僕と死神さん

カラス コンパス枠
@konpasu2017

13話 絵の具と死神さん

最近のことなんだけど、僕の頭の中は色々と渦巻いている。何かを思い出すように少しずつ…少しずつ…その度に頭が破れそうなぐらいに痛む。



「うぅ〜ん…これも違うかな」


カラカラカラ…

いつも通りに窓をあける音

「ほぎゃぁ〜!なんやこの床1面の紙!」


「あぁ、死神さん…実はそろそろお父さんの誕生日なんだ。それで、絵をあげようと思ってて…でもなんだか上手くいかなくて」


「ほぉ〜ん…どれも子供臭い絵やな」


「子供なんだから仕方ないでしょ」


「クレヨンに色鉛筆…絵の具は使わんのか?」


「うーん…絵の具はダメだって、ベッドが汚れたら大変だからって」


「ほーん…そぉんなあなたに朗報やで★死神特別販売!絵の具セットはいかが?なんとお値段現在無料でございまぁす♪」


「え?!本当に??死神さんありがとう」


「や、け、ど!無料でやるのも尺の都合あれやから」


「尺?!」


「大人の都合ってやつや」


「…さようでございますか」


「んで、絵の具で俺の絵を書いてもらいたいとおもいまぁうす♡♡」


「え?やだ…」


「んじゃ、やらん!」


「わかったよ、やるよ…」


「やったねたえちゃん★」


「たえちゃんって誰か知らないけど」


「イケメンに描いてくれや?この美を絵に写し取るんやで?」


(うぜぇ〜…)


「まぁ、書いてるだけやと暇やろうし…質問タイムといこか?」


「突然だね」


「俺について気になることあるやろ?」


「ないね」


「しょぼんぬ…」


(っていうのは嘘だけど、本当は聞きたいことは沢山ある)


「せやろせやろぉ〜聞きたいことあるやろ?!」


(心を読まれた…ウザイ)


「ってな訳でほれほれ!水も持ってきたし、雑巾も持ってきたし、キャンバスに三脚立ててほれほれ!椅子に座って!」


「わかったわかったよ…んじゃ、動かないでね」


「ほいきた!!」


(決めポーズがウザイ…質問か、とりあえず何にしようかな)


「死神さん時々どこかに行ってるけどどこにいってるの?」


「ん?家に帰っとる時もあるし、それと魂集め…死神としての仕事をしとるで」


「え?死神って家あるの?!」


「あるに決まってるやろ?人間だって家を持つように俺らだって家がある…死神だけが住むところにな。」


「へぇ〜…んじゃ、死神の仕事ってなに?魂ってなんでもいいわけ?」


「なんでもいいわけやないでもちろん。死神界の偉い奴らが誰の魂をとるか決める。んで、俺たち下っ端らへんは、リストを頼りにターゲットを見つけて奪う。それと、運悪く死んだやつの魂を回収して、あの世に送り届けるのも死神の仕事や後は…死神らしく余命を告げてこの日に迎えに来るでっていうお知らせもな」


「リスト…ってその人たち何をしたの?」


「まだ、何もしとらん。やけど、いずれ人類が滅ぶほどの事件を起こすやつの魂がリスト入りするんや。早めに悪い根を摘み取る…って考えや」


「それって…」


「あぁ、流星…お前もリスト入りしとるで。もちろんリストに入るのはそれ以外の理由もあるけどな、さっき言った余命が近いやつもリストに乗る」


「でも、先生は死なないって言ってたよ…つまり、僕は何か悪いことをするっていうの?!」


「さぁ、それは言えんな。でもまぁ、これは決められた運命や」


「決められた運命ってなに?」


「決められた運命…生まれた瞬間決まってるやつも稀にいるけど、成長するにつれ決まるやつもいる。まぁ、大抵は子供の頃に決まるな。強い衝動…心に強く強く強く響くものを見る聞く感じる起こる触れるなど、そういうのが原因で決まる。」


「僕もあったの?そういうことが…」


「あぁ、あった。あんまり実感はないやろな?運命ってそういうもんや人間にはわからんもんや」


「決められた運命はもう変えれないの?」


「あぁ、変えられへん何をしてもな。変えれる運命の枝分かれは凄い何兆とも超える道がある。それは俺ら死神もいじれる道やし、もちろんその人間たちの生き方で決まる。そこで最後まで行かずにリストにも乗ってないにも関わらず運悪く死ぬやつもいる。どんな道をえらんでも結局最後はどの道も1本に繋がって決められた運命にたどり着く。」



(……僕の衝撃的な出来事って、なんなんだろ?)


