異形のサーカス

ルーフス@低浮上を極める
@Seto_Kurona

異形ノ双子ト母ノ迎エ

そんなことを考えていると、姉は左半身が軽くなっているのに気がついた。

隣を見てみると、案の定、目を覚ました弟が不思議そうに辺りを見回していた。

「××、オハヨー!」

「ン?オハヨ…」

「ボク、寝てたノ?」といった顔で返されたが、姉はそのまま続けた。

「今、ゴハン食べてたノ!」

それで気づいたのか、弟は上を見上げて呟いた。

「コレ…?」

「ソウ!すっごくオイシクテ、もっと食べたクなッチャウ…」

「ァ…、コレ……」

弟は上を見上げたままもう一度言った。

今度は姉が不思議そうにして弟の顔を覗き込むと、その目は真っ直ぐに、熟れた真っ赤の実だけを映して震えていた。

(ソウだ…確か、アソコにもこの実が生ってタ…)

姉も思い出した。自分たちの新しいあの家にも、真っ赤に熟れた美味しそうなこの木の実の大木があったのだ。あの惨劇の場に。

また思い出して怯え出してしまった弟をなんとか落つけようと、姉は辺りを見渡した。

「アッ!!」

そして見つけたのだ。

眼下に見えていたニンゲンの街の大通りを、母の影が横切ったのを。

「オカーサンだッ!!!」

「エッ?」

「ホラ、アソコッ!」

姉は唯一持った左腕を精一杯伸ばしてあの大通りを指差した。

「ッ、ホントだ!迎えニ来てクレタんダ!!」

気づいた弟も声が高ぶって、今までの力ない様子とは打って変わって精気を取り戻したようだ。

「「待っテ、オカーサンッ!!」」

声を揃えて叫び、そのまま弾かれるようにして坂を駆け下りていった。


「「オカーサンッ!」」

気づけばそこは、ニンゲンの住む街の中。

希望のカケラを追いかけて、双子は隠れることも忘れ、ニンゲンたちの間を縫って全速力で走っていた。

母の影が近く見えてくるにつれて、息を切らした双子に笑顔が咲いていく。

ついに家一軒分ほどまで近づいたとき、その影が何かを落として立ち止まった。

「「ッオカーサン!」」

落し物を拾おうとしてしゃがみ込んだ影に叫ぶ。

「……」

何も答えない。

不審に思い、双子は影に駆け寄っていく。

ーと。

“カチャリ”

弟は見た。落し物は小さなピストルで、その銃口が自分の頭に向けられたことを。

振り向いた母の面影のかけらも無い、悪意に満ち溢れた目が自分たちを捉えたのを。

先に狙われたのが自分で良かった。危険を知らせれば、生きているうちはまだ逃げられる。

自分が死ぬ前に、姉を安全な場所まで…。

「逃げテッ、オネーチャンッ!!」

姉を外へ押し出そうとして、発砲と同時に足を踏み込んだ。


ー“バンッ”

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