Fate/Recapture(二次創作)

夢夢夢
@eringi192514

Fate/Recapture-Day Ⅰ -1-

浅葱詩乃は、決して不幸ではない。



姉が亡くなってはや数年。初めこそ落ち込みはしたものの、頼もしい友人や兄に恵まれ、今ではすっかり女子高生としての日常を謳歌している。


私は何より、この日常を愛しているのだ。



両親も姉も、死んでしまった事実を「日常」にするのは、些かやるせない気持ちになる。だけど私は生きたい。



___両親も姉も、きっとそれを望んでいるはずだ。


西暦2014年12月25日。冷たい風がほほを刺すこの季節。東京はクリスマス真っ盛りで、街はイルミネーションや華やかな飾りで彩られている。


時刻は午後7時。私はふと、電車の中で目が覚める。電車はゆらゆらと次の駅を目指し進んでいる。


「(春大の練習で随分遅くなっちゃった。)」

私は心の中でそうぼやく。春の演劇大会に備え、私の通う高校の演劇部は今練習真っ盛りだ。


汗がしみたジャージを詰めたリュックを抱え、スマートフォンの画面をぼんやり見つめながら私は次の駅を待つ。幸い、乗り過ごしてはいないようだ。


家に帰っても、兄はしばらくイギリスのロンドンに用事があるらしく、年始まで帰ってこない。


期間限定の一人暮らしだ。


「まもなく、新宿ー。新宿ー。」

電車の車内アナウンスが鳴る。私の最寄り駅だ。


電車の減速するのを感じながら席を立ち、リュックを背負ってドアの前に向かう。


スマホの画面を確認すると、見覚えのないアドレスからメッセージがあった。文面にはただこう書かれている。



「アナタは生きたいですか?」



文面の下には、「YES」「NO」のボタンが表示されている。


_意味のわからない迷惑メールだ…。


私は画面を閉じ、ポケットにしまった瞬間____。




ガシャァァンッ!







遠くから窓ガラスが割れる音と、電車の照明が消える音がした。


「___!?何なに!何事?」


「い、いやぁ!怖い!!」


「誰か電車に向かって石でも投げたの!?」



私と同じ車両に乗っていた乗客はまさに大混乱だった。すると、突然隣の車両から息を切らした男がなだれ込んできた。



「はぁ…はぁ…な、なんだあれは…う、うわぁぁぁ!」



男は突然半狂乱になる。そしてガクガクと歩を進める。

私は男に駆け寄った。



「だ、大丈夫ですか!?とにかく落ち着いてください!」



私がそう男をなだめると、男は形相を変えて私に掴みかかり、



「あんたはあれを見てもそう言えるのか!!?あれは化け物だ!!隣の車両のやつらはみんな死んじまった!!この車内に逃げ場なんてねぇ!!みんな、みんな殺されちま」



ザクッ。



一瞬だった。男がそう言いかけたその瞬間。私の目の前で「生きていた男」が__。

___脳天をなにかに貫かれ、隣車両から伸びたなにかに貫かれ、動かなくなった。



「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



同じ車両に乗っていた女性が悲鳴をあげる。それを気付けに、私は男を殺したものを目の当たりにする。



人形だった。成人女性のマネキンのような人形が、車両を埋め尽くすほどの数で、こちらに迫っていた。



人形がガチャり、ガチャりと無機質な音を立て、迫ってくる。



私は咄嗟にそこから端の車両に向かって逃げ出した。



逃げ遅れた人の悲鳴を尻目に私は逃げ出す。


振り返ると人の気配はない。



そして一番端の車両には誰もいなかった。



「嘘…もう私しか……!





___生き残っていない……!!?






無機質な音はどんどんと近づき、ついには、同じ車両に乗ってきた。

私はただただ、人形と距離を取る。無駄だとわかっているのに、行き止まりなのはわかっているのに、歩を止めたくはなかった。





パンッ!




「____痛っ!?」



人形の手から放たれた銃弾が私の足首を掠める。足から血が流れ、私は勢いよく倒れた。


人形は私との距離を徐々に詰めていく。



倒れた拍子で飛んでいったスマートフォンの画面には、先程のメッセージが表示されていた。


私は匍匐前進をして、足の痛みに耐えながらも、スマートフォンに向かって這う。


そしてスマートフォンの届く場所まで辿り着いた頃には、人形はもう目の前にいた。


人形は私に向かって鋭い刃を振り上げる。



イタズラかもしれない……。




ただの偶然かもしれない……。




でも……でも……!!!





「私は…こんな所で……死にたくない……!!!私は……「生きたい」!!」


「YES」のボタンを押し、ギュッと目を閉じた。






「認証完了。生きる意志を認証しました。これより英霊召喚アプリケーションを起動します。アサギ シノ 様。あなた様そしてほかの参加者様の試練からの生還を心から願います。」










スマートフォンからアナウンスが流れる音を聞いた瞬間、大きな轟音がした後、さっきまで聞こえていた無機質な機械音が途絶える。


私はゆっくりと目を開ける。


目の前の光景は

無数の人形の残骸と、


____私の前に弓を構えて立つ一人の背の高い男の後ろ姿だった。


男は弓をしまうと私の方を振り返る。

黒い髪、黒い肌。整った顔立ち。そして白い学ランのような衣装のしたの方に綺麗な模様がある。



彼は私の方を見つめ、強かに口を開く。




「サーヴァント。アーチャー。召喚に応じ参上致しました。問いましょう。貴女が私の、「マスター」ですか?」










……To be continued