僕と死神さん

カラス コンパス枠
@konpasu2017

19話 約束と死神さん

父の誕生日がやってきた。


ガラガラガラ…


「流星!今日はパパの…」


「誕生日でしょ?知ってるよ」


「そかそか!ママ先に来ちゃった♪ケーキも買ったのよ?後でみんなで食べましょ♪」


「うん」


「パパもうちょっとで来ると思うから…はぁい!クラッカー!」


「う、うん…後でちゃんと掃除してね」


「わかってるわかってる!…ほらほら、足音聞こえてきた…隠れて流星!」


「……はぁ」


僕は言われるがままに隠れることにした。


ガラガラガラ…


「…あれ?ママ?流星?」


パーン!パーン!!


クラッカーを引く


「わぁ!びっくりした!!」


お父さんは目を丸くした。


「大成功ね!流星♪」


「……うん」


「はいはい!パパのケーキケーキ!!」


「ケーキも?!うわぁ〜ありがとう!ママ!流星〜!パパ嬉しいぞぉ〜!!」


「ケーキはもう切ってあるの買ったからほらほら、食べよ食べよ〜♪」


「…待って」


(お父さんには最悪な誕生日パーティーになるだろな、それでも…)


「これ」


僕は紙を丁寧に巻いたものを渡した。


「お?これはなんだろなぁ〜どれどれ♪」


絵を広げた時、父の笑顔が固まった。母の笑顔も


「…わ、わぁ〜流星上手いじゃないかこの絵!」


「流星の絵じゃないよ、お父さん」


「……!」


「……?!」


二人はびっくりした顔をしている。



「分かってるでしょ?去年上げた僕の【絵】だよ、流星と一緒にあげた…絵…僕の絵」


「な、なんで…」


「…り、流星…」


「ちゃんと、裏に名前も書いたんだよ?…僕の名前を…流星じゃない僕の名前を」


裏を見た瞬間二人はさらに目を丸くした。

そして、席を立ち二人はどこかに慌てて行ってしまった。


「……やっぱり受け入れられなかったみたいだね」


「せやな、今先生に詰め寄ってるようやで?うちの子が…あの子になってる!治してくれるって言ったじゃないですか!ってな」


「…そっか」


「にしてもケーキうっっま!」


「良かったね、それ食べたら約束…守ってね」


「わかってる」


約束…それは、『絵を見せてもお父さんとお母さんは流星と僕を求めるなら、僕の魂をとって欲しい』と


「………。」


「なんや?怖いんか?」


「ううん、どのみち取られる運命だったんでしょ?それが早くなっただけだから別になんとも」


「………。」


「んじゃ、行こうか…死神さん」


「ほいよ…窓から出るで?捕まり」


「…うん、」


死神さんに捕まると窓からふわりと飛び降り、優雅に着地した。


「自分で歩くね」


「ほいよ」


背中から降りる、今思えば裸足のままだった。


(まぁいいか…)


「ねぇ、死神さん」


「ん?」


「死に方とか選んでもいい?」


「別にええけど、なんかやりたいことあるんか?」


「兄さんと同じ死に方をしたい…同じ形の車で…同じ色の車」


「ほぉ…」


「本当なら、僕が死ぬはずだったんだ…あそこで兄さんが押さなかったら」


「まぁ、せやな…」


「だから、せめても…ね?」


「よくわからんけど、分かった」


「なんか、さ、死神さんがいてくれたから寂しくなかったよ…毎日退屈にもならなかった」


「なんや?気持ち悪いな…湿っぽい話しやがって…」


「そりゃするよ…これでお別れなのに」


「…………。」


「変な死神だなぁと思ったけど楽しかった。本当に楽しかった…」


「そうか」


「ところで、この病院ってどういう所だったの?大きな病院だけど…」


「んあ?ここは中央病院って言ってな体の様々な治療、精神の治療、妊婦の通うところでもあるし…とりま…何でも屋ってところやな…直せんもんはない!!的な!腕もいい医者も揃っとるしな…県一頼れるところや!…って感じで、とにかくめちゃくちゃすごい所や」


「なるほど…」


「ところで、お前の名前は覚えてるんか」


「うん、覚えてる…」


「んじゃ、弟君の名前教えてや」


「夜」


「よる?」


「うん、夜…。夜に流れる流星群…二人で1つの絵になる」


「ふーん」


「って聞かなくてもしってるんじゃないの?」


「まぁな〜…ちゃあんと思い出したんか確かめて見ただけや」


「そっか…」


「………。」


「そういや、僕達兄弟っていうかさ、双子なんだよね」


「せやな、性格が似てない双子。あるあるや」


「あるあるだね」


「…………。」


「ねぇ、双子ってやっぱり魂の色とか波長?とかは同じだったのかな」


「あぁ、とてつもなく似とる」


「…なんか、ちょっと嬉しいな」


「嬉しいんか?あんなに兄と比べてたくせに」


「……………。そ、うだ、ね」


「……………。」


「……………。」


病院の校門までたどり着いた。真ん前は道路になっている。


「なぁ、これで満足か?」


「え?うん、満足だよ」


「そうか…」


「死神さんは満足じゃないの?」


「俺は満足とか満足じゃないとかどうでもええ、俺は…な?」


「そっか…それじゃ、ちゃんと回収してね?」


「おう、そいじゃ、また明日な」


「…!…もう僕に明日なんてないよ」


僕はもう振り返らなかった。

そして、道路の正面に立つと勢いよく車に僕ははね飛ばされた。










ふわふわと1つの魂が死神の元に寄ってくる。


死神は人差し指を立てると、そこに留まるかのように魂は停止した。


「…魂回収完了」


「引かれたぞぉおおお!!早く運べ運べ!!!いそげぇぇぇぇぇ!!」


「………。」


夜の抜け殻を医者は慌てて運んでいる。


死神はただそれを見ていた。


「…ゲームで例えるなら偽りENDってなるんか…あははは!うける例えぇえええ!あははははは!!




よし、仕事も終わったし次行こか」

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