天の樹〜時を超えてでも貴方を守る〜

第28章〜白銀聖闘士〜

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「ふーん、白銀聖闘士が偵察に行ったのかァ...」

「ああ。イタリアの森の大聖堂を構える街に偵察に行ったらしいぜ。」

「私、呼ばれてないけどいいのかな?」

「いいんじゃね?どーせ聖戦が始まったら戦うんだからよ。」


巨蟹宮でマニゴルドと飛蘭は談笑していた。そんな平和な時に残酷なことが行われているとは知らずに。





白銀聖闘士とは、聖域から勅命を受け、実働部隊として敵と接触する機会が多いものでもある。戦闘に特化した彼らの力は時には黄金聖闘士にも迫る、とも言われている。

そんな数人の白銀聖闘士達は今、森の大聖堂に向かって走っていた。彼らは走りながら敵の気配を察知する。その直後、敵が技を繰り出してきた。それを前方に向かって飛び、躱しながら技を放つ。


「ファントムアローッッッッ!」


矢座、サジッタの白銀聖闘士が放った技は冥闘士全員に直撃し、頭から地面に落ちる。1人を除き、再び顔をあげることはなかった。ひとりは悲鳴をあげながら逃げ出す。


「逃がすかあっ!」


サジッタの聖闘士が追おうとした時、地獄の番犬座、ケルベロスの聖闘士がそれを止める。


「まて、このまま追うぞ!」


そう、この生き残った冥闘士を使ってアジトを突き詰めるつもりなのだ。

よろよろと蹌踉めきながら走る冥闘士を気配を消しながらそっと白銀聖闘士達は追う。すると大きく開けたところに出る。目の前には勅命で賜った大きな大聖堂。おそらくここがアジトだろう。

冥闘士がドアを開け、中に消えていくのを見届けた後、壁に張り付きながら白銀聖闘士達は中を伺う。

白銀聖闘士達が中に入ると松明のみで照らされた長く暗い、湿った廊下があった。壁には様々な彫刻が施されているが、どこか不気味な雰囲気を持っていた。


「ぎゃああああ?!!」


先程逃げ帰った冥闘士の悲鳴が廊下に響き渡る。そしてその冥闘士がこちらに吹っ飛んできた。

なぜ味方を殺したのか。そう思いながら白銀聖闘士は前を改めて見据える。が、後ろから聞こえた鎧の音に振り返ると10人程だろうか。冥闘士が逃げ道を塞ぐように立っていた。逃げ道を塞がれたか。倒さねば。そう思った直後、廊下の奥から女の声が響いてきた。


「聖闘士を前に逃げ帰るとは...

恥を知れ。」


その女は黒髪に黒い瞳を持ち、三叉の矛を持っていた。所々に蛇をモチーフにしたアクセサリーが施されていた。

その表情には聖闘士に対する怒りを含ませていた。


「くっ...」


白銀聖闘士達は身構え、戦闘に入った。

















数日後。


「はあっ、はあっ...」

「ほらほらー、もう終わりか?ったく、俺に擦り傷を負わせるぐらいにはなれよなー、飛蘭。」


マニゴルドと巨蟹宮で稽古をしていると、シオンが上がってくる。


「稽古か。お疲れ様。」

「シオン!久しぶり!どうしたの?」


稽古の手を止め、飛蘭がシオンに話しかける。


「教皇様に呼ばれていてな。どうやら偵察に行っていた白銀聖闘士達がそろそろ帰ってくるらしいからな。」

「なるほどねー。お仕事、頑張れ!!」


シオンを見送り、いざ修行を再開しようとした時、かつ、かつ、と十二宮の上がってくる音がした。


「ん?」


振り返ると傷だらけの聖衣を纏った白銀聖闘士達が上がってきていた。



「お疲れ様。これから報告か?」

「ああ。重要な情報を掴めたからな。」

「ふーん。まぁ、任務終わったし、これからはゆっくりできるだろ。暫く休みなよー?」


地獄の番犬座と矢座と御者座とは仲がいい方だったので軽い会話を重ね、上に上がらせた。これが最後の別れとは知らず。



教皇宮。



「偵察に出て戻ってきたのはお前達だけか...よくぞ無事に戻ってきてくれたな。白銀聖闘士達よ。」


まずは教皇が白銀聖闘士3人に労いの言葉をかける。

そのそばには椅子に腰掛けたアテナと少し離れた所には童虎とシオンが立っていた。

白銀聖闘士達は跪き、白銀聖闘士を代表して地獄の番犬座が報告を始めた。


「申し上げます。やはりイタリアでの冥闘士集結の情報は本当でした。その地では今や不可解な死が相次ぎ、住人達は恐怖に震えています。探索を続けた我々は森で不自然な大聖堂を発見し、冥闘士達と交戦。ひとり残らず全滅させられることとなりました。」

