愛してるから離さないで
星空いのり
@hoshizora_BL
Life,1 出会いと予感
「真…中…」
その言葉____
それだけで切り裂くように不穏な空気が流れた。
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「りょーや!おはよ!」
突如俺の視界にわりいって入ってきた人物_音寧鳴呼は俺の顔をのぞき込み、満面の笑みで朝の挨拶を交わしてきた。
「ん、おはよ。」と、俺はその被った面を外さないように作られた笑顔で微笑み返す。別にこいつには本音で話してもいいところなんだけど…と考え込むがもしもの場合というものがある。そう考えれば中々親しい人物でも言えないことだってあるだろう。
「うわ、出たよお得意様の皮かぶった猫。」
呆れたように苦笑いしながら俺の机に腕を組みそのままぐいっと食い入る様に近づいてくる。
「えっ、何鳴呼お前俺の本性でも知ってんの?」
あららーと内心思いながらさっき考えてたことがパーになったなと思い鳴呼を見つめる。
「何年の仲だよ。流石に俺だって分かるよ。」
別に自慢することでもないけどーと苦笑しながら話題を変えようと話をもってきた。
「黒河今日も休みなの?お前入学当時からずっとお隣さん居ないよな、くっ…笑える」
「は?別に俺は女の子だけいれば十分なんだけど。あ、お前は俺の友だから一応俺がハーレムになっても少しぐらいは構ってやるぞ?」
ニヤリと笑い鳴呼を下に見る。
「いや、ワンチャン女の子かも知れないぞ?」
「んー、女の子だったとしても根暗な女の子を無理かな〜…俺は付き合い良くて可愛い子が好きだから。」
「お前サイテー」
ふと笑いがこみ上げた。挑発的にそんなジョークを言ってみたり、毎朝他愛のない話をしたりして、俺は今日までは平穏な日々を過ごしていた。
そう"今日までは"
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「ねぇねぇ涼夜くん!今日一緒にお昼ご飯食べない?」
「あっずるい!私も一緒に食べていいかなぁー?」
4時間目が終わり昼飯のタイムになりいつも道理に女子達が群がってくる。まぁ俺の好みの子なんて居ないんだけど。最近遊んでいた女の子も所詮は彼氏持ちだったりセフレがいたり、そんな人ばかりだった。だから俺はただの遊び人として遊ばれてるだけ…どちらも本気の恋愛なんて望んでないんだ。
「んー、今日は鳴呼と食べる約束してるからなぁ…ごめんね!また今度一緒に食べよ」
両手を顔の前で合わせて懺悔のポーズ。遊び人同士時々の関係で俺はいいと思う。だから今回は断らせてもらった。ただそれだけで許される関係は俺には1番似合っている。
俺は彼女達が「了解」「じゃあ明日食べようねぇ」等と言葉を残しながら歩いていく姿を目で送り教室を出た。
本当は、鳴呼は今日委員会でお昼ご飯は委員会の人と食べる約束をしていた。まぁ俺はいわゆるボッチみたいな。ボッチでも俺は別に良いんだけどねーだって女の子と鳴呼冴えいれば俺他の奴らどうだっていいし。そんな事を考え購買へ向かった。
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購買に行くとやっぱりパンの争奪戦。俺ははぁと深い溜息をつき、その中に飛び込もうとした。
が、
止められた。
チラッと手首を見てみる。きれいなが細い指が俺の腕をしっかりと掴んでいる。誰だ?と思って上を向いた。
あ、
「御影じゃん!」
俺のよく知る幼なじみの九条御影だった。
こいつは、深緑色の髪にアクアマリンのような綺麗な色の瞳、それからとにかく目立つピンク色のセーター。最後に軽音部のボーカルのリーダーとて付け足しておこう。
「御影じゃん!じゃねぇよ。お前あの中に焼きそばパン求めて突っ込むつもりだったのか?」
俺は当たり前のように首をかしげた。
「当たり前じゃん。じゃなきゃ俺の昼飯なくなっちまうんだけど?」
こいつ何言ってんだ?俺を餓死させて死なせたいのか?悶々と浮かぶ疑問と葛藤しながら眉間に皺を寄せる。
「ま、お前のことだからそうだと思った。」
「は?さっきからお前何1人でブツブツ言ってんだ?」
深い溜息を吐きながら苦虫を噛み潰したように顔を顰めて俺に言った。
「焼きそばパンばっか食ってると栄養管理ができなくなっちまうってことだよ。だから俺が止めたんだ。」
そうすると俺に黒と白のストライプ柄の袋を寄せてきた。もしかしてこれ…
「弁当か??」まさか作ってくるとは、なかなか良い奴じゃないか。いや、俺の幼なじみだから当たり前に良い奴なんだけどさ。
「まあ、そんなところだ。」
目を伏せながら俺に行ってくるその姿はやっぱり御影らしいも思いその弁当を受け取った。
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タンタンと階段を軽く駆け抜ける音が階段に響く。先程貰った御影の特製弁当をせっかくなら1人で屋上で食べたいも思った俺は急いで階段をかけのぼる。
すると俺の手からスルッと弁当が落ちた。
カシャンと俺しか居ない階段に音が漫勉にひびきわたる。
「うわっ最悪。なんか不吉だな〜…中崩れてないと良いんだけどな。」
よっとと声に出して弁当を拾う。
多分、
その時から運命は回っていて。
別に引き戻すことだってできたんだ。
でも、俺が決めてしまったことは
きっと
君と出会うための
きっかけだったから
その先に進んでしまったのは______
"「後悔するよ」"