愛してるから離さないで

星空いのり
@hoshizora_BL

Life,3 後ろ姿




「そ……だけど……?」

黒河夜弥。

は、俺の発言に対してまるまると目を見開いた。

何だか驚いているようだった。


「や、えっとお前俺の隣の席なんだけど……知ってた?」


ははっと苦笑いしながら問う。


「え、そうなの?それは知らなかった。俺、長らく教室行ってないし。」


何だか顔が暗くなった気がした。少しだけ不穏の空気が漂う。

やべぇな墓穴ほったか?


「まぁ別にずっと行く気もサラサラないからいいけどね。あんた、俺の事今少し心配したでしょ?」


「してねぇよ。」


「した。」


「してねぇ!!」


グチグチと言葉を投げあっていたら何だか笑いがこみあげてきた。


「ふっ……」


「は?あんた何笑って……」


怪訝そうな顔をして俺の顔色を伺ってきた。




距離が縮まる。




心臓の音まで聞こえてしまいそうな距離。熱い吐息がかかる。


俺は今顔が真っ赤なはずだ。


そんなことを考えていたら夜弥の手が俺の顔に差し出される。


ゆっくりゆっくりと時間を確かめるようにじわじわと傷を傷めていくように。


「真中、」


苗字を呼ばれてさらに顔が熱くなる。これ、熱だと勘違いされればいいのに。そんなことをふと考えた。


「お前熱あるのか?」


案の定俺のおでこにその冷え切った生きている感覚のないような、細い腕と手で…


でも何だか居心地が良くてあたたかい。そんな気持ちがした。


そのまま俺はどうしたんだろ___


目を、閉じ……た……














_______


はっ!!!として起きたのは放課後の帰りのチャイムがなった時だった。


俺は頭が寝ぼけていて直ぐにその状況を理解できなかった。


周りをキョロキョロと見てみると辺りには誰もいない。俺の体にタオルが置いてあるくらいだった。


夜弥がかけてくれたのか?

そんなことを考えた。あいつ意外と律儀なんだな。


そんな無神経なことを考えてしまう。相手の気持ちをいつも考えている俺にしては珍しい。


「くっ、あぁ~!もう俺帰ってからも寝よ!!」


2度寝どころか俺は今日何度寝するんだ。

馬鹿らしいことを思いながら立ち上がりフェンス越しのグラウンドを覗く。


と、そこには夜弥の後ろ姿があった。


「あいつ帰るの遅!今から走れば間に合うか!」


直ぐに屋上の扉を開けて自分の教室まで駆け込み玄関まで向かった。


「はぁっはぁ……」


あれ?居ないな。と声を漏らす。

俺の50メートル走の6,2秒を超えれるわけのない夜弥がこんな早くいなくなるとは。


まぁまだ近くにいると思います俺は、家の通り道である繁華街まで向かった。