杏〜儚い恋〜

華雲
@Sb7Xd

第1章 その日は突然に

この小説は夢小説 (名前変換ができる小説) です。
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※凛風は「りんふぁ」と読みます。


『凛風〜?』

『凛風!!!早くなさい!』

奥から母親の呼ぶ声が聞こえた。

こんなに朝早くから何の用だというのだ…。凛風は重い瞼を開いて布団から出た。それと同時に部屋の扉が開かれたかと思うと目の前にはウキウキとした表情を浮かべた姉の「桂凛(けいりん)」が立っていた。


「ほら、起きなさいよ!凛風!

今日は我が家にとって大変素敵な日になるのだから♫」

姉の表情を見れば恋する乙女かの様なうっとりとした表情を浮かべていた。

「お姉さまが何がそんなに楽しみなのか私には分かりません」

「何を言っているのこの子は!今日は皇子様が直々にわたくし達の村を見物にお越しになり、長でもあるお父様にご挨拶に来られるのよ?これが何を意味しているか分からないの?」

桂凛は少し皮肉交じりに呟いた。

「だって…皇子様がお会いになるのはお父様ではありませんか。私たちが騒いだところで…」

「凛風は馬鹿ね〜。そんなのお父様に頼み込んで私も皇子様とお会いさせていただくに決まってるじゃない。これで皇子様とお近づきになれれば、将来側室になる手もあるわ」

「………。そうですか……。私には夢のまた夢の様なお話です。」

凛風は深くため息をついた。

なぜならば自分はその様な身分の娘ではないからである。国を支える文官を父に持つ身ではあるが、名家と言えるのは外面だけ…。姉の桂凛や兄の麗(れい)とは母親違いの三兄弟であり、凛風は元々奴婢の身分であった母親から生まれていた。その背景もあり自分は一生姉の影として生きるしかないと、そう自分の中で覚悟していた。


「とにかく…そんな格好していないで、あなたもさっさと着替えなさい。お父様とお母様、麗が待っているわよ。」

そう言うと桂凛はさっさと部屋から出て行ってしまった。

1人残された凛風は渋々と身支度を始めたのであった。


これから起きる出来事が凛風

の人生に大きな影響を与えるとはこの時知る由もなかった。