チョコレートの遊園地、ティラミスの時計塔

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

犯行

青い風船が、勢いよく空へと舞っていった。

クマが手渡した、最後の一つの風船。

「ありがとう」と礼を言いに寄ってきた女の子の体を軽々と拾い上げて、クマは女の子にハンカチヒラヒラとして見せる。

それに首を傾げた女の子の口元にそれを押し付けると、しばらくして女の子は、グッタリしたまま動かなくなった。

ついに来た。

俺の役目は、あのクマの“本当の顔”を拝むこと。

絶対に、逃しはしない。


女の子を抱えたまま、クマはメインロードの方へと足を進めた。

もちろんそこは、いつでも沢山の人で賑わっている。

にも関わらず、誰一人として、この異様なコンビに疑問を抱く奴はいない。

(さすが、幸せの国。って感じだ。)

わざわざ不幸を気に留める必要などないのだろう。

苛立ちながら人混みを避けようとすると、少し乱暴になってしまった。3人くらいにぶつかって、「すいません」と言った。

その間にも、クマはメインロードを進む。

メリーゴーランドを通り抜け、ジェットコースターを通り抜け、ついにクマが足を止めたのは、園内の一番端にあるトイレの裏だった。

(道でも間違えたのか?)

見る限り、もう周りに道なんてない。園の外壁が取り囲むばかりだ。

だのに、クマはその壁に向かって足を踏み出す。

二歩、三歩と歩いて、また止まった。

そして抱えていた女の子の右手を手に取ると、目の前の壁に、ペタリと掌を当てた。

そのまま、壁に当てられていたはずの女の子の手から、親指を残して、全ての指が“見えなくなった”。

(!!!)

まるで壁が、化け物にでもなったみたいだ。

青黒く見えるそれは、まるで女の子の手を食べようとしているようで、クマの背丈よりも少し上のところにある黒い穴は、気味の悪い目に見えた。

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