刀剣男士と会えない初めての夜

止的は幸せの国の夢女
@tomakoto_atm

“ゲートの認証システムのエラー”


政府主催の年度末の総まとめを担う今回の審神者集会はほぼ全ての本丸の主が政府施設へと集まっている。

歴史修正主義者との戦いの要となる審神者が多数集まり本丸を不在にすることから、安全を考慮し集会自体は予定通りすぐに終わったものの、本丸へと戻るゲートにエラーが発生してしまった。

審神者たちは、予定通り己の本丸に帰ることができず、政府の用意した宿泊施設に順次案内されていった。


「本丸に問題は?」

「特にありません。通信を行う審神者の数が多いので、緊急事態がない限りは極力このこんのすけの本丸スキャン機能を使ってください」

「わかった」


ちょうど遠征にいく部隊がいなくてよかったよ、ととある本丸の審神者はからりと笑った。

用意された宿泊施設はベッドと簡易のテーブルがある簡素な部屋であり、審神者は本丸の広い寝室もよいがたまにはこんなせまっくるしいのも悪くはないと思った。

本丸の様子は先程行ったこんのすけの持つ機能のひとつであるスキャンにより時間溯行軍による襲撃や結界の揺らぎがないことを確認している。

おそらく、政府からも今回の事態は通達がいっているだろう。緊急事態の連絡経路は年に二度訓練として行っているため刀剣男士たちへの連絡はしっかりと行き届いているはずだ。

直接話せないのは寂しく思うところがあるが、緊急事態なのだから仕方がない。こんのすけ曰く、明日の昼頃にはエラーの修復が終わり、順次本丸へと帰還できるだろうとのことだ。


「まあ、うちの本丸のみんなは頼もしい刀ばかりだし、のんびり待つことにするよ」

「わかりました。力の温存のため、護衛刀剣男士の顕現は緊急時を除きお控えください。基本的な審神者の安全確保はこんのすけが行います」

「よろしく頼むね」


こんのすけにそう言われては、規定として連れてきた護衛用の刀剣男士の顕現もできない。

こんのすけは連絡事項をすべて伝えきったからか、ペコリと器用にお辞儀をし、そのままドロンと姿を消してしまった。

どこかで審神者の様子を見守っているのだろうが、いよいよ話し相手もいない。

適当に備え付けのテレビをつけるが、現世から離れて数年たった審神者には、今流行りのタレントなどがわかるはずもなく、沈黙を紛らわせるための環境音にしかならなかった。

これは早々に寝て過ごせということか。審神者はひとつため息をし、護衛として連れてきた刀の鍔をそっと撫でた。


「おやすみ。何事もないといいけれど」


ふらぐですよ!とでもいいたげに刀が微かに震えた。

備え付けの寝巻きは男女関係なく着用できるために作られたからか、着れるには着れるがどうしても違和感がある。

いっそ下着のみで……と思わなくもないが、緊急時に下着だけでこの部屋を飛び出るか、寝巻きで飛び出るかを考えれば選択肢はひとつきりだった。

テレビの音量を最小限にし、うすぼんやりとしたフットライトのみつけて、審神者は布団を被った。

いつもならテレビも部屋の明かりもすべて消して眠りにつくというのに、今晩ばかりは別だった。

いつの間にか寂しがりになってしまったのかもと、思考する。本丸にいるみんなが気がかりだが、気にし出すと眠れなくなるのはわかっていたので、微かに聞こえるテレビの音を拾うことに専念し、審神者の刀剣男士と会えない初めての夜は更けていった。



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