僕と死神さん

カラス コンパス枠
@konpasu2017

6話 好き嫌いと死神さん

「なぁ…」

「ん?」


「なんでお前…緑のそれとオレンジのそれ…それから赤い丸いのを避けて食ってんや?」


「………」







現在、病室で朝食中


緑のそれはピーマン、オレンジのそれは人参、赤い丸いのはトマトだ


(…いつもはそんなこと言ってこないくせに今日に限って口を挟んできた)



「別になんでもいいだろ?」


「………。」


「な、んだよ」


「食えよ」


「………」

(楽しい食事が一気に楽しくなくなる瞬間…嫌いなものを食えと言われた時)



「ほぉ…嫌いな食べ物…なぁ?」


「…死神さんにだって嫌いな食べ物あるでしょ」


「俺らは人間と構造がまず違う、食べ物を食べなくても生きていける。つまりは食事っていうのがないんや」


「…ふーん」


「まぁ、食うても体に害はないけどな」


「味は感じるの?」


「もちろんあるで、それは人間と変わらん」


「へぇ…食事をしてないから好きとか嫌いが分からないだけで食べたら死神でも嫌いな物出てくるかもしれないのかぁ」


「なんや…?死神への挑戦か?俺はお子ちゃまの流星くんと違って嫌いなもんなんてないと思うけどなぁ〜(ドヤドヤまるぅ〜★)」


「じゃあまずはこれ!人参!」


「色鮮やかで嫌いやないか…これのどこが嫌いなんや…わからん」


フォークで人参を突き刺し口に放り込む死神さん


「ん〜♪美味しいなぁ!柔らかくて食べやすい!ほんの少し甘みを感じる……モグモグモグ」


「人参は食べれるんだ…んじゃ、次はピーマン」


「……ッ!こ、これは…ちょっと苦いなぁ…でもこの苦さが…悪くない…シャキシャキとした食感がまたたまらんなぁ♪…モグモグモグモグ」


「んじゃ、最後はトマト」


「まるこぉくて…可愛い感じやなぁ……モグッ…!噛んだらプチッと飛び出す感じ…そしてこの青臭い感じがちょっと癖あるなぁ…でも自然とまた食べたくなるような感じ…モグモグモグモグ」


死神さんは口の中の物を飲み込むとこちらにいつものウザイドヤ顔をしてきた


「さぁ〜、俺のターンは終わりや!次は流星…お前の番やで…」


「ご馳走様でした」


「……はぁあああ?!ちょちょちょちょ、え?!なんでや!!」


「いや、なんでって言われても死神さんがぜぇんぶ綺麗に食べてくれたし、僕の食べるものはないよ」


「……お、お前…それを見込んで…お、俺にた、食べさせたんか?!」


「…今更気付いても遅いよ死神さん」


僕は勝ち誇った笑みを浮かべた

(とても気持ちがいい♪)


「ほぉ…死神をはめたこと後悔させてやる…待っとれよ♡」


死神さんは窓から飛び出して行ってしまった。


(…何だかすごい嫌な予感がする)

窓の鍵を閉めカーテンを閉じた



「…よし、僕は何も見てないし何も知らない死神なんていなk「待たせたなぁ!!」」


「え?!僕鍵しめたのに!!ってかはや!!」


「鍵なんざ俺ら死神は関係ないんや!!なんかよくわからん力で開けられんのやぁああ!!思い知ったか人間どもよォぉぉおおお!!」


いつもの麻袋を担いでいる…その中身はもう把握出来てる…緑とオレンジと赤の…怪物だ!!!


(そんなのに…勝てるわけがない…逃げるんだ!)


「まぁまぁまぁ!落ち着け、お互い余計な体力使うのは避けよやぁ…」


(やだぁああ!!死神というかどこかの怖い人だよぉおおおお!!)


