パシリじゃないっ!!

伊月の過去

伊月『2度目のおは〜…』


宏也『15時だけどな』


伊月『あれ…そんなに寝たんか』


夏生『もう皆んなとっくに起きてるし社長も戻ってるよ』


伊月『おお!!いつもの社長なのか?!』


進一『伊月くんおはよう!!相変わらず遅いな!!たまには早く起きるのもいいぞ!!』


伊月『今日は起きたんすよ、一応…』


進一『…なんでだ?』


伊月『…え?なんでって…』


宏也『…マジで覚えてないらしいぞ。朝方のこと…。怖すぎてもう俺は触れたくはないその話に』


伊月『…社長?嘘っすよね…?本当は覚えてるんすよね?がばがばだの、そそのかしたのはお前の女の方だ!とか…』


進一『俺がか…?本当に行った記憶がないのだが…』


夏生『マジで1回社長になってみたい。寝起きの社長体験してみたいよね』


勇吾『そ、それ面白そうですっ…!!』


伊月『てか思ったんだけどよ?俺らって互いの過去しらねーよな。だから社長とかのもびびんじゃねーの?お互いの過去知ってたらちょっとはビビらんでもいいかもじゃん?』


宏也『なんだよいきなり』


伊月『思わね?俺らそれぞれの過去についてなんとなく触れないようにしてたじゃん』


夏生『まぁ過去は過去だからね』


進一『人の過去を知ったところでだろ』


勇吾『……素の社長』


伊月『確かに結果同情する羽目になるのかもしれないけど…俺はもっと皆んなを知りたくなった』


こういうところですよね。


伊月くんがズルいのは。


夏生『え、今から過去話大会やるの?』


勇吾『え、えぇ…ぼ、僕も…ですか…?』


伊月『当たり前だ!なんなら俺は勇吾が1番気になるわ』


勇吾『…ええ〜…』


進一『話したくないことは話さなくていい。それでいいだろ、伊月』


伊月『はい!』


ま、マジでやんのか…?


この雰囲気はやるのか…?


俺マジで何もない平凡な人生だったんだが…


伊月『じゃあ言い出しっぺの俺から行きますよ』


夏生『マジでやるんだ』


宏也『まぁ一応今日休みだからね…いいんじゃない…?』


なんでも屋に休みもクソもないけどな。


伊月『俺は生まれてすぐ母親が自殺したんだ。理由は親父からの暴力に耐えられなかったかららしい。母親が死んでからは俺に暴力を振るい始めた。見た目は分かんねーだろうけど、服で隠れるところに今でも痣が残ってるのもある。俺はいつ死ぬんだろうってずっと思ってて生きてた。一生この暴力に耐えて生きていくんだろーなーって。でも俺が高校2年の時、親父は心臓発作起こして死んだ。酒とタバコの毎日だったし、毎回俺に当たり散らかしてたから血圧も上がってたんだろーな。俺はやっと解放されたと思ったけど、親父のせいで俺には夢もやりたいことも何もなかった。しかも高校では荒れまくっててさ。結局、親父とおんなじ事してたんだよ、俺。それがなんとなくだけど親父が死んだ後に分かってさ。本当に生きてる価値がねー人間じゃねーか。って。こんな俺でもまだ変われるのかなって。で、ある時SNSでこの仕事発見して。これなら…!って思って今ここにいる。でも"変わる"って難しいことだったんだなって今でも思い知らされるっつーか。俺はもう親父みてーな弱いことはしないって誓ってんだ。………って宏也。またかお前は』


宏也『いや…っぐすっ…もうやめて…っぐすっ…辛すぎる…っうぅ…無理……』


勇吾『うぇええぇーーーん…っ伊月くんっ……だいじょぶ…っうう〜…?』


伊月『勇吾まで…泣くな。俺は大丈夫だ!伊達に殴られて生きてきてないぞ!だから!な!2人とも泣くな!』


宏也『健気だぁ〜…うぅ〜…ほんとにむり〜…伊月ぃいい〜…大変だったなぁ〜…!この前の折り紙お前のせいにしてごめんなぁ〜…ぐすっ…いやぁ〜…あれは結局伊月のせいだったっけぇ〜…ぐすっ…』


夏生『ちょっと。宏也さん何言ってんの。でもなんかわかった気がする。伊月くんが俺と勇吾に優しい理由が』


伊月『夏生には優しくした覚えねーけどな?』


夏生『一言多い!』


進一『辛かっただろうにな。でもお前、泣いたらかっこ悪いとか負けだと思ってるだろ。この人生の中で、お前は自分のことを想って泣いたことはあるか?』


伊月『…自分を想って泣く…?』


進一『やっぱねーよな。お前みたいな境遇の奴は自分のために泣くことを知らねーんだよ。別に痛かったら泣けばいい。辛かったり我慢出来なくなったら泣けばいいんだよ。なんで我慢する必要がある。お前には泣いてもいい権利があんだよ。そのお前自身の想いを俺らが受け止めるためにいるんだろーが。少しは周りと生きたらどーだ?もうお前1人じゃねーだろクソが』


伊月『…社長……あれ……涙……』


進一『………それでいいんだよ』


宏也『しゃぁああちょぉおおおおお〜〜〜っぐすっ……いいこと言ってるのに怖いよぉおぉおおお〜〜…っぐすっ…』


進一『うるせー。てかいつまで泣いてんだお前も』


宏也『いやぁああぁあ〜〜……ぐすっ』


夏生『これは泣き止みそうにないですね』


進一『…だな。なら夏生か俺しかいないが…勇吾もアウトだしな』


夏生『じゃあちゃちゃっと俺が…』


宏也『なつきはだめぇえぇ〜〜〜ぅう……俺死ぬぅううう〜〜ぐすっ』


夏生『じゃあ殺してあげます。いきますね』



え…?


殺してあげます…?


酷くない…?


え。このまま次行くの…?!


マジで死にそう〜……




続く