僕と死神さん

カラス コンパス枠
@konpasu2017

8話 絵と死神さん

「流星くん気分はどうだい?」


「いつもと変わりません」


「そうかそうか」


「ねぇ、先生僕まだお家に帰れないんですか?」


「うーん、そうだねぇ…まだ無理かなぁ」


「でも、体調悪くないしどこも痛くないです」


「そうだねぇ…流星くんの病気は少し特徴的でね体調も悪くならないし痛みも感じれない難しい病気なんだ。ゆっくりゆっくり治していこうね。病気を治してお家に帰ろう」


「…僕の病気の名前ってなんですか?僕…死ぬんですか?」


「バカ言うんじゃない…死なないよ大丈夫!病気の名前はまだ分かっていないんだ。分かったら流星くんに教えるから…ね?」


「…はい」


「そうだ…検査を頑張った流星くんにご褒美だ」


先生は紙に一つ一つ包まれてるラムネを数個僕にくれた


「ありがとう、部屋で食べるね」


僕は診察室を出て、病院の中にある売店に立ち寄った。


(…あった、今週の漫画!買っておかないと死神さんにあとからネチネチ言われちゃうから)


それから、飲み物を手に取って会計を済ませた。


飲み物と漫画を抱えながら病室に向かう



ガラガラガラッ…病室の扉を開け中に入る。


「死神さん漫画かっ……」


僕は言いかけていた言葉を飲み込んだ。


(そうだった…今日は死神さん居ないんだった。朝起きたらメモがあって、今日は来れないって書いてたんだ)


ベッドに戻り、机に漫画とペットボトルを置いた。


(そういや、お母さんもお父さんも今日は来れないんだっけ)


スマホを開きメールを再び確認した


「…はぁ、今日は一人かぁ」


(なんだか珍しいなぁ…お母さんもお父さんも少ない時間ではあるけれど、ほぼ毎日と言っていいほど来てくれてた。無理しないでいいとは言ってるんだけどなぁ…死神さんは一緒にいない時間の方が珍しい…一日一緒に居ないのは今日が初めて)


「…暇だし、漫画読も」


(それから死神さんより先に漫画読むのも初めて…先に読んでもネタバレしてこないから優しい…の、かな…??)


「…ふふっ面白いなぁ」






漫画を読んでいる間に結構時間が経った。昼ごはんを食べてから次はゲームをした。


病室でゲームの音が響く。飽きたら次は図鑑、文字がひらがななので僕でも読むことが出来た。


次に本


絵はない文字ばかりのその本は僕の鉛筆の後が沢山あった。


(僕はまだひらがなしか読めない。だからお母さんやお父さん…それから死神さんに教えて貰いながら漢字にフリガナをふってる…簡単なものならほんの少しだけ覚えて書けるようになった)



僕は一から読み返した。


僕は絵のない本も好きだった。想像するのが楽しかった。


(意味のわからない言葉も多い…調べても僕にはちょっと分からないことが多かったなぁ…)


そんなことを思いながら読み終えた頃には外は真っ暗になっていた。


夕ご飯を食べた後

特にすることもなかったので紙に絵を書いた。


(お父さんと僕とお母さん……それから何か足りない気がする…なんだろう、僕の隣に誰かいないといけない気がする…)


悩んだ挙句僕の隣に死神さんを描いた


(……僕の隣に死神さんって………違和感しかないや。はぁ〜…最近いつも頭がモヤモヤする)


僕は色鉛筆を机に投げ捨てそのまま寝転んだ。

ふかふかの枕がとても気持ちがいい


(……死神さん、今何してるんだろ…っ別に寂しいとかそんなんじゃない!…って!誰に言い訳してるんだろ僕!!んぁ〜もぉおおお!)


その時ふと思った


(…僕、死神さんの事あんまりよく知らない。きっと死神さんにも名前はあるんだよね?なんて言う名前なんだろ?別に名前を聞いたところで何も変わらないんだろうけどさ…でもなんだか












…ズルいよ
















って!!何考えてるんだ僕は!青春か初恋のなにかか!!……ま、まさか死神さんに初恋?!ないないない絶対ない!!あるわけないよ!!)


頭の中がグルグルする…


(……はぁ、死神さんの事考えすぎたせいかな?なんか、今凄く寂しい…こんな寂しいと思ったことあったっけ?いつもそばに誰かいてくれた気がするんだ…お母さんでもお父さんでもない誰か…思い出せない思い出せないよ…)


「……グスンッ」


僕は1人で泣いていた。意味もわからず


僕は布団に潜り、縮こまった。

寂しくて…寂しくて寂しくて寂しくて仕方なかった。


……そして泣き疲れた僕はいつの間にか眠っていた。





















深夜…

カラカラカラ…窓を開ける音

カーテンがふわっと風邪で舞い上がる。


灰色の瞳の者はゆっくりと病室に入る。少年を起こさないように

そして机の上にあった絵を見つけ手に取った。


(おとうさん、ぼく、しにがみさん、おかあさん、…………か…。全く…俺の事大好きやなぁ…心の声も聞いとったで?)


