黎明禄怪奇譚

一縷(心中系女子)@ロンリー
@safiri_014

第一章〜【満月】〜 岡田 留治



これは…、いつもと変わらぬ帰路の途中に起こった不思議な出来事である。




「ハァ、寒いなぁ。まだ11月の初旬なのに……今年の冬は、厳しい寒さになりそうだ」




白い息を吐きながら川沿いの小道歩いていると、ふと月明かりが明るい事に気付いた。


それとなく左斜め45度の上空を見やると、良い具合に雲がかかっている美しい満月がそこにいた。




「綺麗な満月だなぁ。今ココに、カメラが無い事が残念だよ」




俺は写真を撮る事を、趣味の一つとしていた。


今持ちあわせているのは画質の悪いスマートフォンしかないが、今この瞬間を何としてでも写真に収めたくて、俺は仕方なくシャッターを2回切った。




カシャッ、カシャッ


「……よし、撮れた」




そして撮れた写真を確認しようと1枚目の画像を見てみると、写真に写り輝く満月周辺に、漠然とした違和感を感じた。




「__…ん?何か変だなぁ」




どことなく嫌な予感がしながらも2枚目の画像も確認してみると、写真の全体部分に青い靄(もや)のようなモノがかかり、明らかに写ってはいけない"何か"が写っているようだった。


これは拙(まず)いのではないかと思い、急いで霊感の強い母に写真を確認して貰うと、やはり写っているのは霊で、心霊写真で間違いないようだ。



それから帰りの駅周辺までスマートフォンを操作している途中、触れてもいないのにも関わらず勝手に着信音の音量を上げられたり、音声入力のページが開かれたりとしたイタズラを繰り返した。




誰もいない帰路の途中、流石にしつこいと苛ついてつい「いい加減してくれ!」と、怒鳴り声を上げて恥ずかしくなったのは余談である。




しかし、話はそれだけでは終わらない。


俺はあの日、確かに満月を見て写真を撮った。それは写真にもしっかりと写り込んでいる。



だが、後日俺が周囲の友人にその話をすると……




「__…って事があったんだ。まさか満月を撮ろうとして、二枚共心霊写真になるだなんて思わなかったよ」



「……お前、夢でも見たんじゃないのか?

そもそも昨日は、"満月ではなく半月だったぞ"」



「え…_?」




俺はその話を聞いて、少しの焦りを覚えながらも満月の周期表を調べてみた。




「嘘だろ…?なら、俺は一体……」




その結果……実際に月が満ちるのは、その日の4日後と判明した。



ではあの美しい満月は一体何だったのか……それは、今でも謎である。

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