「別に生で食えとは言わん…俺がちゃぁんと美味しく頂けるように工夫したろう…有難く思うんやでぇ?」


「別に有難くないよ!ピーマンも人参もトマトも食べたくない!」


「ちなみにナースには今日は親の飯を持ってくるからいらんと言ったから…俺の飯以外に食うもんはないで?」


「ど、どうやって…」


「テレレッテレ〜♪ろぉ〜くぅ〜お〜ん〜すぅ〜るぅ〜やぁ〜つぅ〜(裏声)」


「…い、いつのまに!!」


「前にお前の母親が言ってたのを録音…したんや!!(マジ顔のドヤァ!)そして病院に電話をし!それを流す…完璧な作戦や」


「……こ、怖」


「人間っていうのは隙だらけやわぁ〜全く…いつどこで敵がいるかなんて分からんのになぁ…やれやれ」


「死神が敵ならもうどうしようもないでしょ!」


「と、に、か、く!今日は俺が愛情たっっっっっっぷり!ぶち込んだ料理を食べてもらう」


「愛情をぶち込んだって言い方!食べる気がさらに失せる…」


「腹がすいてたらなんでも美味しいもんや♪まぁまぁ楽しみにしとき♪」


「…料理ってどこでするつもり?キッチンは人がいっぱいいるよね?物が浮いたぁ〜!ってなったら…」


「そんなもんそこら辺で」


「そ、こ、ら、へ、ん?!」



「んじゃまぁ、お前が食べる気になったら持って来たるわ♪食べる気がないならそれでいい、制限時間は今日まで…今日まで我慢出来たら食べやんでいい…以上や!」


窓から再び飛び出して行ってしまった死神さん


「……絶対に食べるもんか!」


僕は決意を固めた


ガラガラガラッ

扉が空いてナースさんが病室に入ってきた。


「流星くん、今日は他の子達と遊びながら少し体を動かそうか」


「あ、はい」












「体を動かすとお腹が減る…それが人間や」


死神はニヤリと笑った。
















ぐぅううううううう〜…!


現在夜、僕のお腹が大きくなる


昼は我慢することに成功、だけど運動をしたせいで…我慢できない


(…お腹すいて寝るに寝れない)


ぐぅううううううう〜…


死神さんは未だに戻ってこない、喋る相手もいない…時間がゆっくりに感じる…


そして、余計に空腹を感じる…


(〜〜〜っ!)


「もうダメ!死神さん、食べる!食べるから!」


「おう!待ってたで!」

窓からひょっこりと現れた死神さん。


窓から病室に入り扉を開け、いつのまにか廊下に設置していたワゴンを病室に引っ張り入れた。


鍋からスープをすくい取り、皿に入れテーブルへ


小さなフライパンからハンバーグらしきものを2つ取り出し、皿に乗せる。さらに目玉焼きとキャベツの千切りを同じお皿に乗せ…最後にタコさんウインナーを乗せてテーブルへ。


最後に少しトロトロとした飲み物と麦茶をコップに注いで2つともテーブルに置いた。


「よし、完璧や〜♪どや?美味しそうやろ?」


(…た、確かに見た目は普通)


唾をゴクリッと飲み込む


「…このスープって…トマトスープ…だよね」


スプーンでかき混ぜると色んな野菜やソーセージにベーコンが細かく切られて入っていた…グズグズになったトマトも切られて入っている


(……?人参とピーマンが見えない…ってなると…そこか!!)


フォークでハンバーグを割ると1つは人参が細かく刻まれ練り込まれている人参ハンバーグ

もう1つのハンバーグはピーマンが細かく刻まれ練り込まれているピーマンハンバーグ


(………楽しい食事が楽しくなくなる瞬間…大好きなものに大嫌いな物が入っていた時)


「お腹すいとるんやないんか?おかわりもしてくれてええねんで?」


「……お米ないの?」


「お米今渡したら絶対米で腹膨らませる気やろ?少し食べたら米やるわ」


「……鬼」


「鬼やなくて死神や」



ぐぅううううううう〜…


お腹の音がなる


(どの怪物を…倒すべきだろ?トマト?人参?ピーマン?)


僕は腹を括り、人参のハンバーグに勝負を挑んだ



僕の攻撃ターン!フォークで少し細かく切る!そして再び僕のターン!口に運ぶ

…そして噛んだら、相手のターンに即座に切り替わる



噛んだ瞬間…味という攻撃と食感という攻撃が来るのだ


僕は覚悟を決めてモグモグしてみた









………。









…………。










…………!!!!













「…お、美味しい」


僕は混乱した

悪しき怪物だと思っていた人参が…攻撃してこないではないか…むしろもっと噛め、もっと食べろと背中を押しているようだった


おかしい…僕の知っている人参ではいというわけか…


次に僕はピーマンのハンバーグに手を出した。

ピーマンは食べて欲しそうにこちらを見ている


僕は大きめに切り取ったピーマンハンバーグを口に放り込み、噛んだ…そして相手の出方を伺った…


あの苦いあれが…来るのかと…












だがしかし…!!あの苦味が来ないではありませんか!!僕はさらに混乱した!!このちょっとシャキシャキとした食感も…とても美味しいと思えた



「〜〜〜〜っ♪」


(……美味しい!!)