ニヤニヤと笑いながらモッコリと膨れている布団に目をやった。


(隣に俺を描いてくれたのは嬉しい…やけど、お前の思っとる通り…お前の隣は俺やない……せやろ?流星くん)


死神は自分の絵に手を当て…左にスライドさせる。


すると、そこにはもう死神の絵はなくその部分だけポッカリと空白が空いていた。


(俺で真実を誤魔化したあかん。お前にはちゃんと受け入れやなあかんもんがある…)


絵を机に戻し、モッコリと膨れている布団にそっと手を置き撫でた


(でもまぁ、描いてくれてありがとうな。ここに描かれた俺の絵は消したけど俺の心にはちゃ〜〜んと残っとるで)


ニコッと微笑みながら、死神は手をどけ再び窓に近付き片足を窓の縁に乗せた。


(また、明日来るわ)











「……ッ死神さん!!!」


「ッグホガ!!!!」


流星が突然勢いよく抱きついてき、死神のケツにクリーンヒットをかました


「行かないで死神さん!!」


「ちょちょちょちょっ!?」


「行かないで!!」


「いやあのッ!!」


「お願い!!」


「お、落ちる!!落ちるから!!バランス今めっちゃ崩すか崩さんかの大変な所やから!!一回!一回離れて!?俺のケツから!!一回!離れて?!」


「そう言ってその隙にどこかに行っちゃうんでしょ?!」


「ホンマにちゃうから!!」


「信じられない!!」


「お前はめんどくさい彼女かなんかか?!ほんまに……足が!!腕が!!……あかん!!落ちるッ!」








ズルッ!!







「え?!うわっ!!」


死神は流星の愛(?)に耐えきれず、バランスを崩し、流星もろとも窓の外に体を投げ出した。













ちなみにここは、15階である。




まぁ、普通ならこんな高さから落ちたら死にます。

普通なら













「あのな?芸人のやめろやめろとか、押すな押すなは、やれ!押せ!って意味や…死神のやめろやめろ!押すな押すなは…辞めてくださいお願いします大変なことになるので。押さないでください危ないですって意味や…」


「…はい」


「俺が空を飛べるから良いものを…ほんまやったらあの世に真っ逆さまやで?」


「……はい」


おかしな話だけど、現在空中で死神さんにお説教されています。

死神さんは空中で正座しながら、僕は死神さんの愛用の鎌に跨っています。便利なことに鎌も自在に空中に浮かすことが出来るらしいです。


……以上です


「あんなにケツに泣きつかんでも朝になったらまた会えるのに」


「泣きついてないよ!!話ちょっともらないでくれる?!」


「でも心の中は雷ゴロゴロ雨ザーザーの大嵐やったで?」


「仮にそうであっても!!泣きついてない!!」


「そういうことにしといたるわ」


「なんかムカつく…」


「ところであんなに必死に俺のケツにしがみついてきたんはなんやったんや?」


「ケツケツって…全く。僕もよく分からない…よく分からないけど……けど、また何かが無くなっちゃうきがしたんだ…」


「何かってなんや?」


「思い出せない」


僕は足をプラプラと動かし気を落ち着かせた


「それで、何となく空中をプラプラ飛んでるわけやけどもう病室に戻るか」


「あ〜…それなんだけど、もうちょっと散歩しない?…とっても風が気持ちいいから、もう少し浴びてたい」


「…風邪ひいても俺のせいにすんなよ?」


「わかってるって」


「……今心の中で風邪ひいたら俺のせいにしようって考えたやろ」


「ちょっとした出来心だよ」


「うっっっわ!恐ろしい子…(ガクブル)」


「……。死神さんが少し羨ましいな…空も飛べるし、料理も出来るし…」


「空を飛べへんのは人類の進化を恨むんやな!料理は練習すれば誰だって作れるようになる。もしかしたら未来やったら人間に翼生えとるかもしれんけどな」


「そ、それはそれで気持ち悪いかな…」


「…俺もちょっときついわ、背筋ぞわっ!!」


「あ、そういえば死神さんに聞きたいことがあったんだ」


「?」


「死神さんって名前ないの?」


「ある…けど」


「けど?」


「人間には教えられへん決まりや。名前を教え合う…つまり1つの絆になる。絆になれば魂を狩るのに躊躇いが出てくる。狩る前に名前を呼ばれてみろ…あの世に送った後に過去を繰り返し思い出すやろな…馴れ合うのも絆を育むのも俺たちにとってはのちのち毒になる」


(…聞けないのか、残念。それに僕は結構死神さんと仲良くなっていた気がしたんだけど、死神さんはそう思ってないのかな…って魂取ろうとしてる奴を仲良し…なんておかしいよね)