「全滅...??」


この言葉に違和感を覚えたシオンが身構える。


「そう、ぜん、めつ...._」


小さく反復した直後、立ち上がり、


「アテナ、死ねえええええ!!」


そう叫びながら突っ込んできた。


「グリムソーザー!」

「ファントムアロー!」


その攻撃を止めるため、童虎とシオンが間に入る。


「血迷ったか!!貴様らぁ!」


2人が同時に拳を放つと簡単に白銀聖衣でが壊れる。が、それは偽りの聖衣で、3人は別のものを身に纏っていた。しかもその3人、白銀聖闘士の力ではない。


「お主たち、何故それほどの力を...!!」


その答えはすぐに分かった。白銀聖衣ではなく、別の鎧を身に纏っていたからだ。


「ば、馬鹿な!白銀聖衣が冥界の宝石のような輝きを!」

「まるで冥衣ではないか!」

「そうだ。最早俺達はアテナの聖闘士ではない。」

「生者でもない。」

「冥闘士達に殺された俺達は冥王ハーデス様の力で再びこの地上に蘇らされた...」

「何と...誇り高きアテナの聖闘士が冥王神話軍門に下るか!」

「冥王様は救いを与えてくださると仰った。もう二度と死の恐怖に苛まれることのない世界を!アテナの首と引き換えになぁ!!!」


白銀聖闘士...いや白銀聖闘士だった冥闘士達は一直線にアテナを目指して走ってくる。

それを見たアテナは3人の冥闘士の声にならない心の慟哭を感じ取った。


(アテナ....)

(アテナ....我々は....)


「止むを得ん!」

「行くぞシオン!」

「童虎!シオン!待つのです!」

(我々は、本当は......)


その言葉の続きを聞く前に童虎とシオンは大技を3人に向かって放つ。


「スターダストレボリューション!!」

「廬山百龍覇ーーー!!!」

「「「ぐわあああああーーーー!!」」」

「地獄の番犬座(ケルベロス)!御者座(アウリガ)!矢座(サジッタ)!」


アテナは悲鳴をあげ、敵であるはずの3人の冥闘士に近づく。

3人は顔をあげ、語る力しか残っていなかった。


「うぅ...アテナ...」

「しっかりするのです!」


1番アテナに近かった地獄の番犬座の前に座り、顔を伺う。が、アテナの名を呼んだ後、地獄の番犬座は力が尽きて顔さえあげられない状態だった。そんな地獄の番犬座は水の飛沫を感じた。最後の力を振り絞り、顔をあげるとアテナが自分たち3人の為に涙を流していた。


「死人となって操られる貴女達の小宇宙を感じました。辛かったでしょうに...」


そう、3人は本当は裏切ってなどいなかったのだ。

本来は死すべきこの命。自分達に愛する女神を殺させるためだけに生き返られされ、アテナを手にかけるような行いをしてしまった。が、それをアテナ感じ取り、自分たちの為に涙を流してくれている。

自然と3人の瞳からは大粒の涙が零れ落ちてきた。


「アテナ、アテナ...」

「俺達は、本当は....」

「貴方のお傍で...」


共に、戦いたかった....


最後の言葉は声にならず、灰となってその場から散ってしまった。が、アテナを含むこの場にいる4人にはその気持ちが伝わってきた。

アテナは大粒の涙を再び零し、3人の死を悲しんでいた。

そのアテナの前に童虎とシオンが跪き、進言する。


「アテナ、教皇。我々に出撃の命をお与え下さい。」

「自らの手で同胞を討たねばならなかったこの無念を...どうか、晴らさせて頂きとうございます」

「良かろう。童虎、シオン。青銅と白銀を数人選び、イタリアへ飛べ。目指すは地獄の番犬座達の言った森に大聖堂を構える街。恐らくそこに冥王ハーデスはいる。

心して行くが良い。」


こうして童虎、シオンは選りすぐりの青銅と白銀を選び、森に大聖堂を構える街を目指すこととなった。






「童虎、シオン。その任、私も付いて行かせてくれまいか?」

「飛蘭!お主はマニゴルドの部下だろう!」

「恐らくそこは私やテンマ、アテナ様の故郷だ。なら私が案内した方が楽だろう。」

「しかし...!」

「しかも冥王ハーデスの器に思い当たりがある。死んでも時の運と実力が無かっただけ。どう?連れて行って損は無いでしょ?」

「ならテンマが...!」

「あの子は多分気づいてないよ?」


飛蘭は白羊宮で相談しようと降りてきた童虎とシオンを説得する。

あの3人はずっと笑顔だった。愛するアテナをこれから討つ。その胸中を察することが出来なかった己を飛蘭は悔いているのだ。童虎やシオンもそうだが、同胞の無念を晴らしたいのは飛蘭とて同じだった。


「頼む!マニゴルドにも頼んでくるから!」

「その必要は無いぜ?行きたいなら行ってくればいいんじゃね?」

「マニゴルド!」


柱の陰からマニゴルドが出てくる。どうやら積尸気を通り、黄泉比良坂に行っていたようだ。


「いいのか?お主の部下を借りても...」

「おう。死ぬ死なねぇは時の運と実力次第だ。しかも偵察が目的なんだろ?人が多い方が楽だしな。」

「主に許可は貰ったからな。付いてきてよいぞ、飛蘭」

「ありがとう、童虎!シオン!マニゴルド!」


こうして飛蘭は仇討ちでもある森に大聖堂を構える街への偵察へ行くことが決まった。