僕と死神さん

カラス コンパス枠
@konpasu2017

最終話 僕と死神さん

(…誰かが泣いている)



「「………!!……!!!」」


(声が段々聞こえてきた)


「流星!!」


「お願いよ!!行かないで流星…お願いよ…置いてかないで…パパとママを…置いてかないで…」



(……おかしいな、魂取られたはずなんだけど幽体離脱とか?)


「…流星…」


「流星……」


「お、…と、か…あ」


(ごめん、今声出ないやこれで精一杯)


「「流星!!」」


「先生!!流星君の意識戻りつつあります!!」


「なんだって?!これは…奇跡といえようか…いいや、奇跡以外なんて言えるんだ…!?」


「流星…聞こえる?ママよ?」


「パパだぞ…流星!そばに居るからな!」


(まだ、流星って呼んでる…もういいや、今はそれで…手を握り返すからちょっと静かにしてて)


「ぱ、パパパパ!流星が手を握り返したわ!」


「…先生!先生!ありがとう!ありがとうございます!!流星をありがとうございます!助けていただきありがとうございます!!」


「いえいえ!!こればかりは流星君の生命力のおかげですよ、流星君に伝えてください…」


(僕の生命力…それは違うよ、僕のおかげじゃない…)


虚ろな目をキョロキョロ動かすも死神さんの姿はなかった。



(………。死神さん)






僕はその後、数週間は面会を避け治療に専念することになった。


手術室に運ばれた時僕の心臓は既に止まっていたらしい。しかし、医者の手によって息を吹き返したということになっている。


(僕はわかってる。死神さんが僕に魂を返した事を)














あれから…数ヶ月がたった。あれ以来死神さんとはあっていない。

お父さんとお母さんは僕の事を流星と呼ばなくなった。

お父さんとお母さんが僕に曇った笑顔を向けるのも知っている。



僕が流星じゃなくなったのがショックなんだろうなきっと…。


僕は今、別の病室で過ごしている。精神だけじゃなく。今度は体を怪我したのだから別の病棟に移したというわけだ。


アイドルが好きなあの男の子とも合わなくなった。病棟が違うのもあるし、外で遊ぶことも出来なくなったから仕方ないことだよね。


(そんなこと、僕にはどうでも良くて…ただ一人に会いたかった…人ではないけれど)




コンコンッ


「りゅ…じゃなかった夜君、検査の時間だから行こっか」


「あ、はい…」


僕はナースさんに車椅子を押されながら病室を後にした。



(もしかしたら、もう会うことは無いのかな?でも、リストにのってるんなら…奪わなきゃ行けないはずでしょ死神さん…)



1時間程で検査は終わる簡単なこと


「うん、骨も順調にくっついてきてるね。今は色々と不便な事があると思うけど、この調子で回復していけば前と何ら変わらない生活を送れるよ。だから、先生と一緒に治していこうね」


「はい」


車にはね飛ばされたために骨があちこち折れている。正直に言って早く骨がくっついて欲しい…


「それじゃ、病室で安静にしててね」


「はい、ありがとうございます先生」


先生はニコリと微笑むとナースに目線をやった。


「それじゃ、行こっか夜君」


僕は頷くとナースさんに車椅子を引かれ、自分の病室に帰ることになった。


「良かったね〜!骨がくっついて」


「うん」


「早く体を治してお外でみんなと遊びたいね〜」


「…別に」


「もぉ〜、そんな事言わないで!運動も大切なんだよ」


「…そっか」


ナースさんは気まずくなったのか病室に着くまで何も喋らなくなってしまった。









「さて!病室についたよ!」


ガラガラガラ…


と誰もいない病室の扉を開けた。


「ふぅ〜、だね!夜君検査お疲れ様!」


「ありがとう」


「ほんまにお疲れ様やなぁ〜!」


「……?!?!?!」


僕は声の下方向へばっと目線をやった。


「……?!ど、どうしたの夜君?なにかあった?」


ナースさんは僕の素早い動きにびっくりしたしたようだ。


「え?!なになに?!怖いわ〜…!幽霊?!お化け!?嫌やぁ〜…え?!これ誰…このイケメン!!…あぁ、なんや鏡か……自分写ってへんけど」


「な、なんでもな…い」


「そ、そう?じゃぁ、体持ち上げてベッドに寝かせるね?」


「よっしゃーー!頑張れ姉ちゃん!!いいぞぉおお!!せや!!そこに手を通すんや!!いけ!!今や!!持ちあげろぉおおお!!いいぞぉおおお!!腰に気をつけろぉおお!ぎっくり腰なんなぁああ!!」


「よいっしょっと、大丈夫だった?」


「うん、大丈夫ありがとう」


「おぉ〜やるなぁ〜!姉ちゃん、あんたやるよ!!」


「布団かけたし、車椅子ここに置いとくね。何か欲しいものとかある?」


「大丈夫」


「欲しいものあるある!!ジャボン!!少年ジャボン!!しばらく読んでなかってん数ヶ月分とってきてや!!」


「了解!また何かあったら遠慮なく呼んでね」


「うん」


「あぁ〜いかんで!!ジャボンの数ヶ月ぅううううううんんんん!!」



ガラガラガラ…


ナースさんは病室を出ていってしまった。


「ジャボン……数ヶ月……グスンっ」


「久しぶりにあってそればっか?!」


「そりゃせやろ!!どれだけあれが楽しみか!!」


「いやいやいや、他にもあるでしょ!!さっきから黙って聞いてりゃさ!!」


「なぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁい!!」


「あぁああああああああああああぁぁぁる!!」


「ないないないないないないないないないないないないないないないないないない!!!」


「あるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるある!!」


「ない!!!」

「ある!!!」


「はぁ〜…人間界唯一の楽しみが…数ヶ月とか…話もう全然わからんやん…1つ逃しただけでもうわからんのに…モブが出てきたら、漫画の中ではまた会ったなやけど、こっちからしたらどちら様やわ…はぁ〜〜」


