GOD EATER

赤狐@夢垢
@akakon4x_yume

捲し立てる

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サカキのおっさんからの着信が1コールだけ。嫌な予感しかしない、と行くのを止めようとしたが、行かなければもっと不味いことになりそうな勘が働いて、重い足取りで支部長室へ。


着いたものの中から話し声が聞こえる。

会談中に何で呼ぶんだ、と廊下の壁に背を預けようとしたら、僅かに中から声が漏れてきた。



(………あぁ、成る程な)



色々遠回りに承諾を得ようとしているが、単刀直入に言えば、ミカゲへのテレビ出演。

最近どの局も挙ってアイツへオファーを掛けてくる。


俺を此処へ呼んだのは、ミカゲを此処へ近寄らせるな、と、謂わば番犬係か。溜め息と共に天井を見上げた。


事の発端はアラガミ討伐のテレビ中継。時々行われるこの取り組みはアラガミの危険性への認知やゴッドイーターへ信頼性を高める為の言っちゃ何だがパフォーマンス。フェンリルのやらせに過ぎない。


それを見抜いたあるテレビ局がアポ無しの中継を行った。

だが、その裏を読んでいたサカキのおっさんが新人の任務風景を撮らせるはずがなく、今や極東の英雄とされているミカゲの任務へテレビ局を同行させた。


…それがきっかけで、極東だけじゃなく各国にまでその姿が知れ渡ってしまい、情報開示を求めるに飽きたらず、テレビ出演まで声が上がっている。


その任務ってのが、サリエルと堕天種で、アイツの装甲がアイテールの物だったのも悪い。

サリエル達の攻撃を華麗に躱し、跳躍がまるで舞う様で、神秘的だ、圧倒的だ、と人気を博し、中継以来極東への電話が殺到している。


いつの間にか"舞姫"なんて異名まで付けられて勝手に崇められて、こっちは溜まったもんじゃない。アラガミ討伐を何だと思ってやがる。



(まだ粘るのか。長いな…)



部屋から聞こえてくる声。もう良いだろ。

ミカゲも今は任務で早々帰還するはずがない。



「あれ、ソーマ?何してるの?」



……何で居るんだ。



「サカキ博士会談中?話があるんだけどなぁ…」


「ミカゲ…任務は?」


「終わったよ?まぁリンドウさんとタツミさんが"いつも働き過ぎてるから、今日位俺達に任せろや"とか言って早めに帰らせてくれたんだよね」



余計な事を…!その気遣いは明日に回す事とか出来なかったのか!?


やっぱり嫌な予感は当たったな。

取り敢えず#ミカゲ#を部屋に帰らせるか。



「ミカゲ、報告は後からで良いだろ。だからさっさと部屋に戻って…」


「あぁっ!!グッドタイミング!ミカゲさんじゃないですか!」



こっちからすればバッドタイミングだ。


振り返れば支部長室から出てきたテレビ局の2人組。勿論視線の先にはミカゲが居て、そんなミカゲは目を丸くしてる。


こうなれば直接本人に交渉ってか?ややこしい。



「城崎ミカゲさんですよね!?この前の戦闘は素晴らしかったです!」


「え?あぁ、はぁ…」


「あ、私こういうものなのですが…。単刀直入に、ミカゲさん、テレビに出演しませんか!?」


「テレビ?」


「…悪いが俺達は暇じゃねぇんだ。余所でやってろ」



キョトンとしているミカゲの腕を引いて局の人間から見えないように背中へ隠す。

さっさと否定すりゃ良いのに。



「あ、もしかして彼氏さん?熱愛発覚みたいな?」



面倒くせぇ…。自分でも眉間が寄っているのが判るくらい苛立ってる。



「あ、あの、テレビって…」



何で食いつくんだよ!背中越しに覗いているミカゲに止めろと視線を送れば、チラリと見上げてきた。


何か策があるのか…?



「今考えている企画はですね、ミカゲさんの任務風景は勿論なんですが、貴方についてや過去のお話から俳優や女優との対談も…」


「そう言うの、結構です」


「え…?」



俺の背中から出て、局の人間の前に立ったミカゲ。纏う空気がアラガミと対峙しているときと酷似していて、目の前の2人も若干たじろいでいる。



「私だけが英雄視されているような…そう言う偏見はもううんざりなんです。もしテレビの企画が憤っているようであれば、外部居住区の現状やフェンリルの動きなど、もっと取り上げるべき問題があるはずです。

エンターテイメントという点には欠けていますが、一刻も早く人々が平安に暮らせるよう、メディア側にも動いてほしい、というのが私からの願いです」



忙しいので失礼します、と頭を下げて、俺の手を握ってエレベーターに乗り込んだ。


いきなりの饒舌っぷりに驚いたが、酷く落ち着いた対応だったな。もしかして以前にも要求されているのかと考えていると、握っていた手に少し力が加わった。



「…キツいこと言っちゃったかな?」


「何でお前が心配するんだよ」


「だって…あの人達もあれがお仕事なんだし…」



どんだけお人好しなんだ。

向かっていく時も本当は怖かったくせに。後ろ手でずっと俺の指握って怖さ紛らわせて。

アラガミに対しては鬼のように強いのに、人にはてんで弱いな。



「お前がテレビ出てる途中にアナグラがアラガミに襲われたら死んでも呪うからな」


「…絶対出ない」



本当に怖かったみたいで手の温度が下がったのが伝わった。