ダークエルフと悪役令嬢

第3話:ゴブリン退治

 ルドルフとエリーを武官に加えたマリアンヌは、ナガル地方の領主として人々を導いていた。

 悪役令嬢らしい悪辣さはあったが、

 分け隔てなくそう接するため不思議と彼女の下を離れるものはいなかった。


「さぁ、講義をいたしますわよ!」

「「「はーい! マリアンヌ様!」」」

 マリアンヌは、文官達に護身術の講義をしていた。

 彼女曰く、文官でも己の身を守るくらいの武術は身に着けてほしい、との事。

 アエルスドロ達は、それをそっと見ていた。

「マリアンヌさん、やる気満々だな。ちょっと内容がずれているが……」

「アエルスドロ、マリアンヌはこういう人なんですか?」

「ああ、彼女は悪役令嬢だからな。あ、マリアンヌさんには内緒だぞ」

「分かっております」

 アエルスドロとルドルフは、マリアンヌに聞こえないようにそう会話していた。


 こうしてマリアンヌの講義が終わり、畑の野菜を使って昼食を作る事になった。

 しかし、アエルスドロが畑に行くと、農作物が少ない事に気が付いた。

「あれ? 野菜の数が馬鹿に少ないな……」

「本当ですわ。これは、もしかして、ゴブリンが荒らしたからでは?」

 ゴブリンとは、世界中に分布する小柄な鬼人族の事である。

 集団で村人の作物を盗んでは、冒険者に退治される、典型的なやられ役だ。

 しかし繁殖力が極めて高いため、野放しにすれば被害は大きく広がってしまう。

「こんな辺境にもゴブリンがいたとはね」

「早めに退治しないとここの食材がいずれ無くなってしまうだろう」

「ゴブリンの討伐はわたくし達が行いますわ。あなた達はここで待ってなさい」

 住人達は領主自らがゴブリン退治に向かう事を反対していたが、

 マリアンヌが威圧感のある笑みを浮かべた事で全員黙った。

「では、わたくしが留守にしている間、ここを預かってくださいませ」

「はい、マリアンヌ様!」

 こうして、アエルスドロ達は、ゴブリンを退治する事になった。


 その夜……一行はナガル地方から近い洞窟に辿り着いた。

 どうやら、ここをゴブリンがアジトにしているようだ。

 洞窟の入り口には、一匹のゴブリンが見張りをしていた。

「どうするんだ?」

「僕に任せてください」

 ルドルフは前に立つと、鬼人語による巧みな話術でゴブリンを誘い出した。

 すると、ゴブリンがゆっくりとルドルフに近付いてきた。

 ルドルフの言葉がゴブリンにとっては甘い声に聞こえたようでふらふらとルドルフに近付く。

「これで、安全にとどめを刺せますね。エリー」

「はーい」

 エリーは懐から短剣を取り出すと、無防備なゴブリンの背中を突き刺した。


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