ゴートゥホウエン

佐渡惺
@sat0rusq

第6話、ラルースシティ、ポケモンセンターの朝

 セレナが作ったマカロンを食べてから、みんなそれぞれ泊まり部屋に戻ったが、シトロンだけポケモンセンターのロビーでひと晩、徹夜で発明を作っていた。作っているうちに、もう朝日が昇っていた。



 シトロン「ふわぁ、朝になるのが早いですね」




 ハルカ「おはよう、シトロンくん」

 シトロンに声を掛けたハルカ。




 シトロン「ハルカさん、早いですね」




 ハルカ「楽しみで眠れなくなっちゃって。シトロンくん、ずっと起きてたんだ。それ何?」




 シトロン「はい、応援グッズです」




 ハルカ「セレナちゃんのために? 素敵かも!」




 シトロン「いやいや、ポケモンの応援グッズですから」

 ハルカに迫られたシトロンは苦笑しながら言った。




 ハルカ「じゃ、私、コンテスト練習を外でしてるから」




 シトロン「あ、僕も行きます。完成した発明を試したいので」




 ハルカ「やったかもー! シトロンくんの発明を一番におがめるなんて!」




 シトロン「照れますよー。では、どうぞ。あ、いや、僕のことは気にせずって言うのも変ですね」




 ハルカ「ふふ、シトロンくんって面白いかも。うん、練習始めよう。ゴンベ、ステージオン!」




 シトロン「スイッチオン!」

 シトロンは徹夜で完成させた応援グッズを試してみた。すると、自動的にハルカとゴンベの名前の応援段幕が広げられた。




 ハルカ「シトロンくんの発明、すごいかも。よし、ゴンベ、ソーラービーム!」




 シトロン「朝日がちょうど出ているから、ソーラービームが早く出ましたね」




 ハルカ「次は、ゆびをふる!」




 シトロン「お、つるのムチが出ましたね」




 ハルカ「ゴンベ、ここまでにしましょう、戻って。グレイシア、ステージオン!」

 ハルカはゴンベをモンスターボールに引っ込め、グレイシアを出した。




 シトロン「スイッチオン!」

 今度も実験が成功したシトロン。自動的にハルカとグレイシアの応援段幕があらわれた。




 ハルカ「シトロンくん、ありがとう。グレイシアがすごい喜んでる」




 シトロン「いえ」

 ポケモンが喜んでくれ、シトロンは微笑む。




 このように、ハルカとシトロンが一緒にいるところを、ポケモンセンターの窓から見ていたシュウは、




 シュウ「………」

 何も言わず、準備を始めていた。彼はちがうところでコンテストの練習をするのだろう。




 シトロン「さて、ユリーカでもそろそろ起こしてきますか。ハルカさん、練習お疲れ様です」




 ハルカ「私は先に朝ご飯を食べて待ってるね。セレナちゃんとコンテスト会場に行きたいから」




 シトロン「わかりました、セレナも呼んできますね」

 と、シトロンが行こうとしたところ、




 ユリーカ「ユリーカとセレナ、ここにいるよ」

 すでに二人は起きていた。




 シトロン「お、おはようございます」

 なぜか気まずそうにあいさつをしたシトロンだった。

 



