手袋

柚木(ゆぎ)
@ah0227

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それは冬の寒い夜。

チラチラと空から舞い降りるのは白い雪の結晶。

私は家路を急ぎながら冷え切った手を擦り合わせて息を吹きかけた。

手袋のしていない手は静かに降り積もる雪の温度に奪われて血の気の無い白い肌になっている。


手袋は生憎と朝一の通勤中に転んだおかげで破れてしまい使えなくなってしまったのだった。


『…アレルヤからのプレゼントだったのに』


零れるように呟くのは大好きな人の名前。

たまにしか連絡をくれない人だったが、大切な人であることに変わりはない。

赤信号で立ち止まった私はもう一度手を擦り息を吹きかける。

傘の柄を握っていた手はじんじんと痛みを訴え始めている。

周囲を見回せばクリスマスのイルミネーションの光が街中に溢れている。

その光の中をカップル達が、仲睦まじげに微笑みながら歩いている姿に少しだけ羨望の眼差しを向ける。

前にデートしてからどれくらい経っただろうか。

少なくとも、夏になる前だった事は確かである。


『…会いたい、なぁ』


何の仕事をしているのか知らないけれど、こちらからアレルヤと連絡を取ることは難しい。

携帯端末は基本的に通じないし、メールの返信も稀である。

アレルヤからの連絡を待つしかないのだ。


『…寒い』


信号が青に変わり、周囲の人込みと一緒に進む。手の温度は益々下がり感覚が無くなって来た。

急いで家まで帰らなければと俯いていた顔を上げて私は目を見張った。


『…アレルヤ?』


道を渡り切った先の角に見知った姿を見つけて思わず立ち止まる。

そんな私に気が付いたのかアレルヤは笑みを浮かべて小走りで近づいてくる。


「お帰り、遅かったね」

『ど、どうしたのこんな所で?』

「ふふ、会いたくて来ちゃった」


そう言ってニコリと笑う姿に鼓動が跳ねた。

先程の自分の願望が届いたのかと思い私は狼狽える。


『きゅ、急なんだもの…ビックリしちゃった』

「うん、驚かせたくて…家に行ったらまだ帰ってなかったから迎えに来ちゃった」


アレルヤは悪戯成功したと満足そうに笑い私の手を見て目を見張った。


「こんなに寒いのに、手袋は?」

『あ、えっと…今朝転んじゃった時に破れちゃって…アレルヤに貰った手袋なのに、ごめんね』

「転んだの!? ケガはしてない?」

『うん、手を付いたからケガはしてない…代わりに手袋が…』

「ゆぎの事を守れたなら、プレゼントした甲斐があったよ。またプレゼントしても良い?」


アレルヤはそう言って私の冷え切った手を取って笑った。


『…ありがとう、アレルヤ』

「今日の所は、僕の手で我慢してね?」


私の手をギュッと握りアレルヤは笑う。

私にとって、最高の手袋だと思いそう伝えればアレルヤは目をパチクリさせた後、恥ずかしそうに嬉しそうな笑みを浮かべた。


「ゆぎの手は、僕が守るからね」




fin

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