天の樹〜時を超えてでも貴方を守る〜

第31章~テンマの故郷とハーデス2~

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(やっぱりアローンがハーデスかっ....)


ハーデスは神話の時代、ペガサスによって肉体に傷をつけられ、それを気にしたハーデスはエリシオンに肉体を安置し、聖戦の時はその時代、最も清らかな心を持つ青年の体を使うという。

なら、今回はアローンか?そう思っていた予想。できれば外れて欲しかった。けど、的中してしまった。


(しかもアローンはアテナの兄....兄弟で戦をするのか...しかもテンマはそのあいだにいる...何を思っている?テンマ....)

「そんな、そんなことがあってたまるかよ...

街をこんなにしたのも、孤児院の残状もお前の仕業かよっ!そんな馬鹿なことがあってたまるかよ!」


何とか言えよ、アローン!そう叫ぼうとしたテンマの言葉はそこで途切れた。アローンがテンマの頬にそっと触れたからだ。


「相変わらずだね、テンマ。二年前と何も変わってない。

嬉しいよ」


テンマに触れた右手にはサーシャが作った花の輪があり、穏やかな笑顔からは街を壊滅させた冥王ハーデスには見えなかった。


「君はやっぱり約束通り聖闘士になって帰ってきてくれた。僕もあれから人を救えるような立派な画家になれるように沢山絵を描いたよ。この絵、覚えてる?」


アローンは大きくはためく袖から大きな絵を出す。宙に浮いたキャンバスには目の色のみ塗られていないテンマがいた。


「それは...テンマが聖域に行く時に描いた絵か...!!」


童虎はテンマが故郷と別れをつけた時、一緒にいた聖闘士。あの絵のことはすぐにわかったらしい。

「君が聖闘士になって帰ってきたら続きを描くって約束したよね。あの時作れなかった赤を漸く見つけたんだ。真実の赤を、ね。」


アローンがそう呟くと飛蘭達の足元は街の人々の遺体とその人達から出た沢山の血の海が広がっていた。。


「!いつの間に...!!」

「いかん、テンマ、逃げろ!」


飛蘭と童虎の言葉を聞き、少し微笑んだアローンはそっと懐から出した筆を血だまりにつけ、絵の具で描くようにキャンバスに大きくバツ印を描く。

その瞬間、テンマの口から大量の血液が流れた。


「アローン、なんで....」


アローンに聞こえるか否か、そんな小さな声でアローンに問いかけながらテンマはゆっくりとアローンの方へ倒れる。倒れたテンマの指先がアローンの花輪をちぎり、カサッと鳴った音の直後、バチャン、バタン...形容の仕方がわからないような音を出しながらテンマが血の海に倒れる。


「おのれアローン!!」

「アローン!巫山戯るのは大概にして!!」


童虎と飛蘭は弟子を守ることができなかった怒りに震えながら拳を構える。が、それはアローンのある変化で止まった。


「アローンの美しい金の髪が...」

「漆黒に染まっていく..,」

「さよなら、テンマ、さよなら、サーシャ。

さよなら、アローン....」


アローン...いや、アローンだった者はそう呟きながら後ろに控えていた冥闘士の元へ歩いていく。


「待て!」

「?何だ、黄金聖闘士よ。」

「何故親友であるテンマを殺したァ!!」

「決まっているだろう。死は救済だからだ!」

「死は救済?あれだけ優しかったアローンがそう言うなら...私も容赦はしない!アローン.,.いや、ハーデスよ!覚悟!!!」


童虎と飛蘭は殺意を剥き出しにし、ハーデスを殺そうと技を放とうとする。が、それは漆黒の炎によって止められた。


「これ以上ハーデス様の周りをうろちょろすることは許さん。

天暴星ベヌウの輝炎がな!」

「そこをどけぇ!

廬山百龍覇!!!」

「てめぇには用はねぇんだよ!!

サンダークロウッッッ!!!」

「コロナブラスト!!!」

技が三つぶつかり、地面は大きく凹んだ。が黄金聖闘士と白銀聖闘士の攻撃を喰らっても輝炎は立ったままだ。


「この小宇宙...こやつの力は黄金聖闘士にも匹敵するのか...?!!!」

「ふん、アテナの聖闘士もこの程度、か。」

「いや、童虎よ。引くわけにはいかないだろう。いくぞ!」

「言われなくとも!」


が、飛蘭と童虎は肩を掴む気配を感じた。2人の肩を掴んだのは牡羊座、アリエスのシオンだった。


「何故止める!」

「離せ、シオン!」

「早まるな!飛蘭、童虎。まだ我々にはすべき事がある筈。まだ雌雄を決する時ではない!」


童虎は助けたが事切れた耶人と血の海に沈んだテンマを見ながら叫ぶ。


「一角獣座も天馬座もやられたのだぞ!」

「わかっている、わかっているさ...!!!

だが、これ以上どうしようもあるまい。」


周りは火の海。味方は重軽傷を既に負っている。敵も多い。しかもあちらにはハーデスがいる。勝ち目は、ない。シオンがより1層聖衣を掴む力を強める。悔しいわけが無い。


「分かった。シオン....」

「あぁ....っ?!!!」

「飛蘭?!!」


飛蘭がいきなり苦しみ、倒れた。


「ふふ...飛蘭...君の美しい赤、描かせて貰ったよ....元気に動く君はやっぱり君は美しいね...」

「ハーデスッッッ!!!」

「...引くぞ。童虎。」


法悦した表情のアローン。増えた犠牲者。長居は、まずい。飛蘭も、耶人も、テンマを回収し、連れて帰ることは難しいだろう。

童虎とシオンらが退き始めるとほぼ同時に地面が崩壊する。

飛蘭ら3人の体が地面に沈んでいく。その情景を童虎らはただ黙って見て、聖域に帰ることしかできなかった。


「フッ、逃げるのか童虎!」

「よい、輝炎。余は争いを好まない。しかもひとまずの目的は果たしたのだ。

故郷の死。親しい親友達の死。アローンという人間の終焉。」


その途端、崩壊した地面から大きな城が現れる。塔にも似たそれはおぞましい雰囲気を持ち、来るものを死へと誘う、そんな気配が漂っていた。それを見ながらハーデスは呟く。


「聖戦はまだ、始まったばかりなのだから....」