パシリじゃないっ!!

幼稚園錯覚

宏也『はいはいはーい……って!!汚いなぁ!!』


何故か見事にぐちゃぐちゃになった折り紙たちが無残に散らばっていた。


伊月『なあなあ!宏也!これ!どうやって折んだ?』


……お前か。


ここは幼稚園か。


勇吾『ごっごめんなさい…っ!!伊月くんと折り紙に夢中になってたら…気づいたらこんな事に…っ』


宏也『いや……これは勇吾のせいでないことは分かってるから。勇吾が謝らなくても大丈夫だ』


伊月『あー?!俺がやったみてぇーな言い方してんなよ!!』


宏也『……お前だろ』


伊月『…………ふんっ』


ふんっ。ってなんだ!!!


宏也『……また社長に怒られたいのな?へー。ドM野郎は一生怒られてろクソガキ』


勇吾『こっ…宏也さんっ…!!そ、それは言い過ぎ…ですっ』


伊月『じゃあ宏也はおっさんだな』


……クソガキ。


宏也『お前もな。少しは勇吾や夏生を見習え』


伊月『…うっせ。どーせ俺はこんなんでドM野郎ですよー』


宏也『お前なぁ…っ』


勇吾『ちっちがうんだっ…!!ぼ、ぼくがね、パンダさん折ってみたくて…調べながら折ってたんだけど全然折れなくて…そんな時に伊月くんがたまたま来てくれて、一緒に折ってくれてたのっ…!!すっごく頑張ってくれてたのっ…!!だからこんなに汚くなっちゃったの……だから僕のせいなのっ!!』


伊月『勇吾いいぜもう……別に撤回しなくて大丈夫だ。まぁ確かに?俺だしな。折り紙ばら撒いたの。ただ!!勇吾!!喜べ!!パンダさんできたぞ!!』


勇吾『え…っ?!本当?!うわぁ〜〜〜!!!!パンダさんだぁ〜〜!!!』


やべ。完全に俺が悪者だ。


……そうだった。


伊月はそう言うヤツだったな。


社長に怒られて泣いちゃうヤツだった。


宏也『伊月。ごめんな。さっきの撤回するわ。勇吾もごめんな!伊月にゆっくりパンダさんの折り方教えてもらうといいぞ』


伊月『な、なんだよ…気持ち悪りぃーな…別に慣れてるから気にしてねーよ』


"慣れてるから気にしてねーよ"…か。


素直に生きていないと損をしやすい世界だもんな。


伊月の生き方は損している生き方なのかもな。


分かってたはずだけど分かってなかった。


これは俺の失態だ。


人を見た目とか、日頃の行いとか、ちょっとしたことで決めつけてしまったらそこまでだ。


人間、全ての人に良いところはあると思っているから。


宏也『お前らは今日仕事ないのか?』


伊月『俺は適当な時にくる仕事だから分からないけど…』


勇吾『僕は…次は伊月くんの仕事について行ってみるっ…!!』


伊月『あ?そーなのか!じゃあ仕事来るように願ってないとな!』


面倒見はいいよな、伊月は。


"そーなのか?"ってのはよく分からんが…



ピーンポーンーーーーー



あ……次のお客様が来たのか。


宏也『はいはい!お待ちしておりました!どうぞこちらへ!』


そして俺は再び、本日2人目のお客様を夏生の元へご案内するのだった。




続く