midday ruby moon

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@solabell9601

Elis


それからエリーと私は、12時の鐘が鳴る頃に少しだけ話し、私が休日になればエリーが行きたいと言う場所に一緒に出かけた。

窓際から顔を出すエリーを眺めていた時は思わなかったが、エリーは存外いたずらっぽく、子供らしい一面もあった。

年齢は、成人するかしないかくらいに見えた。

窓際にいた時はそれ以上に見えたし、目の前で花冠を作って笑っている今はまるで少女のようだ。


「ねえメリス、あなたこの花が似合うと思うわ」

「…これは?」

「『カスミソウ』って言うのよ。本で読んだの。ここよりもっと東の遠い国の花らしいわ」

「カスミソウ…綺麗な花だな」

「私、この花好きよ」


そう言って、カスミソウの花冠を自分の頭に乗せて朗らかに笑ういつも通りの白いワンピースのエリーは、本当に花の妖精なのかと見紛うほど美しくて可愛らしかった。


「メリス、見てばかりいないであなたも作ったらいいのに」

「私はあまり器用ではないから…。花を綺麗にしてあげられなかったら可哀想だろう」

「…ふぅん、不思議な考え方するのね」

「そうか?」

「ええ、私メリスのそういうところも好きよ」


急に、胸のあたりが締め付けられる感じがした。

吸血鬼に心臓はあるが、不老不死であるから病などかからないはずだ。


「…?」


少しすると収まった。

最近、エリーといると時々こういうことが起きる。

…吸血鬼が医者にかかるなど聞いたことがないが、医者に行くべきだろうか。


「エリー」

「どうしたの?」

「最近、時々胸のあたりが締め付けられるような感じがするんだ。…痛くはないのだが、違和感を感じる、というか…。貴方はそういう流行病はやりやまいかなにかについても詳しそうだな。心当たりはないか?」


そう問うと、エリーは少し驚いた顔をしたあと、いたずらっぽく笑う。


「ねえメリス、それってまるで——」


僕に、もうひとつ作っていたできたての花冠を被せて、その場でくるりと回って白いワンピースをひらりとさせながら言う。


「——恋みたいじゃない?」



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