すくーるでいず!

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@solabell9601

HR:朝礼

「わーっ!!いそげいそげー!!」


どこか西洋の空気を感じさせる明るい色のレンガ道を疾走する赤い靴。

エナメルが朝日にきらりと光るように磨きあげられたそれを軽快に——というよりは急ぎすぎて時々転びそうになりながら、少女は走っていた。


「ちこく!すると!ヴォルカにおこられるー!!」


走りながら喋っていては舌をかみそうなのだが、そんなことは気にせずに風をきって走る。


「あ!」


少女の瞳に、朝日を反射する金色がうつる。


「ベルーっ!!」

「わぁっ!?なに!?あっヨルか!」


後ろから思いきり飛びつくヨルに、びっくりしつつもいつもの事で慣れている様子で受け止めるベル。


「おはよぉー!」

「おはよ〜、ヨルいくら呼んでも出てこないしヴォルカくんが先行ってくれって言うから置いてきちゃったけど…間に合ってよかったね」

「うん!なんかねー、いちごみるくに溺れる夢見てねー、でもねー美味しくてすごいしあわせだった!!」

「いや…溺れてるのに?いいのそれ?」

「いーの!」


ふふん、と胸を張っているヨルだが、そこは自慢げにするようなところではない…と心で思いつつ満面の笑みを向けるヨルを撫でるベル。


「ふふーん、きょうはあたし、ごきげんだからゆるしてあげる!」

「ありがと〜」


2人にとってはいつも通りのやり取りをしていると、校門が見えてくる。

初等部、中等部、高等部、大学、大学院が連なる2人の通う学園は、いわゆる学生がとても多いマンモス校である。

それら全ての学生が朝この正門からのみ通学してくるわけであるから、この正門がとてつもなくでかい。

黒く塗られた鉄格子は生徒を迎えるために開けられ、そこを友人や先生に挨拶しながら通り抜けていく生徒達。


「あ!ゆーにぃいるよベルー!」

「そっか、今日身だしなみ検査の日だ」


そう気づいて、念の為自分の服装を確認するベル。スカートは少しばかり短くしているが、怒られないであろうギリギリを攻めているのでOK。

リボンも大丈夫、アクセサリーもつけてない。

そう確認しながら歩いて、ふと、ヨルの方を見る。


「……ヨルさん?」

「なんでございますかしら、ベルさん?」


……別に貴族ごっこではないのだが、ノってきたヨルの肩を掴んで正門に背を向けてヨルを隠す。


「なになに?」

「多分そのセーター今日はおこられる。私もいつもしてるけど!昨日セーターの重ね着がどうの〜ってゆーにぃ家でブツブツ言ってた」

「え〜…あったかいのにねー?」

「ゆーにぃはスカートの寒さがわかんないのよ」


そう言って首を横に振ると、渋々ヨルがセーターを脱ぐ。まあ、桜色のそのセーターの下に規定の制服のブラウンのセーターを着込んでいるのだが。


「あとリボンもちょっとだけ曲がってる…はい、これでよし!」

「よーし!!」


別に制服が多少規定と違っていてもそんなに怒られることはないのだが—————ベルが恐れるのは兄であるユーヴェンスの帰宅してからの長ったらしいお説教である。


「ゆーにぃおはよー!!」

「ゆーにぃじゃない、ユーヴェンス先生、だ」


しょうがねぇなぁとため息を着きながらヨルの挨拶のハイタッチを受けるユーヴェンス。

ヨルとベルは幼なじみなので、ベルの兄ユーヴェンスもヨルにとっては兄のようなものである。


「おはようございま〜す、どう?今日は完璧でしょ?」

「あたしたちゆーとーせーだから!!」


くるりとその場でターンしてドヤ顔でユーヴェンスを見るベル。

ヨルも真似してくるりと回る。


「……指摘してやろーと思ったけどまあ、妥協点だな」

「はなまるでしょ〜」

「あたしもはなまるー!!」

「はいはい、はなまるなーはなまる。そんなことしてっと朝礼間に合わねーぞ」


はいはい、行った行ったとばかりに手をひらひらさせているユーヴェンスの言葉に、2人ははっとして周りを見渡す。

結構な数いた生徒達がまばらになり始めている。

まだチャイムは鳴っていないが、

————キーンコーンカーンコーン。

…と思っていたら朝礼を告げるチャイムが鳴り響く。

周りの中・高等部の生徒たちもばたばたと慌てた様子で教室へ向かう。


『いそげーっ!!』

「走って転ぶなよ〜」

『はーいっ!』

「じゃーねヨル、またあとで」

「うん!ばいばーい!」


2人は軽いハイタッチで挨拶を済ますと、それぞれの校舎へ駆けていった。



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