Fate/Recapture(二次創作)

夢夢夢
@eringi192514

Fate/Recapture ‬Day Ⅰ-7-

北神グループ 2階 会議室前廊下


詩乃が会議室を出ると、霊体化を解いたアーチャーが会議室前で待機していた。



「…待っててくれたんだね。ありがとうアーチャー。」



「……当然です。私は貴女のサーヴァントですから。」



なんとなく営業スマイルのようにアーチャーはにこりと微笑む。



「それより、足の具合は大丈夫ですか?止血は済ませてあるはずですが……。」


「あぁ、それならね。会議の時にキャスターのマスターさん…保坂さんが医務室に来るように言われて…。今から行くところなの。」


かすり傷とはいえ、これからの戦いに備えてしっかり傷を癒すべきだと念を押されたのだ。


「そういう事でしたか。では私も同行いたします。……痛みは?」


「大丈夫だよ。歩くくらいなら、支障はないかな。」


その場を軽く足踏みしながら答え、アーチャーと詩乃は医務室へ向かった。





北神グループ 2階 医務室


第2応接室と書かれた看板の上に手書きで「医務室」と書かれていた。


おそらく即席の医務室を用意したのだろう。


詩乃は医務室の扉を叩こうとすると、中から怒号が聞こえてきた。



「あぁ全く!こんなに机を散らかして!それでも我が同盟者ですか!!」



「ごっ、ごめんよ…!急な招集だったから放っといちゃって…。」


どうやら怒られている方の声は保坂のようだ。


「……。」「……。」


2人はしばしば扉の前に立ちつくした。


「……。失礼を申しあげるようですがマスター、その保坂と言われる人物はかなり……。」


「……何も言わないだげて、いい人だよ……たぶん。」


と、溜息をつきつつ、今度こそ医務室に入ろうとすると、



「ええい!もう我慢なりません!罰を与えます!!出ませい!!!」



「え!き、キャスター!ここであれを出されると困っ……!」



ドタドタドタっ!!!!ガシャガシャ!!!


中から何かが落ちてくる音が聞こえる。


詩乃は慌てて医務室を開けた。



「保坂さん大丈夫ですか?!」


医務室に入るや詩乃たちの目に飛び込んできたのは褐色肌の特徴的な髪型をした女性。見渡す限りの白くてもそもそと動く物体たち。


白い布をかぶって足だけを出した物体がわさわさと医務室を埋めつくしていた。


そして当の保坂は


「むぐっ!むぐむぐー!!!」


白い布をかぶった物体に生き埋めにされていた。


「はぁ、もう!これで少しは身の回りに気を遣う気に…おや?」


褐色肌の女性が詩乃たちの存在に気づきこちらに歩み寄る。


「えっと…保坂さんに医務室に来るように言われてきたのですが……?あなたは…?」


「同盟者の…?まさか、怪我人の方ですか?これはまた、見苦しい姿をお見せしました…。」


そしてコンと女性が右手に持つ杖を鳴らすと小さな異空間が現れ、白い布をかぶったものはぞろぞろと異空間へ帰っていた。


そして保坂を杖で小突き、


「こら、何をぼさっとしているのです!客人をそのような姿で迎えるなど不敬ですよ!」


と言い放った。



「ご、ごめんキャスター。それに、詩乃ちゃんも、かっこ悪いとこ見せちゃってごめんね。」


よいしょと保坂は起き上がり、詩乃に笑いかける。


「い、いえ。お気になさらないでください!」


「いやいや。僕、どうも不器用でね。片付けでいつもキャスターに怒られるのさ。」


と、笑うと、保坂はアーチャーの方に視線を向ける。


「君は…詩乃ちゃんのサーヴァントかい?」



「…はい。クラスはアーチャー。以後お見知り置きを、」



「そうか、じゃあ改めて、僕は保坂晶だよ。こっちはキャスター。」



保坂はキャスターの方に目を向けた。



「お初にお目にかかります。私はキャスター。ここにいる保坂晶のサーヴァント……いや、同盟者として、此処に君臨致しました。」



キャスターはコンっと杖を軽快に鳴らしピンとした姿勢をとる。


頭についているうさぎの耳のような装飾がピコピコと動いていた。



「さて、挨拶も済んだし、詩乃ちゃん。こっちおいで、足の治療をしようか。」



「では、私は霊体化しておりますので、御用があればなんなりと。マスター。」



「うん。送ってくれてありがとうアーチャー。」




アーチャーは詩乃に軽く会釈すると霊体化し、部屋を去って行った。



~~~




詩乃は保坂に促されるようにベットに腰掛ける。



「傷口は…割とふさがってるみたいだね。でも一応消毒しておこうか。」



保坂は慣れた手つきで詩乃の負傷した足を手当する。



「……手慣れているんですね。」



「あぁ、僕は医者を目指していて、今医学部の学院生でね。恭介くんに任されて医務室の管理を任されたのさ。」


「えぇ!医大にいってるんですか?」


「ははっ。まだまだ未熟者だよ。」


保坂は包帯を巻きながら笑って話す。しかし彼から放たれる言葉の節には、悲しさが混じっていた。


そして彼から直ぐに笑顔が消える。



「……此処に来るまで、キャスターと一緒に逃げてきたんだけど、君は道中人の死体を見たかい?」



「……はい。」



確かに詩乃は此処に来るまで、凄まじい経験をしてきた上に、目の前で人が動かなく瞬間も目の当たりにしている。



普通ならばトラウマになる程だろう。



詩乃はその光景を思い出し、なにか軽く上ずってくる感覚を覚えた。



「あぁ、気分を害したのならごめんよ。…そうか、見てきたんだね、僕もさ。


銃で撃ち抜かれた死体や、目も当てられないくらいぐちゃぐちゃにされたものもあった。


…悔しかった。もしかしたら救えたかもしれないのにって…。」



「……優しいんですね。保坂さん。」



「優しい……のかな。恭介くんやキャスターにはお人好しがすぎるって怒られちゃうんだけど…。


あぁ呼び方だけど、晶でいいよ。これから君とも仲間なんだから。」



保坂は詩乃に目を合わせにこやかに答える。



「はい。わかりました、晶さん。」



詩乃は保坂の物腰の柔らかさに安堵して彼の名前を呼ぶ。



「さ、治療おしまい!

明日から忙しくなるだろうけど、あまり無理しちゃいけないよ?ひとまず今日はゆっくり休むんだ。」



保坂は立ち上がって詩乃の頭を優しく撫でた。




「はい。ありがとうございます!では、失礼しますね。」




詩乃はぺこりと頭を下げると、医務室を去っていった。




……To be continued