「まぁ、お前が魂なってあの世についたら教えてやってもええけどな」


「でも教えるのは良くないんでしょ?」


「人間にはって言ったやろ?魂は…うーん、人間の一部やったものやからセーフや!今俺が決めた!」


「…適当だな、死神って」


「あぁ、適当や…。……そう、適当や」


死神さんは噛み締めるようにそう言った。


「……死神さん?」


「なぁ、もし…魂を取るターゲットを間違えて無関係の奴を……いや、やっぱええわ」


(……話を切った、何を言いかけてたんだろ)


「うぅ…なんか体がブルってきたわ、やっぱそろそろ帰ろっか」


「えぇ〜もう?今帰ったって眠れないんだけど、さっきまで寝てたわけだし」


「大丈夫寝れる寝れる!今まさに睡魔が来てるはずやで」


「そんなわ」


言いかけた時僕の視界がクラッとした。


「あ…れ…」


(おかしい、さっきまでなんともなかったのに…やばい体が言う事聞かない段々バランスが取れなくなってきた)


僕の体は傾き、跨っていた鎌から滑り落ちた。


その瞬間意識がプツンッとなくなった。




















(あれ…?朝?)

僕は病室で目が覚めた。


「あら?起こしちゃった?」


「ほらぁ…ママが寝顔を覗き込んだりしてたせいだぞ」


「だって〜…気持ちよさそうに寝てたから、つい…パパだって覗き込んでたじゃない〜」


「俺が覗き込んだ時は起きなかっただろ?」


「え〜〜」


(お父さんとお母さん仲がいいなぁ)


病室にいつのまにかお父さんとお母さんが来ていたらしい


(そういえば、死神さんがいない…二人がきたから気を使ってどこかに行っちゃったのかな?)


「そうだ、流星!朝来たら机に色鉛筆が転がってたんだけど、昨日何か描いてたの?ママに見せて!」


「お!それはパパも見たいなぁ〜どんな絵を描いたのかなぁ?」


(絵?あぁ、そういえば…昨日描いたんだっけ?確か…机の上に置いてたはずなんだけど…)


僕は手を動かすとカサッという音がした。


(あれ?僕手になんか持ってるの?)


布団から握ったまま手を引っこ抜くと昨日描いた絵だった。


(…ん?死神さんの絵が描かれてない…おかしいなぁ。昨日描いたはずだったんだけど夢だったのかな?空を飛んだのも夢?)


僕がその絵を見ながら考えていると、お母さんとお父さんがその絵をひょっこりと覗き込んだ。


「………。上手ね流星」


「本当に……。」


笑顔だった二人の顔が曇った。

二人は顔を見合わせる。


「なぁ、流星…流星とママの隣結構隙間が空いてるけど、何か描かないのか?」


「え……」


(死神さんを描いたんだけど、二人には見えないし黙ってた方がいいよね)


「うん、これでおしまい」


「そう……か」


再び顔を見合わせる。そして笑顔をニッコリと二人は浮かべた。


「この絵、ママとパパが貰ってもいい?」


「うん、いいよ」


「ありがとう、家に帰ったら額縁に飾らなくっちゃ!」


「おいおい…ママ」


(本当に大袈裟だよお母さん)


「額縁は買わなきゃもうないだろ?」


(お父さん?!そっち?!違う!!僕の求めてた言葉と違う!!)


「帰りに買って帰らなきゃねパ〜パ♡」


「そうだねマ〜マ♡」


「せやな♡イチャつくなやお前ら♡」


(突然の死神さん…!!)


「そうだわ!流星今度何食べたい?連絡してもなんでもいいって言うんだもぉ〜ん」


「なんでもいい」


「え〜〜またぁ?ママなんでも作るわよ?」


「俺食べたいのあるで?えっとなぁ…うどん、そうめん、パスタ…あ!麺からちゃんと作ってな?後、パンかな!食パンとかメロンパンとかカレーパンとか…あ!生地からちゃんと作ってな?」


(食事しないんじゃないの?死神って…しかも注文多い…)


「アハハ!なんでもいいって事はママの料理はなんでも美味しいって事だよ。な?流星」


「うん」


「え?本当に…やだ、もぉ〜照れるわ」


「え?そうなん?なんでも美味しいん?食べたことないから知らんわ…ってかなんでもいいってそういうことじゃないと思うけどなぁ…なんでもいいってほら、女に言ったらキレるっていうで?後…〇〇でいいよって言うのも女の地雷踏むから注意が必要やで!」


(…お母さん切れてないかな?)


「キレてないっすよ〜(ドヤァ)」


(…さようでございますか)


「そして、このお父さんはなかなかにやるな…女の地雷を自然と回避して行く…出来る男や」


(…さようでございますか)





今日はほぼ一日二人が病室にいた日だった。




ついでに死神さんも

著作者の他の作品

カラスの妄想を書くお部屋見ても引かないと約束のうえ、ご覧ください♡

🎃HAPPYHALLOWEEN1日だけの特別な時間ハロウィーン人間じゃなくても仲良く出来る