今までも、これからも…。

『光』@キャラベル小説投稿中
@licht_hyde

カルテ1

ど~も~♪

赤塚総合病院に勤める人気ナンバーワンナースの松野おそ松でぇす♪

みんなの心を癒すため今日も今日とて忙しく働いてるよぉ~♪

「馬鹿野郎(ぱこん)」

「あいてっ!」

「なぁにが"人気ナンバーワンナース"だよ。風俗みたいな事言ってる暇があったら手を動かせ」

恐らく俺を叩いたであろうカルテ片手に呆れた顔をしているのは松野チョロ松。

俺が配属されている科の医師で、俺の幼なじみ。

加えてかっこよくて頼りになる俺のカレシだ。

「暴力反対!!てか何!?読心術!?チョロちゃんエスパーだったの!?」

「そんな訳あるかよ…お前漫画の読み過ぎ。全部声に出てたっつーの」

「うそぉ!?」

心外だとばかりに驚いてみせると、本当にお前は…、と言ってチョロ松は呆れつつもどこか少し優しげな眼差しで笑う。

「…あと敬語忘れんな(ボソッ)」

すれ違いざまに小声でそうこぼしてチョロ松はスタスタと歩いていった。


「…相変わらず仲良いですよね」


「あ、イッチおはよ~♪」

気怠そうにあくびをしながら声をかけてきたのは、近所の高校に配属されている保健養護教諭のイッチこと、松野一松。

「…どーも、オハヨーゴザイマス」

「あははww相変わらず今世に絶望した顔してんねww」

「…リア充菌移りそうなんで近付かないで貰えますか?…というか話しかけないで下さい」

「何ソレ理不尽!!イッチから話しかけてきたクセに!!」

あまりにヒドい言われように抗議の声を上げると、喚かないで下さい、ウザいです、とまるで人を殺しそうな目で言われて俺は思わず震え上がった。

「イッチこわぁい…」

「…それとイッチって呼ぶのも止めて下さい……馴れ馴れしい…」

イッチが今度はゴミを見るような目でそうつぶやいたその時---


「ティーチャー!!!」


--ドンッ


「ゲフッ…!!」

---目の前からイッチが消え去った。

「こんな所で出会えるなんてデスティニーを感じるぜ!!」

「…ンの脳筋バカ野郎!なんでこんなとこにいるんだよバカが!部活はどうした!?」

「フッ…案ずるなティーチャー!今日はメディカルデイだ!」

どけ、降りろ、と喚いているイッチの上で高校生くらいであろう少年がキャッキャとはしゃいでいる。

「……なぁんだ、ずいぶんと懐かれてんじゃんww(ニヤァ)」

「ハァア!?ンなワケねぇだろ!!」

ニヤニヤとしながら俺が言うとイッチは目を向いて食いかかって来るが、どう見ても懐かれているようにしか見えない。

「えーと、キミは確かイッチが配属されてる高校の…」

「赤塚高校二年バスケ部員の松野カラ松だ!(にぱっ)」

そう言って少年は、にぱっとした屈託のない笑顔を浮かべた。

その表情は高校生にしては幼さが残っていて、カッコイイというよりはカワイイという印象を強く受ける。

口ではイヤだと言いつつもイッチの表情はどこか嬉しげで、カラ松くんに懐かれているのが満更でもないんだろう。

見ていてなんだか微笑ましい。

「…オイコラ、脳筋ゴリラ!いい加減どけ!重いんだよ!!(ゲシッ)」

あ〜…今の完璧急所入ったww

「オウッ!?て、ティーチャー…ッ、そ、そこはアウトポジションだぜ…ッ!」

さっきまでのはしゃぎっぷりがウソのように縮こまってしまったカラ松くんをよそ目にイッチはスタスタと歩いていってしまう。

「あッ!ティーチャー!!」

「…るっせぇ!学校でまた会えんだろうが!さっさと診察受けてこい!」

「!」

あれ…?

イッチの顔、心なしかちょっと赤い…?

「…クッ…!本来なら今すぐにでも追いかけたいが生憎、デンジャラスなショックの所為でしばらくは動けそうにないぜ…ッ!」

「ねぇねぇ、カラ松くん♪ちょぉっと聞いてもいい?」

まだ悶え苦しんでいるカラ松くんにそう尋ねると、ものすごくいい笑顔で、ノープロブレムだ、と答えてくれた。

決めポーズのオマケ付きで。

「あのさ、カラ松くんはイッチ…じゃなかった、一松先生のこと、どう思ってるの?カラ松くん的にはアリ?ナシ?」

「ティーチャーか?ティーチャーの事は……」

そう言ってカラ松くんが答えようとしたその時---


「うおるぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!」


---ドカッ


「うぶッ!?」


光のスピードで走ってきたイッチ渾身の飛び蹴りが俺の頰に突き刺さり、その衝撃で真横の壁に叩き付けられた。

「いってぇぇぇえええ!!!えぇえ!?ちょ、イッチ何すんのッ!!?」

なんで俺けられたの!?

てかイッチ耳いいなオイ!!

「てんめぇクソバカナルシストサイコパス野郎に何聞いてんだ!!アアンッ!!?」

「て、ティーチャーッ!?落ち着いてくれッ!!」

「るっせぇ離せ!!あのクソ野郎を一発ぶん殴らねぇとおれの気が収まんねぇんだよ!!」

「もうすでに俺お見舞いされたんだけど!?」

「さっきのは蹴りだろうが!殴ってねぇ!!」

「ティーチャーッ!!カーム!カームだ!!」

「離せぇえええ!!!!」

だ、ダメだ…イッチ完璧にプッツンしちゃってるよぉ…。

こうなったイッチ収めるの大変なんだよなぁ…。

なんて考えている間にもイッチからは、聞いてんのか、だの、クソ野郎が、なんていう罵詈雑言の雨は止まらない。

取りあえず一回今のこの状況を整理すると…


床に倒れているナース(♂)

敵意剥き出しの保健医

保健医をなだめている高校生


………うーわー……すっげぇシュール……。

……シュールすぎて逆に何も言えないくらいシュールだわww

カラ松くんが涙目になり始めた丁度その時、こちらに歩いて来るチョロ松が見えた。

「あ、チョロ松せんせぇええ!!助けてぇええ!!」

ヒラヒラと手を振りながらそう叫ぶと一瞬、ゲッ、という表情を浮かべた後に深いため息を吐いて元来た道を戻って行ってしまう。

「ちょちょちょちょちょ!!チョロ松せんせぇえ!!?」

必死に呼び止めるとチョロ松はピタリと止まったので、やったと思ったのもつかの間。

「…ここは病院なんだからギャーギャー騒ぐんじゃねぇよ」

そう冷たく言い放たれ、俺はただ歩いていくチョロ松の後ろ姿を目で追うことしか出来なかった。

「……チョロちゃん冷たい」

ぽつりと呟いたその言葉は、病院の喧騒に掻き消されるように誰の耳に届くワケでもなく静かに消えた---

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