カラス コンパス枠
@konpasu2017

おや?君はついてきてくれるのかい?

そうかそうか…ありがとう

では、行こうか


私…私なんて言っているが男性だ。歳は44…もう少しで45だったね。見たままだろ?毎日毎日疲れ切った顔をしたただのおじさんだ


私には1人子供がいたんだ。つまり妻もいたさ、妻はとても美人で私には勿体なかったよ…子供は元気な男の子さ


…………。


え?あ、あぁ大丈夫…大丈夫だよ


私はというとただのサラリーマンさ、事務仕事も営業も行っていてね…営業は、まぁ新人の付き添いって所だ。


この会社に入った時は私は25の時だった。つまりは19年世話になったわけだ。


子供が生まれたのは私が24の時、君からしたら24は、早いかい?遅いかい?


妻とは高校生の時に知り合ったんだ。同じ学校でね

卒業式の時にもう当たって砕けろって気持ちで告白したら、妻は昔から私の事が好きだったらしく泣いて喜んだ。


こんな事ならもっと早く告白をしておけば良かったと少し後悔したかな…それよりも嬉しいの方が何倍も上だったが


…え?惚気を聞かせたいのかって?それなら帰る?いやいや、少し待ってくれ!惚気けるのはこれでおしまいだ!

……いや、本当に!


大学はお互い違う学校だったんだ。妻にはしたいことがあったからね。妻は私より頭が良い…私には行けない場所だったさ、

それに私には妻のようにやりたい事はまだ見つけられなかった。

大学もなんだかんだあっという間に卒業式…妻はやりたかった仕事に就職、私はというとフリーターさ


フリーターをしながらやりたいことを見つけようと思った。私は実家暮らしなもんで、金が無くなるのは遊びに行く時ぐらいさ

だから金は少しずつではあるけど、溜まって行った。


妻は一人暮らしを始めていてね。私よりも立派だよ…。


そして、24…子供が出来た。

私は、【父親】になったんだ。突然芽生えた燃えるような思い…あぁ、忘れもしないさ。子供や妻を守ってやらねばと思った。


私は就職した。


家は二人暮しには広く感じたけども、3人ならちょうどいい大きさだった。いつか、三人で大きな家に住みたいなんて勝手に夢を持ちながら…


………。


それから妻は、育児休暇をとった。

その後も仕事は続けると言い張った。それもそうだ…私の給料は妻に比べるとまだまだ安いからな…頼りにされないのは当たり前だ


赤ん坊の頃は妻の親が家に来て、妻と一緒に面倒を見てくれた

育児休暇が終わった後も妻の親が子供の面倒を見てくれてすごく助かった。


3歳になった時は子供を保育園に預けた。他の子供とも遊ばせてあげたかったというのもある。


迎えはどちらか早く終わった方が迎えに行く。迎えに行ったら必ず連絡をする事、これが私たちの決まりさ

二人とも同じ時間帯に仕事を終えたなら家族揃って外食なんてこともあったな


…それでも、子供には寂しい思いをさせていると分かっていた。二人とも迎えが遅くなった時もあったからな…



………………。


……はぁ




子供が小学一年生になる頃、私は安定した収入を得ることが出来た。だから、妻に今の仕事を辞めて子供といる時間を増やさないか?と提案したんだ…


まぁそれで喧嘩になったわけだが…

妻は私と違ってやりたいことを見つけている…私は、妻の夢を潰そうとしているんだ。でも、妻は妻で子供が寂しい思いをしているのはわかっていた…


しばらく口喧嘩した後、妻は自分の夢を諦めた。

つまり仕事をやめたわけだ


子供の事を思ったとはいえ、妻には罪悪感しかなかった。私は妻に謝った…妻は「いいのよ、私の夢は何歳になっても叶えようと思えれば叶えられるわ、今じゃなくていい。それだけよ。私も…子供が寂しそうにしているの…分かっていたもの、ありがとうあなた」



…………。







あぁ、すまない少し思い出して涙が…少し待ってくれ…





…………。







ふぅ…もう大丈夫だ…ん?気にしてくれてるのかい?ありがとう…


それで、どこまで話したかな…あぁ、そうだ……



……………………。







……………。







……。






はぁ……

楽しかった日々は突然終わるもんだ。本当に突然


あれは、子供が小学3年生の時だ。


……あぁ、忘れもしないさ。

私は会社にちょうど出勤した所で、妻から電話がかかってきた。




「…トラックが、突っ込んだの集団登校中に、突っ込んだの」




集団登校をしていた子供の列にトラックが突っ込んだんだ。

沢山の子供をコンクリートの壁に押しつぶしたそうだ。


私は会社を飛び出した後タクシーを捕まえてその場所まですっ飛んだ。お金を投げるように渡した。




泣き叫び崩れる夫婦たち、唖然として動かない男性、自分の名前を叫ぶ女性、大怪我した子供の鳴き声も聞こえた。痛い痛いと叫んでた…ママ…ママ!…って

それと救急車パトカー数体…真っ赤な地面


私も頭が真っ白になった。妻が何度も私の名前を呼んでいたらしいが覚えていない。


…………。


私たちの子供は…ちょうどトラックが突っ込んだ場所にいた。

即死だった…体はグチョグチョで本当に私たちの子供なのか分からないぐらいだった…


本当は学校をサボってどこかであそんでるんじゃないか?