「あ、せや…リストみるか?」


「え?!みせていいもんなの?!」


「まぁ、特別にな…秘密やで♡♡」


死神さんは懐から紙の束を取り出して僕に見せつけウインクしてる。


「んじゃ…ちょっとだけ」


リストには名前、出身地、誕生日、身長体重などが細かく書かれていた。顔写真も乗っている。

決められた運命らしきものも書いている。


「ん?この魂の…波長とか色ってなに?」


「魂の波長…俺達死神には魂の色が見えるそして波長が聞こえるんや、聞こえるというか…感じる?の方が正しいか、それは人間それぞれ違うからな。こいつで合ってるかの確認みたいなもんや。」


「へぇ…」


(色んな人がいるんだな…)


「ん?この子僕と同い年ぐらい?女の子なのに人類に危険なの?しかも凄い…星がついてない?」


「そいつは死神全員が持ってるリストや、絶対に回収しやないかん魂や…どんな手を使ってもな」


「な、なにそれ…そんな子がいるの?」


「あぁ、おる全人類…全生命が消滅する」


「へぇ〜」


もう少しその子のリストを見ようとしたところで死神さんに取られてしまった。


「あ、見てたのに…」


「あんまり内容を覚えられる訳にもいかんからな」


「自分で見せといて…」


「まぁまぁ、もう質問はないか?」


「……。んじゃ、死神ってどうやってなるの?」


「どうやって…うーん、それは難しいなぁ…俺も原因はしらん。神様か偉い死神とかそこら辺が決めるんやないか?俺は生まれも育ちも死神やったからな…。人間が死神になったやつもいれば、天使が死神に落ちたやつもいる。」


「んじゃ、僕も死神に生まれ変わったりもするの?」


「さぁな、でも可能性はあるんやないか?でもまぁ、人間の記憶は残ってないけどな」


「へぇ〜なんで?」


「なんでって…残ってたら危ないやろ。記憶が残ってて死神になったとしようや、そんでそいつに妬み恨み持ってるやつがいるとしよ…そいつの魂を奪う可能性があるやろ?リストにも乗ってないやつをな…そのおかげで、色んな運命が変わって大変なことになるしな」


「そ、そうか…普通の人だと死神目に見えないもんね」


「そゆこと、やりたい放題なるからな。そんな面倒事俺らはごめんやって事で記憶は全部無くして死神にさせる」


「怖いね…なんだか」


「まぁな、俺ら死神も人間にされることもあるからな」


「え?!そうなの?!」


「そう、記憶を全部無くされて人間にされる。理由はまぁ、同じ感じや厄介なことになるからな。仕事の成績が悪いやつは容赦なく人間にされるやつもおるし、成績良い奴は死神を続けたいか人間になりたいか選べるけどな」


「死神さんは成績悪そうだよね」


「心外やな!!俺は超が着くほどのエリートやで?やからこうやって自由気ままに出来とるわけや」


「へぇ〜意外!」


「意外って…俺をなんやと思ってたんや」


「え…ウザi」


「やめてぇええ!やっぱり聞きたくない!!」


「どっちだよ…ってそんなことより絵かけたよ」


「おぉ!まじか!!見せてみ!!」


僕は絵を手渡した。


「ほぉん…やっぱり子供臭い絵やな」


「書かせといてその言いぐさ…」


「ほんまにこれ…本気か?」


「そんなに言うなら返してよ」


「せや、最後にこの端にサイン書いてや…【流星】ってな」


「え、別にいいけど…」


「サンキュー!俺もあの二人に習って額縁に飾っといたるからな♡♡」


「…キモイ」


「今日はなかなかに辛口やな…。ところで、父親の絵描くんやろ?俺のことは気にせずに描きや〜」


「言われなくてもそうするよ」


(さてっと…どうしようかな)


