『restart』

『restart』⑥

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もう随分と時間が経過し、気づけば10時間を過ぎていた。

その時だった、扉が開き主治医から出た言葉は


[かなり大きい物でしたが、腫瘍は取り除けました。

悪性ではありませんでした。このままICUで様子を見ましょう。]


「ありがとうございました。」


その後にストレッチャーで運ばれてきたかおるが目の前で止まった。


「ガンじゃないって。よく頑張ったな・・・」


不安でたまらなかったこの10時間と、再び交わすことのできた言葉に

感情が抑えきれず涙が溢れた。


『シゲくん、お父さん、お母さん、長い時間待たせてごめんね。』


弱々しいものの、薄っすら笑ってそう告げるとICUへ運ばれていった。

良かった、戻ってきてくれて。

暫くしたらまたいつものように戻れると

変わらないかおると

その時は信じて疑わなかった。


数時間後、主治医から呼ばれて術後の説明を聞くことに。


[・・・実は、腫瘍かなり大きく運動神経を覆っていて、

腫瘍を取り除く時に血管に傷がつき出血したことから脳梗塞が起き、

かおるさんの左半身が麻痺状態になっています。]


え、麻痺?どういうことだよ・・・だってさっき何ともなかったじゃないか。


「先生、治るんですか?どうしたら・・・」


[この後も検査、経過等を見ながら高圧酸素療など最善を尽くします。]


かおるの母が


〖あの子にはこのことはまだ話さないで下さい。〗


と頭を下げたけど


[ICUで再び目覚められた時に分かられたそうです。

ご自身の強い希望で告知は全てして下さいということでしたので話しました。]


どうしてだよ、こんなにも頑張って耐え抜いたのに

かおるばかりなぜこんな目に・・・

今すぐ傍に行ってやりたい、どうすることができなくても。

きっと心が折れそうになって泣いてるから・・・


数日後、かおるはICUから個室の病室へ移動した。

ICUの担当看護師の話によれば、直後はかなり取り乱して

泣き続けていたらしい。手術前にリスクはあると言われていたから

現状を受け入れなさいと敢えて厳しく看護師に言い放たれ、徐々に泣かなくなったと。


俺たちの前に横たわるかおるはまだ口が上手く回らないながらも

心配をかけまいと思ったのだろうか、気丈に見せているようだった。


病気が見つかってから心配してくれていたママ友や知人に

連絡をしたと伝えると、『うん。』と小さく答えた。

その左手に両手を重ねて


「ゆっくり治していけばいい、一緒に頑張ろうな。」


『うん、頑張る。』


短い言葉だけど、その一言にかおるの強い意志を感じた。


その夜、かおるがスマホでブログを更新したらしいと

ママ友から教えてもらい、ホテルでブログを見ると

こう記されていた。



生きてるよ

手術は成功したんだけど、左手と左足が麻痺してる

腫瘍ではなく血管腫だづたけたどでかくて大変だったみたい

リハビリ頑張ってがんはって復活します



「どんだけ強いんだよ、俺よりも・・・」


泣きたいような、笑いたいような。

俺がもっとしっかりしなきゃと改めて思い知らされた。


ただ、まだこの時は

この後の壮絶な日々を

想像すらできていなかった。