「…そこの紙袋」


「なに?紙おむつ?」


「違うよ!!!ち、が、う!!か、み、ぶ、く、ろ!!」


「んあ…」


ガサゴソ……


「こ、これは……!!!!」


「…。死神さんがいなかった分のやつ。お父さんとお母さんに忘れずに買ってって頼んだんだよ。スマホ持ってて良かったってその時心底思った」


「お、お前…お前っていうお子ちゃまは……親をなんやと思っとるんや!!パシリちゃうねんぞ!!」


「んじゃ!!それいらないんだな!!わかったよ!!」


「いるぅうううううううううう!!」


「……まったく、本当に全くだよ」


(久々にあったのにこうして何事もなく話せてる。本当に不思議でならなかった。)


「ねぇ、死神さん」


「………。なんで魂かえしたかって聞きたいんか?」


「うん、なんで魂を返したの?人生最後のお願いなのにさ」


「……?俺はちゃんと約束守ったで?」


「…いや、でも返したじゃない」


「取ったやろ??お前の願いは『絵を見せてもお父さんとお母さんは流星と僕を求めるなら、僕の魂をとって欲しい』…やろ?…だから俺は魂を取った。」


「それで?」


「返した!!(ドヤァアァアアア!のすけぇええええべんけぇえええ!)」


「なんで返しちゃった?!なんでキャッチ&リリースしちゃったの?!」


「だって取った後どうして欲しいか言わなかったじゃん…そのあとは俺の勝手だお〜★」


「どうして欲しいって…連れてけば良かったのに」


「言ってなかったやろ?だから連れてかなかった。それだけや」


「…屁理屈だよ、ただ…僕痛い目にあっただけじゃん…体ボロボロになっただけじゃん」


「だぁからこれで満足か?って聞いたやん。俺は別に車に引かれるなりしても俺には関係ないから別にいいけど…ってや」


「うん、言ってた。確かに満足かって言ってた。でも、こうなるとは…思ってみなかったよ…」


「お前の人生最後の願いは聞いたから、もう一生俺にお願いは出来ひんからなぁ〜!ご了承ください!」


「まじか」


「まじだぁ〜!」


「そっか…そっか…ふふっ」


「なんや?頭いかれたか?」


「ううん、でもちょっと頭イカれたかも…ふふふっ!あははは!」


「………。」


「いや!!無表情すんな!」


「いや、ちょっと…そういうの大丈夫やから…うん」


「えぇ…?!」


「だにぃ?!」


「なにそれ…あはは!」


「………ふっ」


「でも、本当になんで僕の魂返したの?ちょうど良かったでしょ?」


「まぁな、普通なら奪ってたやろうな…でもな」


「でも…?」


「せやな、お前にまぁいいか言っても」


「なんだよ…気になるな」


「お前に向けての人生最後の願いを願った奴がいる。」


「…え?それって誰?」


「それは守秘義務。ちなみに内容も守秘義務。だから、俺はお前に魂を返した。80%ぐらいの気持ちでな」


「じゃあ、残りの20%は?」


「………。あ〜、守秘義務で」


「絶対嘘!!今決めたろ!!!」


「いいやろ!!なんでも!!じゃあ残りの20%もその願いや!!以上!!」


「納得できるか!!ならなんで分けた!!初めっから100%にしたら良かったじゃん!!」


「ええやろなんでも!!!」


「少年ジャ〇プ返せ!!」


「ジャ〇プ言うな!!大人の事情があるって言ったやろ!!」


「知るかぁあああ!!」


「ぬぉい!!枕投げてくんな!!病人なら大人しくしとけ!!」


ガラガラガラ…


「「あ」」


「き、きゃぁああああ!!枕が!!枕が浮いてる浮いてるぅうううううう!!」


「どうしたの!!大きな声出して!!これで何回目?!」


「ま、枕が…」


「枕?」


「あはは…えっと、多分疲れてる…のかなぁ…ナースさん」


(ごめん!!ナースさん!!枕死神さんが持ってて浮いてた!!本当にごめん!!!)


「ごめんね〜!夜君!!」


勢いよく扉を閉められた。叫んだナースは再び連れてかれた。


「……はぁ」


「…今度こそクビか?あのナース…うけるぅうう〜♪」


「うけないって!!」


死神さんが楽しそうに笑う顔を見ると…僕も自然と笑顔になった。僕にとって死神さんは、特別な存在なんだと思う。


いや、特別な存在なんだ。



(この日常が…この病室での日常がこれからもずっとずっと続かないかな)












「 」


















「……?今何か言った」


「んや、俺はジャボン読むので忙しいからお前も安静にしとけよな」


「…ふっはいはい」




































(残りの20%それは…。死神やと思ってはいけん事や)











(死神さんともっと)


(このガキンチョともう少し)













































一緒にいたい。























































Happy END






























































………………?












































































































偽りEND



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