 セレナ「ハルカちゃん、見てたよ練習。朝早くからえらいね。シトロンの発明もすごかったね」




 ハルカ「いやぁ」




 シトロン「セレナたちをあとでびっくりさせたかったのですが、見られてしまったんじゃ仕方ないですね」




 セレナ「コンテストまでまだ時間あるよね。私も練習してから行くから、シトロンたちは先にハルカちゃんと朝ご飯食べてて」




 ユリーカ「わかった」




 シトロン「はい」




 ハルカ「何だ、セレナちゃんもこっちに来れば良かったのに。そしたら、一緒に練習できたのにな」




 ユリーカ「ハルカさんに遠慮したんだよ。それと、お兄ちゃんにもね」




 シトロン「?」

 ハルカはともかく、どうして僕もなんだと思ったシトロンだった。




 シュウ「コンテストはお互いがライバルだからね。彼女はそれを認識してるのさ」

 シュウは朝ご飯のプレートを持ち、シトロンたちの隣に座った。




 ハルカ「シュウ。でも、セレナちゃんはパフォーマーで……」




 シュウ「たとえ、彼女がコーディネーターとちがう道を目指していたとしても、いい加減にコンテストに参加したくないのだろう」




 シトロン「シュウは、セレナの気持ちがわかるのですね」

 シトロンが言うと、




 シュウ「君がニブいのさ」

 と、髪をかき上げたシュウ。




 シトロン「へ?」

 シュウに再びそれを言われ、シトロンは開いた口がふさがらなかった。




 シュウ「ごちそうさま」




 ユリーカ「シュウ、早い! もう朝ご飯を食べちゃったよ!」




 シュウ「ハルカ、コンテスト会場で待ってるよ」




 ハルカ「うん」



 シュウは行くとき、外で練習していたセレナにも声を掛けてから行った。そのあと、セレナは戻ってきた。




 セレナ「ただいま、私も一緒に朝ご飯を食べてもいいかな」




 ハルカ「もちろん! さ、ここが空いてるよ!」

 と、ハルカは自分の隣を勧めていた。




 ユリーカ「お兄ちゃん、どうしたの?」

 明後日の方向を向いていたシトロンに、ユリーカは話し掛けた。




 シトロン「いえ、徹夜してたからきっと寝不足ですね……」

 と、ごまかしていたシトロンだったが、本当はちがう。シュウがセレナと二人でどんなことを話していたか気になっていたからだ。



 ハルカ「うん、ポケモンセンターの朝ご飯っておいしい!」




 セレナ「そうよね、たまにお代わりしちゃうな」




 ハルカ「私も、私も! あ、セレナちゃん、シュウに何て言われてたの?」




 セレナ「大したことじゃないの。朝ご飯をちゃんと食べた方がいいって言われただけ」




 ユリーカ「なーんだー」

 がっかりしていたユリーカ。もっとちがう言葉を期待していたらしい。




 シトロン「………」

 ほっとし、途中まで残していた朝ご飯を食べていたシトロン。




 ハルカ「シュウがそんなことを言うなんてね。他の女の子には優しいかも」

 ハルカは少しムッとしていたが、またにこっと朝ご飯をどんどん食べていた。




 朝ご飯を済ましたシトロンたちは、コンテスト会場に向かった。



 セレナ「昨日まではしんとしていたのに」




 シトロン「にぎわっていますね」




 ユリーカ「屋台もいっぱいあるー。ユリーカ、リンゴ飴食べたい」




 シトロン「ユリーカ、それは帰りだよ」




 ユリーカ「はーい」




 ハルカ「まあ、いいじゃない、シトロンくん。ユリーカちゃん、リンゴ飴を一緒に食べよう」




 ユリーカ「うん!」




 シトロン「ハルカさん……」

 ため息をついたシトロン。




 セレナ「さっき、朝ご飯食べたばかりなのに……」

 セレナも隣で言った。




 ハルカ「屋台の食べ物ってつい、食べたくなるのよね」




 ユリーカ「リンゴ飴、おいしーい!」


 ハルカとユリーカは並んでリンゴ飴を食べていた。




 シトロン「セレナは何かいるものありませんか?」




 セレナ「ううん、大丈夫」




 シトロン「コンテスト、いよいよですね。セレナの出番、楽しみにしています」




 セレナ「ありがとう。あ、やっぱり、私もリンゴ飴、買ってこようかな」




 シトロン「待って下さい、僕も行きます」



 コンテスト会場周辺がにぎわう中、影もまたひそんでいた。




 ハーリー「ふふふ、これで終わりよ、かもちゃん。うーふーふーふー」

 警備ロボットを持ったハーリーはコンテスト会場近辺でシトロンたちの様子をうかがいながら、不気味笑いをしていたのだった。



             つづく。











ー第6話、ラルースシティ、ポケモンセンターの朝のリアルタイム更新時間ー

2015年11月12日 13:42 GREEより




著作者の他の作品