主が好きな鶴と鶴が好きな月

藍音カボチャ@立海公演余韻
@Tmkm8743

鶴丸国永の軽く災難な朝

朝_


俺、鶴丸国永は目を覚ました。寝ていたはずなのに身体に残る怠さは何なのだろう。と思いつつ起き上がろうとした瞬間、身体に激痛が走る。


「…いってぇ!」


自身の身体に目を向けると、赤く残る痣のような痕が幾つか目に入った。

自分の肌が白い分その痕は目立つ。そして、昨夜の出来事を思い出した。


「そうか…昨日、俺は三日月に……」


隣で寝息をたてる三日月をじっと見つめる。

でもなぜだろう。嫌な気持ちにはならなかった。

俺は腰の痛みに耐えつつ起き上がり、服を着直し、朝風呂ついでに内番服を取りに部屋を出た。三日月は自分のことをじじいと言うが、俺もそこまで作られた年は変わらない。だからか朝には強く、現在の時刻も六時少し前。流石のじじい刀でも普段六時過ぎじゃないと誰も起きてこない…はずだった。


「鶴丸、珍しく早起きではないか」

「…う、鶯丸…早いな」


そうだ。こいつ朝早いんだった。

優雅に茶を啜っている鶯丸の姿を横目に、俺は部屋へと急いで行こうとしたが、


「鶴丸、何故三日月の部屋の方から出てきたんだ?また驚きでも仕掛けに行ったか?」


何故話しかける!

というか三日月の話を振らないでくれ!顔が赤くなってくる。


「あ、いや流石の三日月相手に朝っぱらから驚きは仕掛けに行ってないぞ!?」

「はは、ならば夜這いか?」

「ば、ばっか!そんなわけ…!」


違うが、変なところで勘が鋭いやつだ。

咄嗟に痕が残ってる首元を隠す。その仕草を見逃さなかったのか、鶯丸は茶を飲んでから口を開く


「…冗談だ、まぁでも、相談事くらいならのるぞ?」


悟られてたのか、ありがとう。とだけ声に出すと、はっと我に返り、忘れてくれ!と声を上げた、鶯丸はニヤニヤした顔をしている。ま、とりあえず首は隠せ。バレバレだぞ。と言って立ち上がり、俺の内番服を渡してきた。どうやら洗濯してたのを部屋に置き忘れていたらしい。部屋に向かうのは無駄足だったか。


「…朝っぱらから鶯丸に悪いもん見せちまったな…朝食は七時からだしゆっくり浸かるとするか…」


風呂場に着くと、一応と思いつつ浴槽の方も誰もいないことを確認してから服を脱いだ。

看板も「使用中」の看板をたてたから誰も来ないだろう。

シャワーを浴びて、身体を念入りに洗ってから浴槽の鏡を見ると、首元だけではなく鎖骨部分やら背中やらといろんな場所に痕が残っていた。

派手にやってくれたな…と思っていると、この前、光坊がキスする場所によって意味が違うんだと乱や加州達に教えてもらってたな…

そして俺の首にガッツリと残った痕… 首は確か…


思い出せない。とりあえずそろそろ七時近くとなる。みんな起きてくる時間だ。中には朝風呂を好む男士もいるから、急いで内番服に着替えて風呂場を出た。時期が時期だから絆創膏を貼って隠しておけば『蚊に刺されて痒くて掻いてたら血が出た』で済ませられる。他の痕は器用な事に服で隠せる位置にあった。


「おや、鶴丸殿じゃないですか。早起きとは珍しいですな」

「あ、あぁ一期か。なんというか…昨日なかなか寝付けなくてな。寝れたはいいんだが早く目が覚めてしまったんだ…」


服を部屋に置きにいこうとしたら一期一振に会った。既に絆創膏も貼ってたからそうバレないだろう。

というか今朝からやけに人に会うなぁ!


「そうでしたか…寝付けなかったなら朝風呂に入って眠気を飛ばすのも一つの方法ですしね、にしても鶴丸殿が朝風呂とは珍しい。夜も暑いですから汗かきますよね!」


ニコニコと微笑む一期を見て、きみは時折短刀並に純粋で良かったとすごく安心する。青江や亀甲が好む方の知識は極めて低いだろうな。

その後、一期は弟を起こしに行くと言って一度別れ、食堂に向かう。

食堂には時間が時間だからか人がたくさん集まってきた。

だが、三日月の姿が見当たらなかった。

いない方が心が落ち着くから…まぁ、良い。


「おはよう鶴さん!隣失礼するぜ!」


貞坊が隣の席に座ってきた。

おはよう、と返すと俺は茶を啜る。

今日の貞坊はやけに明るいなぁ、と思いながらちらりと貞坊を見る。


朝から色んなやつに出会う。今日の俺は、軽く鬱になりそうだ。

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