は前の退屈な世界より何十倍もマシだ、なにが起こるか分からないがどんなことも楽しみで仕方ない。


 適当に歩いていると開けた場所に出たが、此処は少しおかしい、何の匂いかわからないが鉄臭い。


 首筋がぴりぴりする、前の世界でも玉にあった、自分が危険な状況に置かれる寸前に起こる第六感みたいなものだ、残念なことにこれを外したことは無い。


 奥の茂みが揺れる、唸り声と共に姿を現したのは俺の身長(170cm)の倍はある大きさの狼に似た獣が顔を出す。


「おいおい……マジかよ」


 こんな大きな獣、前の世界にはいなかったぞ、あいつが能力を使わないと生きていけないって言っていたがこういうことか。

 退屈ではなくなったがもう少しマイルドな世界は無かったのか……


 心拍数が上がる、

 確実にこいつは俺を喰らう気だ、逃げるにも狭い木々の隙間を逃げる事は不可能だろう。

 選択肢は一つ、こいつを殺すしかない……

 能力なんて要らないとか言っていたが前言撤回し無いといけないな。


 狐男に教えられたように創る物を思い描く、

 思い描くのは刀、

 幼い頃から振り続けた刀を殺生に使うのは初めてだが、四の五の言ってたら死ぬ。


 右手にそこにあったかの様に刀が創られる、実際に真剣も振ったことがあるがそれよりもかなり軽い、羽のような軽さだ、


 刀を中段に構える

 息を吐き

 呼吸を整える。

 

 狼は体制を低くして何時でも襲いかかれる体制になる。


 もう一度息を吐く。


「こいよ、わん公」


 勝負は不意打ち以外先に仕掛けたほうが分が悪い。

 俺は挑発をするように刀を揺らす、


 雄たけびと共に狼は距離を一気に詰め鋭利な爪で俺を両断するように腕を振り下ろす。

 爪に刀を合わせ受け流す。

 力の差は体格的にも一目瞭然だ、受け止めるのはあまりにも分が悪い。

 

 二回、三回と爪を受け流す。

 防戦一方、繰り出される爪の速さは落ちず、受け流し続ける。

 受け流した直後に一瞬の隙ができる。

 ここしかない、このまま流し続けていたらいつか爪は俺の命を簡単に持って行ってしまうだろう。


 もう一度単調な攻撃を受け流す、そして返しの刀で狼の首を切るーー


「死にやがれっ」


 首を切り落とす、はずだった


 少し首に切れ込みを入れれただけで刀は真ん中ぐらいから折れた。

 折れた刃が宙を舞う。


 さっきの攻撃で痛んでいたのか?

 狼は唖然としている俺に噛み付く。

 その口は、俺の上半身を軽く喰い千切れるくらいの大きさだ。

 とっさに右腕で体を庇うが、庇った腕が噛まれ、砕かれる。


「っーーーー」


 アドレナリンが出ているのかあまり痛くは無かったが、依然として俺の腕は噛まれている。

 一噛みで喰いちぎる気だったのか、首をぶんぶんと振り、俺の足は地面から離れ、振り回され木に打ちつけられる。


 ぶちっと肉が切れる嫌な音を耳にした。

 狼の口から開放され、何かを狼は飲み込んだ、その歯は真っ赤に地で濡れている。

 千切られたーー

 痛みは感じなかったがあの音……

 俺は狼が目の前にいるのにも関わらず右腕を見る。

 

 右腕はーーあった。

 喰いちぎられたと思ったが、まだ俺の腕は引っ付いていた。

 が、おかしい、あれだけ噛まれたら血だらけじゃないとおかしい、しかも砕かれた音まで聞いたはずなのに傷ひとつ無かった。


 狼はまた俺を切り裂こうと爪を振るう。

 反射的に後ろに飛んだが、爪の先が腹に届いた。

 しかし切れたのは俺の腹ではなく狼の爪、爪は折れどこかに飛んでいってしまった。


 いったいどうなっているか分からない、千切られた腕はあり、裂かれるはずの腹は無傷、しかも刀と同じくらい鋭い爪が折れた。

 能力による効果なのかどうか分からないが、一つわかった事と言えば俺はこいつに殺されることは無いって事だ。


 死なないのならば、傷つけられないのならば恐れる必要など無い。

 二本目の刀を創る、死なないのなら防御は考えなくていい。


 爪が折れた腕とは逆の方で俺を引き裂こうとするが、肌に触れた瞬間爪がまたしても折れる。

 その腕を切りつける、赤い鮮血が飛び散り、両断とまではいかなかったが使い物にならないくらいの傷を負わせることができた。

 生き物を傷つけた経験なんて無かったが、特に感情に変化は無い、俺を喰おうとしたやつにかける情けなど俺は持っていない。


 狼は怯み、後ずさる。

 

