Brother

ちぇみん
@o_min_34

兄と弟

僕達は、2人きりの兄弟だ。


僕は、ジョンデ。


そして兄のミンソク。


僕達は、物心ついた時には、孤児院『夢の園』にいた。


僕には兄さんがいたし、孤児院の園長先生はほんとの母親のように優しく厳しく育ててくれたので園の皆は仲が良くほんとの家族のようで寂しいと感じた事は無かった。


僕達は成人するまでその『夢の園』で暮らし、今は二人共成人したので、そこを出て、二人暮らしをしている。


そして僕らは頑張ってお金を貯めている。


まぁ生活していかなきゃいけないし、社会人だから当たり前だし皆やってることなんだけど、僕らにはもうひとつ訳があった。


『夢の園』のクリスマスのサンタクロースになるためだ。


『夢の園』では成人して巣立ったものが、ボランティアでサンタクロースになっていた。


僕がいたときもそうだった。


夢の園ではあまりイベントはないが、クリスマスだけは特別だった。一ヶ月も前から飾りを作ったりして、部屋を飾り付けた。12月になると、皆浮き足だっていた。唯一の楽しみだったから。


凄く豪勢な食事が出るわけでもないし豪華なプレゼントがあるわけでもないけど、歌を歌ったり、皆でゲームをしたりそれはとっても温かい素敵なクリスマス会だった


会の終盤になるとどこからかサンタクロースがやって来てプレゼントを配ってくれた。プレゼントは小さい子供から成人して園を出るまでずっと貰えた。

だんだんショボくなってはいくけど、でも成人の年のプレゼントだけは特別で凄く嬉しくて感動したのを覚えてる。


今もこの腕に光ってる腕時計だ。


多分兄さんの腕にも巻かれてあるはずだ。


世間一般にはそんなに高価なものではないかもしれないけれど、僕らにとっては豪華過ぎるくらいだった。


だから、園を出た僕達はサンタクロースになることを志願したんだ。


「皆にも俺らみたいに思ってもらえたら嬉しいよな」


そんないつも周りの人を思いやって優しい言葉をくれる兄さんが大好きだった。


兄さんが帰ってくるなり


「会社で良くない噂を聞いたよ」


と呟いた。


『どんな噂?』


「孤児院とか老人ホームとかへの支援を打ち切るって噂」


『そんなことしたら、うちの園はまずいんじゃない?』


「まずいだろうな・・・」


うちの孤児院は人数が多いわけではないけれど、それでもギリギリの支援で細々と運営していた。そんなことになったらあそこにいる子供たちは路頭に迷ってしまう。


「今までだって、そんな高額の支援してくれてた訳じゃないのに・・・」


兄さんが着替えを済ませて、テーブルにつくと


『だから、お前は頑張れ。大学いって、偉くなってこういう俺らみたいな弱い奴を助けれるような人になれよな』


兄さんはじっと俺の目を見つめた。


そんな兄さんの勧めもあって、僕は、園を出たあと、役所の郵便係りで働きながら大学の夜学へ通っていた。兄さんはそんな僕の学費を稼ぐために自分は学校に行かず働いてくれていた。そんな兄さんの期待を裏切る訳にはいかない。


『ちゃんと頑張ってるよ』


僕も兄さんの想いに答えるように目をじっと見返した。


すると兄さんは頷いて わかってるよ とでもいうように笑った。


でもそう言えば、兄さんは何の仕事をしてるんだろう?


いつも会社で、会社がって話してくれるけど兄さんからちゃんと聞いたこと無かったなぁ


「普通の会社だよ…」っていつもそれしか言ってくれないけど……


兄さんの笑顔を見ながらふとそんなことが頭を過った。