パシリじゃないっ!!

俺の夢

俺は山岸宏也(やまぎし こうや)


27歳。


とある組織で働いて(活動して)いる。


がしかし。


?『おいっ!!お前が行けよ!!俺ヤダよそんな面倒いの』


?『はーっはっは!!君は若いからな!!よし!!俺が行ってくるか!!おにぎり買ってこればいいだけじゃないかぁ!!何をそんな面倒くさがることがある!?』


?『…おにぎり買ってくるだけ…それなら…僕にも出来る…?』


?『あー?!"500円払うからあの有名で5時間並んでも買えるか分からないクレープを買ってきてくれ"だぁ?あ?ナメてんのかお前!!俺らの仕事は1000円以上から受け付けてんだよ!500円ってなんだ!ふざけんな!…あ?"じゃあ1500円払うから行ってきてくれ"?……いいじゃねーか。行ってやる!!』


お気づきの方もいらっしゃるかとは思いますが。


性格・歳・容姿バラバラなバカの集まりです。


"パシリ屋〜なんでもやります!〜"


を得意文句に活動してるただのバカです。


そこに俺も含まれているわけで。


SNSで"あなたも誰かの役に立ってみませんか?"という宣伝広告を見て応募してみたら、ただの詐欺だった。


いや…詐欺ではないか…


パシリは一応人の役に立つ存在ではあるもんな…


?『宏也くん!!わたしはおにぎり買ってくるよ!!そしてご自宅まで届けてくるな!!』


?『ぼっ…僕も…一緒に行っても…いい…ですか…?』


おにぎりを2人で買いに行く意味とは。


えーっと。


このいちいち元気なおっさんが


田辺進一(たなべ しんいち)35歳。


無職…じゃなかった。


パシリ屋の社長ですね、一応。


そしてこのか弱そうな男の子が


荒木勇吾(あらき ゆうご)18歳。


学校に行けない訳あり高校生だ。


歳は18歳だが発言が小学生並み。


障害を持っているわけでもなさそうだ。


過去に何があったかは分からないが、何かあったのだろう。


宏也『おにぎりですね。はい。いってらっしゃい。勇吾も気をつけてな』


勇吾『う、うん!!行ってきます…!!』


まぁ勇吾は可愛いから弟的な存在なのだが…


?『おい!宏也!ちょっくらクレープ並んでくるわ!!』


こいつが1番厄介だ。


槇原伊月(まきはら いつき)22歳。


宏也『宏也っていうな!宏也さんだろ!何回も言わせんな』


伊月『こまけーこまこまー。1500円もくれるんだぜ!行くしかねーだろ!』


やはりバカだな。


普通に5時間暇な店で働いたら5000円くらいは稼げるとこあるしな。


コンビニとかマジで暇なとこなんか5時間雑談かボーッとしてたら終わってそんだけで1500円以上もらえるしな。


世間を知らな過ぎるのが可哀想なのが伊月で。


口悪いし態度も悪いが、1番単純でピュアな人間だ。


なにより元気だ。


宏也『はいはい。行ってらっしゃい。気をつけてな。だけど並んで買えなかったらお前多分金貰えないぞ』


伊月『え?!そーなの?!あ、そーだよな…ミッション達成しないとそりゃあ報酬もらえねーよな…。頑張るのみだ!!クレープ!!待ってろ!!』


ダッシュで事務所から出て行った。


ポジティブ過ぎない?大丈夫?


?『なー宏也さん。野球やろーぜ』


はい?


てかね…


宏也『やっぱお前なんでいんの?ダメでしょ?法律違反じゃんお前』


?『違反はしてなくない?まだ確かに15だけど』


南夏生 (みなみ なつき)15歳。


"もうすぐ"高校生。


中学は卒業してるみたいだけど…


夏生は勇吾と真逆で、大人すぎる中学生だ。


だから大人の相談を聞けて、更に的確なアドバイスを返すことが出来る。


どう産んだらこんなんが出来んの?


ってくらい頭がいい。


だが"野球やろーぜ"とか言ってくる辺りは年相応なのだ。


宏也『もうなんでもありなのな。まぁ外に働きに行けない分、ここで仕事してくれてるから助かってるけどさ』


夏生『だろーwww よし。野球だ野球!』


宏也『何故野球。と言うか。今からお客さん来るよ。準備して』


夏生『えー。マジー?なんだよー』


ピーンポーン


宏也『ほらきた。お迎えしてくるから!今日も夏生相談所よろしく!』


夏生『…はーい』


とこんな感じで毎日が動いているわけで。


事務所にトイレも風呂も部屋も全てあるからみんなここに住んでしまっているのだ。


ちなみに俺も。


進一さんのSNSから集まったこの5人が、既に家族みたいになってしまっているこの環境。


なんだかんだで楽しいと言えば楽しい。


だけど纏めるのが大変なわけで。


社長あんなんだし。


パシリ屋というか…なんと言うのか…


夏生『宏也さーん。お茶入れてー』


俺は中学生にまで命令される事務職員である。


宏也『はいはい。ただ今〜』


俺は毎日毎日、お客様にお茶を出し、あらゆる任務から帰ってきたヤツらを纏める。


それの繰り返し。


俺の夢はどこへ行った。


"人の役に立ちたい"


という夢は何処へ。


進一『帰ったぞー!!おにぎり、無事届けてきた!!』


勇吾『宏也さん…っ!!ぼ、ぼくっ!!ちゃんと渡せましたっ…!!凄く…っう、嬉しいっ…ですっ!!』


宏也『おー!!やったじゃん!!これでまた成長できたな!!』


勇吾『う、うんっ!!』


なんて可愛いヤツなんだ。


18歳にしてこの発言は、普通にヤバイと思われるだろうが、勇吾に関しては何故か可愛いのだ。


……なんか鼻血でそう。


進一『俺がついてやってたからな!!隣で"頑張れ!頑張れ!頑張れ!"って応援してやってたからな!!』


うるさ。


近所迷惑にも程があるだろ。


宏也『で。そのおにぎりのお仕事は何円のお仕事だったんですか?計算とかしないといけないので教えて…』


進一『500円だ!!』


宏也『……』


あれ……社長……


宏也『しゃ、社長…?1000からのお仕事では…』


進一『お?誰がそんなこと決めたんだ??』


ヤバい。


これはマズイぞ。


伊月が帰って来たらヤバい。


でも5時間並んでも買えるか分からないクレープ屋だもんな…


まだ帰ってこないはず。


伊月が帰ってくる前に社長だけでもここから追い出したい。


そして伊月に事情を聞かなければ。


宏也『あー…分かりました。500円ですね。今日の任務はほかにあるんですか?』


進一『ないっ!!』


即答。


ヤバいヤバいヤバい。


伊月。


悪いが交通事故にでもあって今日は帰ってこないでくれ。


社長に怒られたくなければ……


と言うか社長キレるとヤバいから…!!


伊月の命なくなるかもな。


伊月『ふぅううぅううー!!!!見ろぉおおお!!!俺のこの頑張りをぉおおおぉおお!!!』


………終わった。



続く