天の樹〜時を超えてでも貴方を守る〜

第22章〜蛇遣い座の継承〜

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「よく来たな。飛蘭」


飛蘭は教皇の間に入るなりすぐに教皇に名を呼ばれ、ハッ、と跪きながら改めて名乗る。


「聖闘士候補生飛蘭、ただいま馳せ参じました。」

「よく来てくれましたね、飛蘭。これより聖闘士候補生ではなく白銀聖闘士、蛇遣い座オピュクスの飛蘭としてこれからも修行を続けるとともに今度は青銅聖闘士や候補生を教えてあげてください。」

「有り難きお言葉!命尽きるまで聖域に、アテナ様のお力になるよう努力を続ける事を誓います!」


視線で教皇に聖衣を来てみろ、と指示される。マニゴルドが着ていた方法を思い出しながら叫ぶ。


「蛇遣い座の聖衣よ、我が身を護れ!」


叫び終わるや否や蛇遣い座のパンドラボックスが開き、蛇遣い座の聖衣が飛び出してくる。

そして飛蘭の体を覆い、最後にヘッドパーツが装着される。


「これからよろしくお願いしますね?飛蘭。」

「はっ。すべてはアテナ様の為に。」


一通り式を終え、ヘッドパーツのみを外した状態で教皇の間から出てくると任務の筈のマニゴルドが待っていた。


「任務は?」

「ん?急ぎじゃねぇから今日は休んだ。」


へぇ、そうなんだ。ボソリと呟きながら空のパンドラボックスを背負い直す。

昨日までは黄金と何処ぞの馬とも知れぬ女。

今日からは黄金と白銀。

やっと隣に並べる。その事を誇りに思いながら十二宮を降りる。


「そういえば仮面、どうするんだ?」

「ここに来た時は素顔だったからね。十二宮では素顔を許してもらえるようになったよ。」

「...けどお前が使ってたの、ボロボロだろ?」


磨羯宮を過ぎたあたりでマニゴルドが白い布に包まれた何かをそっと取り出し、丁寧に飛蘭に渡す。


「何これ?」

「開けてみろ。」


開けてみると飛蘭が使っているのと同じような狐の仮面が入っていた。

が、少し違うのは舞踏会のお面のように口や鼻が出ている所だった。


「!!これ、何処で?!!」

「ん?市場歩いてたら見つけた。しかもそれ、軽いだろ?」


確かに硬いが軽く、可愛い。

飛蘭は見た目も実用性もあるこのお面を気に入ったらしく、さっそく後ろで紐を束ね、仮面をつける。


「マニゴルド、ありがとう!この掟に口元まで覆う仮面にそろそろ嫌気がさしてきた所なの!いくらした?払うよ?」

「ん?白銀昇格祝いだ。別にいい。」


ぷいっとそっぽを向く。

獅子宮を通り過ぎたあたりだろうか。飛蘭は誰かに呼ばれた気がした。


「マニゴルド!巨蟹宮で待って!!」

「は...?おい待て、飛蘭!!」


必死に追いかけてくるマニゴルドを振り払うように、なにかに「1人で来い」と呼ばれているように、飛蘭は普段だと有り得ないぐらいの速さで走る。


「やべえ...見失った。」


マニゴルドでさえも振り切ってしまった。

















獅子宮に一番近い山にて。


「ここは...?」


広い元神殿のような所。廃墟のように荒れ果てた建物だったものが沢山ある。ここには暫く人が来ていないのだろうか。既に蜘蛛を始めとする建物に住まうもの、鹿や犬のようなあちこちに動き回って生きるものまで、ここは自然界の生き物で溢れかえっていた。

その中心では誰かが瞑想をしている。男性のようだ。瞑想をする男性といえばアスミタを思い浮かべるが、アスミタではないようだ。だがアスミタぐらい、いやそれ以上かもしれない大きな小宇宙を飛蘭は感じた。

美しく気高い、けれど何処か理解されず、孤独に満ちた雰囲気を醸し出した男性はよく見ると黄金の鎧に白いマントを身に纏っていた。


(黄金聖闘士...?!!何でここに?!!)


そう思った瞬間、男性が呟く。


「....ここに客が来るはずが無いのだが?なあ、アルケスよ。」

「すみません、私が呼びました。」

「そうか。」


彼の隣にいた鹿が喋る。その直後、あたりは暖かい小宇宙を纏った光に包まれる。

その光の明るさに思わず両目を覆う。どれほど時間がたったのだろう。飛蘭が目を閉じていたのは数秒だがその光には時間を麻痺させる力があるのだろうか。飛蘭が瞳を閉じていたのは1時間のようにも感じられた。


光が収まり、目を開くと男性の傍らに美しい金の髪に目元に刺青のような模様を描いた白いドレスに身を包んだ女性が座っていた。

例えるなら男性は穏やかな、全てと会話し、どこまでも進んでいく風。女性は穏やかな全てを見通し、感情という岩の間を縫って進む水、とでも言えるような人だった。


「あ、あの、貴方達は...??」

「死人さ。」


死人。つまりこの世のものじゃない。

バッと離れ、戦闘準備に入る。が、女性が立つ。


「敵意はありません。攻撃しても無意味です。白銀聖闘士になったばかりの飛蘭さん。」

「何故私の名を...?」

「貴方の神託(オラクル)を伝えるために。」

「神託(オラクル)...?」


神託。聖戦の行方を左右するかもしれない神からのお告げ。それは既にシジフォスが受け取っている筈だった。


「何故私に....?」

「貴方は過酷な運命を背負う。それを確信したからです。」

「想い人を目の前で亡くし、別の世界では遂には想い人を手にかける。

その過程で必ずお前はーーーー狂死する。そんな未来を見た。」


マニゴルドを、亡くす?私が守りきれずに?


「そんなことさせてたまるか!!どうせ死人のつく嘘だろう!体を乗っ取る気か?そうはさせん!!

死人なら黄泉比良坂に行け!!!


積尸気冥界波!!」


放たれた燐気は螺旋を描きながら2人に放たれる。が、男性が1歩前へ踏み出し、拳を突き出すと一瞬で無数の拳を放つ。その拳のせいで積尸気冥界波が掻き消され、その勢いで飛蘭は吹き飛ばされてしまった。

飛蘭でさえ見切れなかったその拳は無限に降り注ぐ雷の如く。1秒間に億を超えるスピードで拳を放つ、獅子座の放つ技、ライトニングプラズマに相違無かった。


(獅子座の黄金聖闘士...?!!しかも女性の方も誰かに似ている...??)


起き上がり、ふたりを見据えながら飛蘭は立ち上がる。


「...仕方ありませんね。」


そう呟いたアルケスは立ち上がり、飛蘭に近づいていく。


「何をっ...!!」

「おやすみなさい、飛蘭。」


手を翳し、アルケスは飛蘭に呟くようにいう。





飛蘭の意識はそこで途切れた。