人魚姫と忠義の武将

堕天使の♀ヘム
@mesuhemu

とある山賊討伐にて

あれから数週間経ちーー、楽歌は曹操から山賊討伐の命令を受けた。国境に山賊が現れたとの事だった。このままでは物の売買にも民の生活にも影響が出るとの事。そして楽歌の実力を見るためでもあった。そういうわけで楽歌は山賊討伐に向かったわけだがーー

「…何故、あなたも来るのですか。」

「曹操殿から楽歌殿を護衛せよと命令を受けたので。そして楽歌殿の実力を見て来いと。」

「分かってはいますが…まあ、いいでしょう。一人よりは二人いた方がいいですから。」

楽歌はふぅとため息をつく。そのため息は果たして何によるものなのか。

「…見えてきました。あれが例の山賊達…」

「そのようですね。」

「ざっと見て十数人。私だけで倒せます。ですが…油断は禁物。護衛、頼みましたよ。楽進殿。」

「はい!」

「今はそんなに警戒もしていないのか見張りは少ない…これなら奇襲をかけて私の得意な速攻戦に持ち込める。」

楽歌は山賊達に気づかれないよう陰に隠れ小声で話す。楽進も自然と小声になる。楽歌の視線が大声を出すなとばかりに鋭かったのだ。その視線の鋭さは緊張を与えた。

「楽歌殿は速攻戦が得意なのですか?」

「ええ。第一に私は長期戦に持ち込むのはあまり好きではない…長期戦に持ち込んだら持ち込んだで面倒事が生まれる。こういう時は面倒事になる前に早く済ませてしまうのが一番です。」

「そういうものなのでしょうか…」

「まぁ、それはそれとして早く奇襲をかけて早く済ませましょう。あなたは少ししてから来てください。奇襲をかけ次第すぐに来るのです。では、行きますよ。」

そう言うと楽歌は上の方へ周り…二人の見張りの後ろへと飛び降りた。その直後ーー

「?!ぐっ…」

「なっ…?!がはっ…」

素早い動きで槍を振るい柄で気づく間もなく二人同時に首を強打する。見張りの山賊はどさりと倒れた。

(楽歌殿のあの槍捌き…!素早い…!)

楽進が驚いてる間にも楽歌は山賊の仲間のいる方へと向かう。楽進は我に返り楽歌の後を追う。

「はっ!せいっ!」

楽歌は山賊に言葉も掛けず素早い槍捌きで急攻撃をかける。次々と倒れていく山賊達。気づいた山賊が攻撃を仕掛けてくるがそれをかわし槍で薙ぎ払い跳ね飛ばす。遠くから弓矢で攻撃しようとしてくる山賊には弓矢を打たせる前に水弾を打ちこみ気絶させる。まさに無駄のない的確かつ素早い奇襲だった。そしてーー楽進の出番もなく終わってしまった、というのも楽歌の奇襲は見事に完成されたものであり楽進が立ち入る隙もなかったのだ。

「思ったより早く終わりましたね。」

「楽歌殿、凄いです…私の手番などありませんでした…」

「ですが護衛ありがとうございます。あなたの護衛があったからこそ私は安心して作戦通りの奇襲を実行できたのですよ。もし私に万が一の事があっては…ね?」

「そうですか。」

「ですが戦場ではこうもいかないでしょう。その時はあなたの力が必要になります。期待していますよ。」

「…!そのように言ってもらえて恐縮です!」

こうして山賊討伐は終わった。山賊の規模は心配してたほど大きいものでなく小さなものであった。だがこれで心配はなくなったと曹操は喜び楽進からの報告を受け楽歌の実力を少しばかり認めた。その実力を知り兵士の修練を頼んだのは後の話ーー