試しにメモ投稿

テニスとかバスケとかする夢垢
@dreamerpa_ko

水に深く沈んでゆく。身体が水と同化していくような気がしてくる。ヒトの身体の七割程度は水分であるというけれど、それ以上取り込めば、自分もこの広大な海の一部になることができるのだろうか。



なんて少しセンチな事を考えながら海に漂う土曜の夕方。昔から海が好きだったのと、制服の白セーラーが可愛いという理由で六角中学に入学して早二年。こうして海に来てはのんびり泳ぐのが好きな私は部活に入ることもなく、まったりとした学生生活を送っている。


「よいしょっと…」

水から上がり、鞄からタオルを取り出し体を拭いていく。まだ6月だからか、海から上がると少し肌寒さを感じる。

ある程度拭いたらTシャツと短パンを身に付け、自転車に跨り髪を風で乾かしながら帰宅する。これが私の最高に有意義な休日の過ごし方である。


「ただいまー」

ガラガラと鳴る引き戸を開けて家に踏み込む。年季の入ったこの大きな家は、私の家であり、古くからある温泉旅館でもある。


「おかえりなさい」

女将であるお母さんは忙しいのか見当たらないけど、代わりに従業員の人が出迎えてくれるから寂しくはない。おばあちゃんもまだまだ現役で元気だから、私も無理に手伝わされることなく自由に休日を過ごせている。


旅館の奥にある住居スペースに足を運び、鞄からタオルなどの洗濯物を出して洗濯機に放り込む。ついでに海水でカピカピになった髪も流そうとお風呂に入ることにした。


「はぁ〜〜ごくらく〜〜」

旅館の娘でよかったとしみじみ思うのはこの瞬間だ。毎日温泉に入れるなんて、日本人として最高の生活を送っているのではないだろうか。


お風呂から上がると慣れた手つきで着物を身に付け、お母さんの元へ向かう。手伝いを強要されてはいないけど、料理のお手伝いやお客さんの相手などをするのは昔からしているので慣れているし、自分としても好きである。


「おかーさん、何か手伝うことある?」

「あら、おかえり。お料理をお客様の所へ運んでくれる?」

「はーい」


小さい頃から仕事場をウロウロしていたからか、旅館の者としての所作はある程度身についている。それをみんなわかっているから、こうして直接お客様と触れ合う仕事も任せてくれるのだ。




お手伝いも終わり、ご飯を食べて部屋に戻ってきた。勉強は好きではないけれど、後回しにして泣きを見たので毎日計画的にやっている。気分によってその計画は一瞬にして消えることもあるが。


「明日1日暇だな…ちょっと遠出しようかな…」

スマホを弄って友達にスタンプ連打を送る。明日暇?なんて聞くよりよっぽど刺激的で強烈に意思が伝わると思ってやっているのだが、友達からはあまり良い反応が得られない。誠に残念である。


「あちゃー…部活なら仕方ないよな…」

帰宅部としての宿命として、部活に入っている友達と予定が合わないということが挙げられる。やはり前日に予定を漕ぎ付けるのは無理があったか。


「自転車でサイクリングでもしようかな…天気良いみたいだし…」


普段ならめんどくさがって布団でゴロゴロしていつの間にか夜を迎えることも多々あるが、今の私は無駄にアクティブな気持ちであったため、お出かけの用意を簡単にして寝ることにした。