「おら、どうしたわん公?逃げるのか?」


 こいつにもプライドと言うものがあるのか退くのを止め、鋭利な牙で俺を喰おうと飛び掛る。

 左手をわざと咥えさせその瞬間に眉間に刀を突き刺す。

 ずぶりと刀が沈み、嫌な手ごたえがするがばたりと巨体が地面に伏した。

 

 生き物を殺したのも初めてだが罪悪感などちっとも感じなかった、その辺は一般的な人とは少しずれているのかもしれない、この体もあの鋭利な爪を折る硬さとおそらく引き千切られた腕の再生力、前の世界ではしっかり人間やっていたのにこっちの世界に来た瞬間人間を止めてしまったのかもしれないな。

 まあ、前の世界の体だと死んでいたから別にいいけれど。

 頭のいい人なら人間止めたとかなったらパニックになるかもしれないが俺はそこまで頭が良い訳じゃないから便利で楽しめるのなら別に問題は無い。


 使った刀は狼の死体と共に埋めといた、地面を掘るのにドリルを創ったが別に細かいところまで思い描かなくても良い様だ。


 血だらけになった服を着替える。

 しかし、この能力便利すぎる、様々な道具から、服まで、多分食べ物や飲み物も創り出す事ができると思う、これさえあれば家から出なくても生活できそうだ。

 退屈だろうからやらないけど。


 少し休憩を取り、先に進もうとしたとき前の茂みから足音がする。

 何の足音かは分からないが、この体と能力で死ぬことは無……い。


 現れたのは女性だった。

 金色の髪に深い紫色の服に身を包んだ、前の世界ならばテレビで女優として出ていてもおかしくない美しさを持っていた。 

 が、注目するところはそこじゃない。

 この人は危険だ、第六感なんて必要ない、本能が逃げろと伝えてくる。

 大体こいつは人なのか?禍々しい何かを放っているこいつを俺は人とは呼べない。

 怪物、化け物、妖怪、人間の恐怖の権化とも言える。

 

 こちらに気付いたらしくこっちに近づいてくる。

 冷や汗が流れる、戦って勝てるものじゃない、触れられた瞬間に魂ごともって行かれる未来が見えてしまう。

 どうする!?どうしたらいい!?


「あら、お仲間だと思ったのだけれども違ったみたいね」


 とても澄んだ美しい声で話しかけられる。


「よく見たら、面白い体しているわね、半妖?いえ、もっとたくさんね」


 目の前で話されるが恐怖で内容がまったく頭に入ってこない。


「あら、妖力抑えるの忘れていたわ、怯えていると思っていたけど抑えて無かったらから当たり前よね」


 いきなり禍々しさが消える、竦んでいた体が元に戻り、大きく息を吐いた。

 呼吸さえ忘れていたがなんなんだこいつは?


「あなたが普通じゃなくて良かったわ、普通の人間や妖怪なら死んでいたもの」


 薄く彼女は笑う。

 彼女の言っていることは本当だろう、居るだけで人を殺せるなんて冗談じゃない。


「貴方不思議ね、こんな所で何しているの?」

「人の町を探しています、どこにあるか知っていますか?」


 丁寧に話す、気を悪くして殺されるのはごめんだ。


「貴方は人間?それとも妖怪?」

「人間です……一応」


 妖怪とさっきから彼女は口にしているがこの世界には妖怪が居るのだろうか、前の世界とは違うのだから居てもおかしくないけど。


「そう、人間の町ならあっちの方角にあるわ」


 ある方角に指を指す。

 町があるということは人が多く居るということだ、そこに行って、この世界はどんな世界か把握して、どう生きていくか決めないとな。


「ありがとうございます、助かりました」

「どういたしまして」


 お礼をいう。

 彼女は人間ではないことは確かだが、妖怪だとしたら俺のイメージと大きくかけ離れている。

 それでも危険なのは変わりないが。


「私の名前は八雲 菫、貴方は?」

「俺は桜坂 優です」

「もし、こちら側に来たかったら私の名前を出しなさい、歓迎するわよ」


 そういい残し、霧になるように消えてしまった。

 やはり、妖怪だったのか、この世界は色々と危険だな。


 まあ、退屈しなくていいけどね。

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あとがき

桜坂 優 主人公に当たる青年、退屈を嫌い、刺激を好む、神と名乗る男に転生させてもらい、新たな体と力を得る、剣術は前回の世界で全国レベルの強さだった。兄がいた


 毎回設定を解説したいと思っています、何もなければ雑談になりますが。