そんな事も思った…私と妻は現実逃避するしか無かった。


いいや、分かっていたさ私も妻も…あの子の…私たちの子供の体だってことぐらい。間違いなく…あの子だ。


その日を境に妻は変わった。何を考えているのかわからなくなった。


子供の葬式もしっかり終えた。妻はぼーっとしたままだったが…


家の周りではマスコミがうじゃうじゃと戯れていた。滅多にかかってこない家の電話もうるさくなった。だからコンセントを引き抜いた。



私はそれでも仕事があるため、外に出ると小バエのようにマスコミが群がって来た。カメラやらマイクやらを向けられた。「大変お悔やみ申し上げます」なんて…お悔やみ申し上げるなら、そっとしておいて欲しかった。「犯人に一言!」

……もちろん私の子供を返して欲しい!声を荒らげたかった。

お前のせいで私と妻の子供が死んだんだ!!怒鳴り散らしたかった。マイクに向かってカメラに向かって


子供を殺したお前が死ねばいいと…なんでお前は生きてんだ?死刑になれば良かったのに、何故お前は生きてるんだよ


……あの時言えれば少しは気が晴れたのかもしれんな



………。


私は何も言わずにマスコミから逃げるように立ち去った。


そんなのが何ヶ月続いただろうな…もう覚えていないよ





マスコミが完全にいなくなった頃…


妻は少しずつではあるが、元の妻に戻ってきてくれた。だが、随分と寂しがり屋になり、私が会社に行こうとすると早く帰って来てと何回も何回も言うようになった。


無理もない…そう思いながらいつも会社に行った…本当なら私も一緒に居たかった


ある日、残業で遅くなった時があった。

部屋が真っ暗の中妻は1人泣いていた。目を真っ赤にさせて私を見ると、妻は未だそのままに残してある子供部屋に行き、鍵を閉め引きこもってしまった。


すまないと扉越しに謝ったが…開けてくれることはなかった。


はぁ………私はどうすれば良かったんだろうな…その日を境に、妻とは…心の距離がどんどん開いていってしまった。





……………。

もう、半分とここまで歩いたか、おじさんの独り言に付き合わせてすまない。

ただ、もう少しだけ私の話を聞いて欲しい。誰かに聞いてもらわないと、自分が壊れてしまいそうなんだ。



ある日から何だか妻は突然昔のように元気になった。何かいい事でもあったのか?なんて聞くと「別になんでもないわ」なんて言った。

何だか、久々にまともな会話をしたような気がした。


なにがあったかは分からないけど、妻を元気にしてくれて感謝をしたさ


肌の手入れをするようにもなった。服もカバンも化粧道具も買っていたな…


それを見る度に…私の中で妻に疑惑を持ち始めた。


今日は仕事が早く終わったもんで、妻をどこか高級なレストランにでも連れていこうと思った。ウキウキしながら帰っていると、偶然妻を見かけたんだ。


何となく…そう、何となく妻のあとを追いかけた。


妻は居酒屋の中に入って行ったんだ。


中に入って脅かしてもよかった。でも、もしもと思うと…私の足は震えて動かなかった。


……。


妻は日が暮れる頃外に出てきた。私は慌てて隠れた。


居酒屋の店主が妻を外までお見送りしている。妻はとても笑顔だった


そして、二人は抱きしめ合い熱いキスをしたんだ。


私の【もしも】は当たっていた。





浮気だ。








その後、家に帰り妻を問い詰めた。「寂しかったの」…なんて、そんなの知っている。妻が寂しいなんて知っている…知っていたが私は耐えられなかった。


翌日、離婚届けにサインを書き指輪と合鍵を机に置き荷物をまとめて出ていった。

いくつか子供が描いてくれた私の絵と玩具、写真を持ってきた。


このぐらいは許されるだろう……。


君はそう思うかい?それとも…何も持ち出さずにあのままの場所にあった方が良かったのか…



………………。


今は…妻を許したのか許していないのか…複雑な気分だよ。私が悪かったのか…



あれ以来、子供の事もあり妻の事もあり…私の精神は崩壊して行った。


仕事にも精が出なくなって、どんどん、どんどん…私の成績は下がって行ったんだ。



そして、私は仕事を辞めさせられてしまったんだ。…リストラって奴だよ


43でリストラなんて…本当に笑えてしまうよ。もう少しで44っていうのにな


私はあいにく1人だったもんで、自分が生活できればそれで良かったからね。特に何も思わずに辞めたさ


貯金なら山ほどあったからさ、まぁしばらくは長い休みに入るってことだけさそんな軽い気持ちだった


なんだろな…全てから解放された気分だった。


解放されて飲む酒は美味かった。天にも登るような気分だった。




……そんな毎日を送っていたら金がついに尽きた。


44…45になる前…






部屋で首を吊ったんだ。




……………………。


酒のせいか…とても心地よかった



…………………………。






…………………。






………ん?後悔はしたかって?



………………。


どうだろな…後悔…したのかもしれないな…でも、やっと楽になれたって思う方が上だったのかもしれない。



…私の大切なたった1人の子供にもやっと会えるかもしれないからな。


もしかしたら、自殺なんてして情けないって怒って泣いてるかもしれんが


…………………。




さて、長々とおじさんの長話に付き合ってくれてありがとう。


もうそろそろさっきの場所に着く。

最後は笑顔で見送ってくれ

おじさんの最後のお願いだ。




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