撫子無双

もた@夢松熱中
@mota_aaa

日ノ本から来た女

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『住所はアフリカのサバンナ三本松7の4の10…』



分かるかあ!とメモを地面に叩きつけた。だが手掛かりはこのメモ用紙一枚しかないので、この住所を探さなければいけない。しかし辺りは動物だらけ。車の一台くらい借りてくれば良かったと、今更ながら凛は後悔したが、手段は歩きしかない。

しばらく歩いていると、車が前方から走ってきた。『あ、』と呟き、凛は大きく手を振った。

すると、車が真横に来て止まってくれた。



「どうしたんだい?お嬢さん」



中から出てきたのは、この辺りに住んでいるのだろうか、黒人だった。日射しを受けて輝く白い歯がとても眩しい。



『すみません、お引き止めしてしまって。私、ターちゃんの家へ行きたいのですが、どちらへ行けばいいんでしょうか』


「ターちゃん!?」




黒人は名前を聞くと、目を大きく見開いて驚いていた。



『ご存知なんですか?』


「ま、まぁ…ターちゃん家なら、ここから10kmも行けば見えてくるぜ」


『10km、ですか…』



遠いなぁ、とサバンナの遥か遠くを眺めると、おほんっと男が咳払いをした。



「よ、よかったら俺の車に乗っていくかい?」


『え?いいんですか?』


「これも何かの縁だ。ターちゃんの家まで送ってってやるよ」


『ありがとうございます!』



ニコッと微笑むと、黒人の男性は笑いながら助手席のドアを開けてくれる。

彼の厚意に甘えて車に乗り込むと、男は車を走らせた。



「けど、あんたみたいな美人がターちゃんに何の用だ?」


『まあ、美人だなんて。私は女格闘家なんです』


「か、格闘家!?」


『はい!それで、世界最強の王者・ターちゃんが居ると知って、日本を飛び出してアフリカへ来たんです』


「へえ…そいつはご苦労なこった。だが、あいつはきっとあんたとは戦わねえと思うぜ?」


『何でですか?』



問うと、男はニッと笑って「お人好しだからな」とだけ言った。意味が分からず首を傾げると、「ほら、あれだ」と彼は前を指した。


サバンナの真ん中に建てられた家。その前方にはハンモックに乗った人影が見えた。



『あの、すみません…』


「ん?」



声を掛けると、その人物は読んでいた雑誌から顔を上げた。



『ここにターちゃんが住んでいると聞いて来たんですけど…』


「ここはターちゃんの家だけど…あなた誰?」


『あ、これは申し遅れました。私は…』


「ヂェーン、その人誰だい?」



自己紹介をしようとしたら、ふいに後ろから声がした。

振り返れば、腰みの一つだけ纏った男が洗濯物を抱えて、不思議そうにこちらを見ていた。



「知らないわ。あんたに用があるみたいよ」


「私に?」


『あなたが、ターちゃん?』


「え?ああ、そうだよ。私がターちゃんなのだ」



えっへん、となぜか偉そうに答えるその男を見て、凛は口端を上げた。

そしてスッと背の後ろに隠れ持っていた刀を取り出した。



『あなたの力、見せてもらうわ』


「へ?」



直後、凛はターちゃんに向かって真直ぐ駆け出す。「えっ!?」と声を上げてる内にも、既に彼女は飛び上がり刀を振り上げていた。寸ででそれを避けるが、次々と切っ先が突きつけられ、ターちゃんはそれを避ける事しか出来ない。



「ターちゃん!」


「先生!?」


「何だ、あの女は!?」



ヂェーンの悲鳴を聞きつけ、ペドロと梁が駆け付ける。

ターちゃんは近くに落ちていた木の枝を拾い、振り被る彼女へ突きつけた。枝に刀の刃が食い込み、彼の目前で斬戟は食い止められた。



「君は一体…」


『私は楢橋凛。日本から参りました』



そして彼女は後ろへ飛び退き、地面に左膝を付けた。



『女格闘家として、あなたと闘ってみたく、ここまで来ました』



丁寧に頭を下げると、ギラリと刀の刃が煌めいた。