ゴートゥホウエン

佐渡惺
@sat0rusq

第4話、ラルースシティの市長からの依頼


 シトロンたちはシトロン父に書いてもらった地図を読みながら、ラルースシティの市長がいるビルにたどり着いた。




 シトロン「ここですね」




 ユリーカ「大きな建物ー」




 シトロン「話が込み合うかもしれないのでセレナとユリーカは一階のフロアで待っててくれますか」

 と、セレナと妹のユリーカを気遣って言ったシトロンだったが、少女たちは首を振る。




 セレナ「ううん、大丈夫だよ」




 ユリーカ「ユリーカも、市長さんのところに行く」




 シトロン「じゃあ一緒に行きますか」



 市長室はビルの屋上近くの階にあるイメージだと思ったら、三階の奥だった。シトロンたちは階段を使って三階に行き、奥を歩いたところにある市長室に入った。




 ユリーカ「しっつれーいしまーす」




 シトロン「すみません、ミアレシティのシトロンです」

 シトロンは心の中で「いきなり、声が大きいよユリーカ!」と叱りながら妹の口をふさいだ。




 市長「おお、君が代わりに来た息子くんだね」

 市長はシトロン父より年齢が一回ひとまわりくらい上のおじさんだった。スーツをきちんと着ていた。




 シトロン「あの、依頼の件を詳しくおたずねしたいのですが」




 市長「この警備ロボットに不具合が起きてしまってね、原因が分からないんだ。今、電源を切ってる状態だけど、電源を入れると……」




 警備ロボ『侵入者発見、侵入者発見』




 市長「というように、勝手にセンサーが働いてしまうんだよ」

 と、警備ロボットの電源を再び切った。




 シトロン「わかりました。原因をよく調べながら直しますので、僕にそれをしばらく預からせて下さい」




 市長「ああ、頼んだよ、シトロンくん」



 市長室をあとにしたシトロンたちは、ビルの近くにあったベンチに座った。



 セレナ「原因、何だろうね」




 シトロン「あとの警備ロボットは普通なのに、なぜかこのロボットだけ、勝手にセンサーが働いてしまっていますね」




 警備ロボ『侵入者発見、侵入者発見、侵入者発見』

 と、同じ言葉を繰り返してばかりの警備ロボット。




 ユリーカ「もー、ユリーカたち、侵入者じゃないよー」




 シトロン「おそらく、このロボットに組み込まれているシステムが老朽化してしまったか、ウイルスが入ってしまったかでしょうけど……」

 シトロンはペンチか何か道具を使いながら、作業をしていた。




 セレナ「原因って、いろいろあるんだね」




 ユリーカ「ユリーカ、つまんないよー」

 兄が作業を始めてから時間が経つと、ユリーカがだだをこねた。




 シトロン「ごめんね、ユリーカ、時間が掛かりそうだ」




 セレナ「本当、掛かりそうだね、それ。シトロンの邪魔になっちゃうと悪いから私、ユリーカとポケモンコンテストのエントリーに行って来るね。すぐ戻るから」




 シトロン「すみません、セレナ、ユリーカをお願いします」




 セレナ「うん」




 ユリーカ「セレナ、行こう」




 セレナ「………」

 ユリーカとちょっと歩いたあとに振り返ると、シトロンはもう作業に集中していた。




 ユリーカ「お兄ちゃん、すごいよね。普段はおっとりしてるけど、ジムリーダーと発明の仕事のことになると、顔つきが別の人みたいに変わっちゃうから」




 セレナ「……行こうか」

 少しセレナは、シトロンがサトシとミアレシティのジム戦でバトルをしたときのことを思い出していた。




 作業に集中している今のシトロンは、サトシとジム戦をしていたときと同じ真剣な顔をしていたため、セレナはドキッとなっていたのだった。




 セレナとユリーカがコンテスト会場へ足を運んでいる間、シトロンは警備ロボを慎重に分解し、原因を調べていた。




 シトロン「うーん、どこも異常はないのに、どうして直らないのでしょうか……」

 シトロンがつぶやいていたら、




 ハーリー「あら、お困りのようね」

 と、ハーリーがやってきた。




 シトロン「あ、あ、あなたは、先ほど、ハルカさんのコスプレをしていた……」

 若干、シトロンの顔に縦線が入っていた。




 ハーリー「こんにちは、ハーリーよー。んーま!」

 と、ハーリーがシトロンに投げキッスをすると、




 シトロン「………」

 普段、冷静なシトロンの顔に、さらに縦線が増えた。




 ハーリー「ねえ、そのロボット、壊れてるの?」




 シトロン「多分、はい。でも、原因がわからなくて……」

 シトロンは電源が切ってあった警備ロボットを見ながら、言っていた。




 ハーリー「良かったら、私にゆずって。欲しかったのよねー、そ・れ」


 


 シトロン「でも……」




 ハーリー「いいじゃない、どうせ壊れてしまっているんじゃ、使い物にならないでしょう。ね、私にちょーだい」




 シトロン「はあ……」

 困り果てていたシトロンだったが、ハーリーに警備ロボットを渡してしまう。




 ハーリー「まあ、ありがとう。大切にするわね」

 途中から声が低くなり、企み顔になっていたハーリーだったが、シトロンは気にしていなかった。




 シトロン「ただ、そのロボット、侵入者発見のセンサーしか鳴りませんが……」




 ハーリー「ああ、いいの、いいの。私が防犯対策用に改造するし」




 シトロン「できるんですか?」




 ハーリー「ええ、私、機械いじくるの得意ですもの」




 シトロン「じゃあ大丈夫ですね」




 ハーリー「それじゃあ、確かにもらったわよ」




 シトロン「北風のような人ですね……」

 ハーリーが去った後、辺りはしんとなっていた。




 気を取り直し、シトロンは市長に報告しに行った。




 市長「そうか、もらい手が」




 シトロン「はい、すみません、もらってくれた人、機械に詳しい人らしくて、ゆずってしまったのですが……」

 と、シトロンは申し訳なさそうに市長に謝った。




 市長「いいや、処分扱いよりその方があの警備ロボットは幸せだろう。ありがとう、シトロンくん。もう自由にしていいよ」




 シトロン「………」

 何となく、すっきりしないまま、市長室を出たシトロン。彼がすっきりしない答えはこれから知ることとなる。




 警備ロボ『侵入者発見、侵入者発……』




 ハーリー「ふふふ、このロボットのことなら、よーく知ってるわ。だからこそ、使えるわね。これで今度こそ、あいつを……。ふふふふ」



 ハーリーは警備ロボットの電源を入れたと思ったらすぐに切りながら、そう何かを企んでいたのだった。





             つづく。



ー第4話、のリアルタイム更新時間ー

2015年11月9日13:49 GREEより


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