未決定

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

高層ビル、その人の後ろ:???

「先輩、そろそろヤバいっスよ…」

ボクの横から声があがると同時に、下の方から「いたぞッ!」の叫び声。

いよいよ胸が爆発しそうなほどの鼓動を刻み始める。

それでもその人は、まだ動こうとはしなかった。

ざわめきが大きくなった周りにつられて、皆が2歩、3歩と後ずさる。

今にも走り出してしまいたいくらいの恐怖だった。

このまま何も言わずに走り出せば逃げられる。そんな考えが脳を埋め尽くそうとしたその時、いよいよ誰かが歯を食いしばって身を翻した。

それに続いて、5・6人がバタバタとドアをくぐって逃げていった。

でも、たったそれだけ。

ボクだって逃げたい一心だったが、それでも踏みとどまれているのは、間違いなくボクらの前に立ち塞がるようにして居るその人の所為だった。

『合図が来るまでは、何があってもここに留まる事。』

それが、その人が課したボク達への約束だったのだ。

そんな自分を裏切って、命を優先した自己中達を咎めることもせず、彼はただ崩れていく巨大なビルを見つめていた。

まだ慣れないとはいえ、その人とともにこなした任務は相当なものだったボクになら理解できる。

彼の命を破った者に待っているのは、絶望的な“死”だと。

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