どういう風に描こうか悩んでいると1つの絵が思いついた。


僕は黙々と頭の中に描いている絵を描き続ける。


ちらっと視界に入った死神さんの灰色の瞳が怪しく黒く鈍く光ったように見えたのは僕の気の所為。



…きっとそう。



















「うぅ〜ん!!出来た!!」


時間がかなりかかったが、ようやく完成した絵にとても満足がいった。頭の中の絵と同じだった。


「…んがっ、出来たんか」


「…死神さん寝てた?」


「んん〜…!!ちょっとな」


死神さんは僕の絵を覗き込んだ。


「ほぉ〜…子供臭い絵」


「…う、うるさいなぁ子供なんだから別にいいでしょが」


僕は死神さんから絵を隠すと死神さんはニヤニヤとした顔をした。


「……ところで












名前、書かへんのか?端に












【流星】って」











「言われなくても書くよ、














か」













僕の手がピタッと止まった。














(…書けない)












手が震える。冷や汗が垂れる。













「どうしたんや?【流星】って書かんのか?なぁ…













りゅうせい君?」












「はぁ…はぁ…はぁ!!」


呼吸が荒くなる。












(書けない、書けない書けない書けないここには、この絵には…













書けない!!!)












僕は筆にベチャベチャに絵の具を付けてその絵をグチャグチャにした。












その絵がなんなのかわからなくなるまで。何度も何度もその行為を繰り返した。服が汚れようが、手が汚れようが、顔が汚れようが、床が汚れようが、足が汚れようが、壁が汚れようが、窓が汚れようが、カーテンが汚れようが、ベッドが汚れようが












どうでもよかった。




この時の僕は全てがどうでもよかったんだ。











ただ、この絵に【流星】と書きたくはなかった。




それだけだ。たったのそれだけで僕はここまで錯乱したんだ。












「はぁ…はぁ…はぁ…」


息が切れる








僕の手からはパレットと筆が滑り落ちた。












ベチャンっと音が大きく響いた。



それは僕の中のなにかが落ちた音のように聞こえた。














コンコンッ


扉のノックで僕は我に返った。

白が基調の病室がなんとも色鮮やかな病室になっていた。




「流星君入りますよ〜」


「………ッ!!」


(言い訳なんてなんにも思い浮かばない!!見たままです!絵の具してました!!)


「流星君?」


「あの、これは、その…!!」













「ふふっどこか行く予定だったの?」


「……ふぇ?」


僕はなんともまぁ間抜けな声を出した。











僕の周りはいつもと変わらない白を基調とした病室だった。


(あれ…どうなってるの?)


窓際にいた死神さんがいなくなっている。


窓際を見てポカーンとする僕にナースさんは心配そうに近付いてきた。


「流星君大丈夫?」


僕は頬をつねり、夢じゃないことを確認した。



(はは…痛いや)


脚が砕けたようにへにゃへにゃと僕は床に尻を付けた。


「ちょ!?流星君?!大丈夫?!せ、先生!!先生!流星君が!!」


ナースは病室を飛び出して行った。


(…死神さんが片付けてくれた…のかな?…なんにせよ助かった)


僕はその後、点滴を打たれることになった。


(もう、絵は描かない…お父さんには他のものをあげよう、まだ時間もあるし)


そう心に決めた僕。
















屋上にて、

「あーりゃりゃりゃ、せっかくの絵をベチャベチャにしやってからに…病室綺麗にしたんも感謝しまくれよ、りゅうせい君…死神のパワーは無限大ってな!!ケッケッケ!」


ベチャベチャになった絵をばっちぃと言わんばかりの掴み方をしながら死神は絵を見つめた。


死神はその絵に手をかざしゆっくりと動かしていく。


すると、絵の具でベチャベチャになる前の絵へとかざした所から変化していった。


全てかざし終えた頃には、何も無かったかのように流星が描いた父親の絵がそこにはあった。


「本気で描いてたらこうならなくて良かったのにな…」


死神は絵をクルクルと綺麗な筒状に丸め懐にしまった。


「懐にしまっても服が膨らみもしない!これぞ、4次元ポケット的なやつやな★(どやどやドヤのすけぇ丸〜♪)













……誰に言ってんねやろ」


やれやれといった顔をしながら次は流星が描いた死神の絵をしばらく眺め、手をかざしその絵を白紙に変えた。



白紙に変えた紙を軽くふると、粉々に砕け散り風に舞って消えていった。

著作者の他の作品

もしも、思考が僕と同じならいったいどんな世界になるんだろうただ……ふとそう...

Twitterの診断『君と僕の世紀末』にて、出た結果で小説を作った作品となってお...