次はスープだ…もう僕に恐れなんてない…スープを啜った…







甘い…とても甘く感じる…優しい味だ…野菜達がとても柔らかく食べやすい…いくらでも飲み干してくれと言わんばかりだ…体が温まる…




ところでこのトロッとした飲み物はなんだ?僕は火照った体を冷ますために…飲んでみた






こ、これは…!!!










甘い…甘い…野菜ジュースだ!甘いけどもスッキリと飲みやすい…







「…盛り上がってるとこ悪いねんけど、現実にそろそろ戻ってきてやぁ!!どこぞの料理漫画的なもんになってきてるで!?」


「……あーー、うん」


「いやぁ〜こぉんなに喜んでくれるとは…思わんかったなぁ〜♪さすが俺やわァ〜なぁんでも虜にしてしまう…はぁあああ♡なんて罪な男なんやぁ〜」


「……」


「無視か!!あ、あーあ、あーーー!そんな無視する子にはこの白きホカホカの米はやれんなぁ〜」


「ソウダネ、罪ナ死神ナンジャナイ?」


「すげぇ…棒読み…かつてこんなに棒読みなことがあったやろか…」


そう言いながら米をよそい渡してくれる死神さん


(ご飯と合わせるとさらに美味しい……)



「…おかわり」


カラになったスープ皿を死神さんに向けて渡すと、死神さんは手早くよそって机に戻した。




(…死神には食事がないって言ってたのに、どうしてこんなに美味しいんだろ?これも人の最後のお願いだったりしたのかな)
















「ふぅ…ご馳走様でした」


「ようけ食ったなぁ…それほどに美味かったんか?」


「べ、別に!お腹が空いてただけだよ!」


「ふぅうううううん!まぁ、そういうことにしといたるわ(笑)」


そう言いながら死神さんは片付けを始めた。


「なぁ…流星くん、他にも好き嫌いきっとあるんやろ?親になんとも言われんかったんか?」


「あ〜、言われたよ?いつもトマトとか残そうとしたら、ちゃんと食べなきゃ大きくなれないわよって…でもその度に…」












(………その度に??その度に…なんだっけ??)




「……えっと、」




「………」



「えっと…えぇっと…なんだっけ」




「……。とにかく、美味しく食べれたのは確かやろ?」


モヤモヤとする僕とは違って死神さんは愉快そうにニヤニヤと笑っている


「まぁ、この野菜が苦手やから食べないって言うのは勿体ないで!料理しだいでは食べれるようになるんやしチャレンジしてみるのもありやでぇ〜?食事の文化がない死神が申しておりますが…グフフフフwww」


「…食べてみる…か、そうだね…」


「んじゃ、寝る前に歯は磨くんやで〜俺は片付けに忙しいからな…会うのはまた明日の朝や」


「……そっか」


「なんや?寂しいんか」


「ち、違うよ!」


「…素直やないなぁ〜、まぁええわ…美味しいもん食ったし今日は良い夢見れるといいなぁ」


ケタケタと笑いながら病室から出てしまった。







「……はぁ」







(また、食べたいなぁ…)
























………屋上にて




「い〜つの〜こと〜だか〜♪お、も、い、だしてごぉ〜らぁん〜♪あんなこと〜こんなこと〜♪あ〜ったぁ〜んやで〜♪」


(屋上でゴロリ寝転んで星空を眺めて…って言ってもあんま星見えやんけど…まぁ、気持ちええわな……)


「……あ!!デカイほっ!………」


(星やなくて飛行機やないかぁ〜い)


「あぁ〜…テンション下がるわァ…」



(…しかも1人の空間壊されたし…さらにテンション下がるわァ)



「…なんや?俺のやり方にケチつける気か?死神の仕事はちゃんとやっとるやろ…難癖つけられる理由ないな…



…………。



ふん、執着してるつもりは無い…ただの暇つぶしや…プライベートまでやいのやいの言うきか?…ったく俺のオカンよりうるさいわぁ…ホンマに。俺は自由気ままな死神や…あんただってよく分かってるやろ?これからもそれは変わらん…俺はやりたいようにする。それだけや



…………。




要件はそれだけか?ならさっさと家に帰れ…ここは俺の縄張りや、そんなに暇やったら俺の弾丸トークに付きおうてや……なぁ?…………ってあれ?もうおらんなってるわ……やれやれ





















めんっっっっどくさ」



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