僕らの涙

エレン・イェーガー 🌙
@MUVIhWEhIkkp5dM

第2話 野良猫

家から学校までは近い。普通は喜ぶところだが、僕はそうは思わない。

……何故なら登下校の独りの時間が何よりも幸せな時間だからだ。


多少早く家を出たので、近くの公園に入り、ベンチに座る。

ベンチに座り、ゆっくりと雲が流れていくのを見るのは好きだ。

……あの雲のように遠くに行くことが出来ればいいのに。


「……はぁ」


思わずため息をつき、地面に視線を向ける。そこには茶色の三毛猫や黒猫など、色んな野良猫が集まっていた。


「ごめん、今は何も持ってないんだ……」


ミャアミャアと鳴く猫にそう言う。

朝はたまにパンがあるくらいで、普段は何も貰えない。猫もそれを分かったのか、鳴き声が、静かになっていった。


すると、僕の隣に一匹の白猫が座った。毛並みも綺麗で僕に警戒しない。おそらく飼い猫だろう。

手を伸ばすとその白猫はすり寄ってくる。本当に人懐っこいらしい。警戒心が強いのが当たり前なのに珍しい。


「……可愛いな、お前」


ミーと可愛いらしい声で答えた白猫はゴロゴロと喉を鳴らしている。気持ちよさそうに目を閉じているし、撫でてる場所が気持ちいいみたいだ。


「お前、飼い猫だろ?こんな所にいるより、飼い主の所に行きな」

『ミー…ゴロゴロ……』

「……お前の事心配してるだろ。だから帰れ、な?」


そう言って手を離すが、やはり白猫は離れない。それどころか膝の上に乗ってきた。

男の身体は固いし、それに僕の場合、ガリガリなんだけどな……。


「───あ、おーい!そこのお前!!」

「…あ………」


公園の入り口から同じ制服を着た男が駆けてくる。ボサボサの髪に茶髪……まるでヤンキーと言われてもおかしく無いような姿だ。

その男に大声で呼ばれ、膝の上の白猫以外、どこかへ逃げてしまった。

しかしその男は気にせず僕に近寄り、膝の上の白猫を取り上げた。


「よっ…と。お前が見ててくれたのか?」

「………ああ。こいつの飼い主か」

「おう!俺、暁月諒っつーんだ!ブランを見ててくれてありがとな!じゃな!」


男……暁月は、屈託のない笑顔を俺にみせると、すぐさま白猫のブランとどこかへ行ってしまった。

先輩だったのか後輩だったのか分からなかった。多分身長的に先輩……だろうか。

嵐のような人だったな……。